日が暮れると降り始め、一晩中降り続いた雨も止んだ今週の水曜日の早朝のこと。起きて「今日から師走か」と思いながら着替えなど身支度をしていると、朝ご飯となるものがないことに気づきました。買い出しがてらカメラを持って早朝の高野川河川敷を逍遥していると、見つけました。
御蔭橋付近の川縁に生える木に絡みついたセンニンソウ(仙人草)の痩果です。雨は降り止みましたが、空を見るとまだどんよりと曇っており、時折吹きすさぶ北寄りの寒風に押し流されるように雲が流れていく朝なのに、風に散ることなくまだ残っていました。
ふと、今夏にここで花を撮影したことを思い出し、帰宅後に探してみると、ありました。8月下旬(8月23日早朝)に撮影しており、3か月後にはこのような痩果をつけている姿になっていたのでした。
センニンソウの花(2021年8月撮影)
さて、このブログでも何度か紹介していますが、センニンソウとは日本に自生するクレマチスの仲間で、この痩果から伸びる綿毛を仙人の『ヒゲ』に譬えたのが和名の由来とされています。
この「ヒゲ」なのですが、漢字で書こうとして「たしか、いくつかあったよな?」と思い、頭に浮かんだのが「髭」「鬚」「髯」の3つです。おそらく意味が違うだろうと思い、ひさしぶりに漢和辞典(三省堂・新明解漢和辞典;1986年9月15日第3版第16刷発行)を取り出して調べてみると、なんと「頾」という字もありました。
それぞれ意味を調べてみると……
・髭:ヒゲ。鼻の下のひげ。口ひげ
・鬚:ヒゲ。あごひげ/動物の口もとの毛/ひげの形をしたもの
・髯:ヒゲ。ほほひげ
・頾:ヒゲ。口の上のひげ
とありました。
漢和辞典に記載されていた「頾」は、部首(おおがい)の『頁(ケツ)』だけが右にあり、左上に『彡(サン)』と左下に「此(シ)」がある表記でした。意味からすると「髭」と「頾」は同じヒゲを指しているのでしょうか。ついでながら「髭」「鬚」「髯」の部首は『髟(かみがしら)』です。
さて、仙人のヒゲだと「髭」「鬚」「髯」「頾」のどれになるのかなと思いましたが、一般的に想像される仙人だと「口ひげ」「あごひげ」「ほほひげ」があり、加えて「眉毛」も長いという姿を思い浮かべるだろうから、それらすべてのヒゲを表していると思えばよいのでしょうか。
皆さんは、どこのヒゲに見えますか。そもそもヒゲに見えますか?
追記(2021年12月4日10時45分)
そうか、痩果ひとつを仙人の顔に見立てれば、あごひげに見えるかな。だとすれば「鬚」か。逆に見れば白髪の「辮髪」になるかな。
素敵なブログですね。
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