先週末のことですが、第四錦林小学校のはす向かい、東一条通沿いにある吉田児童館では、グラウンドを囲うフェンスにガガイモ(蘿摩)がつるを絡ませていて、ぽつぽつと花も咲かせていました。ガガイモは、従前の分類方法(クロンキスト体系)ではガガイモ科、最近の新しい分類(APG体系)ではキョウチクトウ科に分類される、北海道から九州にかけて日当たりのよい原野に自生するつる性植物です。
(ガガイモの花)
すでに立秋も過ぎ、暦の上では秋になってしまいましたが、じつはこのガガイモは立秋前の夏土用の風習にゆかりのある植物であることはご存じですか?
夏の土用といえば土用の丑の日のうなぎが有名ですが、土用入りの日に食べる風習のある食べ物の「あんころ餅」もよく知られているかと思います。じつはこれ、古くは宮中で夏の土用入りの日にガガイモの葉を煮出した汁で餅米の粉を練り、暑気払いの滋養強壮として、丸めたお餅をお味噌汁に入れて食べていたことに由来します。この風習が庶民の間にも広がり、江戸時代中頃には魔を滅する「豆」である小豆を用いた餡で餅を包んだあんころ餅へと変わっていったそうです。
(ガガイモの葉)
滋養強壮のために葉の煮出した汁が用いられていたガガイモですが、生薬としても用いられています。葉や果実、種子を採取して日干しで乾燥させ、特に乾燥させた果実を蘿摩子(らまし)と呼んでいます。滋養強壮の他、腫れ物や解毒の作用があります。
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ちなみに、ガガイモという和名は少し変わっていますが、語源には諸説あるようです。
そのひとつに、つる性植物で木に絡みつくだけでなく地を這うこともあるため、葉や果実を採取するには「屈む」必要があったことから名付けられたという説があります。
あるいは、古名のゴマミ(胡麻実…果実が胡麻に似ていることからか)から、この古名が転訛したガガミイモに由来するという説も知られるでしょうか。
その他には、割れた果実の内側が鏡のように光ることから名付けられたという説や、薬の神様である少彦名命が乗ってきた「天之羅摩船」がガガイモの果実の鞘だったことからという説などがあるようです。
なお、和名に「イモ」とつきますが、根が芋のようになるわけではなく、芋のように見える果実のかたちによるとされています。
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さらに脱線しますが、幸せを呼ぶ生物として知られるケサランパサランは、綿毛のあるガガイモの種子がその正体だという説もあります。