清三宝大荒神を祀り、通称「清荒神」の名前や「荒神さん」と呼んで親しまれている護浄院は、京の七口のひとつである「荒神口」や鴨川の架かる「荒神橋」の名前にもなっています。その護浄院の境内でキョウガノコ(京鹿子)の花が咲いていました。
和名は花(花序)を京の伝統工芸のひとつである絞り染めの「鹿子絞り」に見立てたことに由来します。原種とされることもありますがシモツケソウ(下野草)の園芸種とされ、シモツケソウとコシジシモツケソウ(越路下野草)の交雑種あるいはコシジシモツケソウの園芸種とも考えられているそうで、現在は自生しているものはないとされています。
古くから日本で愛でられている栽培種のひとつですが、シモツケソウとの区別がつきにくいのが難点でしょうか。区別する点としては、茎に棘らしきものがあればシモツケソウ、棘がなければキョウガノコと言えます。また、シモツケソウは葉柄に側小葉と呼ばれる葉が何対も多数つきますが、キョウガノコは側小葉がついても1〜3対ほどで小さな葉しかありません。この点で区別できるかと思います。
なお、きれいな花や草姿なのに、なぜか花言葉は「はかなさ」や「無益」とあり、他には「努力」や「質素な美」といったものばかりです。はかないことが多い世とは言え、無益とならないよう努力を怠らず、キョウガノコのように飾らない美しさで日々感謝して過ごすことが肝要なのかもしれません。