京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈

京都園芸倶楽部のブログとして2022年11月までの8年間、植物にまつわることを綴った記事を納めた書笈。

猫が喜ぶ、あの植物の花

2020-06-02 07:12:14 | 園芸・植物・自然環境
5月下旬に緊急事態宣言が解除され、休業要請も昨日6月1日から全面解除された京都ですが、まだまだいつもとは違う風景の京都です。先週のことですが、例年なら観光客で溢れる銀閣寺(慈照寺)の近くもとても静かでした。

その銀閣寺の近くの住宅街で見つけたのがマタタビ(木天蓼)の花。猫が大好きなあの植物です。




マタタビは北海道から九州の山地等に自生するマタタビ科マタタビ属の落葉つる性木本で、雌雄異株です。雄株は雄花だけですが、雌株は雌花と両性花を咲かせます。これは雄花ですので雄株のようですね。




このマタタビですが、特徴的なのは花が咲く時期になると葉の表面が白くなることでしょうか。これは葉の表皮組織と柵状組織の間に空気の層ができることに起因し、花期が終わると元の緑色に戻ります。この白くなる現象はハンゲショウ(半夏生)にも見られますよね。




マタタビの葉が白くなる現象の役割は詳しくわかっていないようですが、虫媒花であるマタタビの花は葉腋から釣り下がるようにして咲きます。そのため、花は葉に隠れて目立ちにくいことから、ハンゲショウが葉を白くして花を目立たせて虫を呼び寄せているのと同様に、花のありかを虫に教えるためだとも言われています。




また、このマタタビの花芽にマタタビアブラムシ(木天蓼油虫)やマタタビミタマバエ(木天蓼実玉蠅)が寄生することで虫瘤(虫癭)ができることがあります。マタタビミフクレフシ(木天蓼実膨附子/木天蓼実膨節)というこの虫瘤を「木天蓼」と呼んで生薬に利用し、体を温めて血行を良くし、強心や利尿の効能があるそうです。なお、この虫瘤は雄花にもできるため、本来は実ができない雄株にもデコボコした実ができたように見えます。


最後に余談ながら、このマタタビは猫が酔っ払うことで有名ですね。これは、マタタビに含まれる「マタタビラクトン」「アクチニジン」「β-フェニルエチルアルコール」という成分に猫のヤコブソン器官が反応し、脳波がアセチルコリン分泌時と同じようなリラックスした状態になるためだそうです。この効果ですが、じつはマタタビと同属で近縁種のキウイフルーツの枝や根にもあるそうです。ただし果実には反応しないとのこと。


キウイフルーツ

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (ra9gaki_do)
2020-06-02 09:06:52
おはようございます(^-^)
いつもありがとうございます。
希望と期待を込めて〜〜水無月が明けました。
今月もどうぞ宜しくお願い致します。
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おはようございます (京都園芸倶楽部)
2020-06-02 09:18:50
ra9gaki_do様、ありがとうございます。^_^
返信する

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