京阪電車と叡山電車の出町柳駅から百万遍交差点方向に伸びる道は柳通と呼ばれ、現在の今出川通の旧道にあたり、一帯には昔ながらの住宅街も残っています。
その住宅街にある比較的新しいマンションの花壇でひっそりと咲いていたのが、こちらの花。
初めて見るというわけではなく、以前から何度か目撃していたとは思うのですが、それまでは目に留めることもなくやり過ごしていたのでしょうね。あらためて観察すると愛らしい花です。花は小さく、大きさは5ミリメートル前後です。
でも、観察したときは名前がわからず、小さな花をまじまじと見て「似ているな」と感じたのがこちらのノハカタカラクサ(野博多唐草)の花でした。
ノハカタカラクサ(2019年5月に吉田山山麓で撮影)
ひょっとしてツユクサ科に分類される植物なのだろうかと思って調べてみたら、どんぴしゃり。ブライダルベールと呼ばれる、ツユクサ科ギバシス属に分類されるつる性草本の多年草でした。ノハカタカラクサはトラディスカンティア属(ムラサキツユクサ属)なので別属ですが、近からずとも遠からずでしょうか。
なお、属名のギバシスとは「瘤のある」という意味で、萼の基部にある瘤状の突起に由来するそうですが、確認し忘れました。
また、英名ではタヒチアン・ブライダルベールと呼ばれるそうですが、原産地はタヒチではなくメキシコなのだそうです。花壇を覆う草姿が名前の由来になるのかと思いますが、ブライダルベールとウェディングベールって同じものなのかなと、ふと思いました。
花を見ていると、ホソヒラタアブがどこからか飛んできました。
一心不乱に花粉を舐めています。
そうそう、最初に見てノハカタカラクサを連想したのは、葉の裏の色も見たからでした。葉の表は普通に緑色ですが……
葉の裏は赤紫色もしくは暗紫色を帯びています。カタバミが「こんな感じよ」というふうに囲ってくれていました。
まだまだ名前の知らない植物のほうが多いですが、一つひとつ覚えて少しでも知っている植物が増えてくると、知らない植物でも何か特徴が見つけられたときに「〇〇に似ているな」と、手掛かりとなる部分に気づくことが増えてきたように感じています。