「京都・北山丸太」 北山杉の里だより

京都北山丸太生産協同組合のスタッフブログです

紅い宝石 made in KYOTO

2012年06月19日 | 日記

台風4号の影響で、京都も夜半から雨が降り続いています。暴風雨に備えるとともに、各地で大きな被害が出ない事を祈るばかりです。

そんな雨の北山杉の里・・・京都北山丸太生産協同組合では6月の市が行われます。足元の悪い中、遠くからお越しいただいたお客様に良い買い物をして頂けますように。倉庫の中では丸太たちがスタンバイOK!

 

ところで前回、予告いたしましたこの季節のトピックス。秘密諜報員No.2からの情報は信じられない内容でした。「え~~っ!!」

では、潜入レポートです。

 

現場は京都市右京区のとある山手の地。整然と並ぶハウスの向こうには北山杉が見えますね。

 

事務所の前には建設現場などで使う運搬車、でも気になるのは・・・ 

 

「チェリーカー」 …?あまりにもしっかりと書いてある、チェリーカーとは何じゃらほい?

 

奥には材木が見えます。木工品でも作っているのかしら?

 

木工品じゃない、机の上には…え~~~っ!!! 

 

ななななんと、さくらんぼ!じゃあさっきのハウスはさくらんぼ畑?!というか果樹園?

 

ここは京都市内で唯一のさくらんぼ果樹園「チェリーハウス満雄(みつお)」。さっきのチェリーカーに納得(笑)。

自らをCherry Boyなどと冗談大好き、そしてシャイなオーナーNさんは今から納品に出掛けるところです。

…ん?このお顔、どこかで見覚えが!

 

それもそのはず、組合の市では振り子さんの姿を度々お見かけしていたのでした。

これは昨年の12月の市の様子。もともとは木材のお仕事に携わっておられます。

 

お忙しい中、特別にハウスの中に入れて頂きました。

 

内部にはたくさんのさくらんぼの木がお行儀よく並んでいます。そして… 

 

ツヤツヤのさくらんぼの実がすずなり!木になっているさくらんぼを見たのは初めてです。ここは山形?いいえ、まぎれもなく京都なんですよ。

 

手のひらに渡された一粒。口に入れるのが勿体ない・・・でも食べたい・・・ぱくっ! 何て甘くてチョット酸っぱくて甘くて…もう種だけになっちゃった。

 

紅い宝石。品種は佐藤錦。極上の甘味とほのかに酸っぱさもあり、歯ごたえもプリッとしっかり。さくらんぼの王様です。粒よりの佐藤錦手詰めしたものは、本当に宝石のように見た目も美しく、初夏の贈答品としても好まれお値段も王様なみに高価なものです。

名前はこの品種を交配育成した、山形県東根市の佐藤栄助さんに因んで1928年に命名されたもので、「砂糖のように甘い」意味もあるそうです。

山形県は実に日本全国の収穫量の70%を占めており、それに次いで青森・山梨を合わせた3県で全国の9割近くを生産している…日本の北部、寒さの厳しいところですね。

それだけ、さくらんぼの生産には気象条件が難しいと思われるのですが、ここ京都にこんな大きなさくらんぼの果樹園があるなんて本当にビックリしました。

 

6年前、Nさんが山形まで赴き13本の苗木から「チェリーハウス満雄」はスタートしました。 

 

現在に至るまで鳥害や早霜に苦しめられましたが、試行錯誤を経てハウスの数も増え、今では120数本までチェリーハウスは大きくなりました。

 

これは…♪わ~かい娘は ウッフ~ンの黄色いさくらんぼ。熟しても紅くならないんだそうです。接ぎ木から生まれた珍しいさくらんぼです。

 

お世話する人たちの努力は勿論ですが、この京都という地でさくらんぼの育成がここまで成功したのは山形と気候が似ていることが一つの要因となっています。

寒暖の差が大きく、収穫前の日照が甘さを際立たせる秘訣。とは言っても自然のことですから願うだけで要求は出来ませんよね。

 

真ん中に実のついていない軸が見えます。

これが「まびき」。さくらんぼの規格には外観を示す等級(特秀・秀・優・良)と大きさを示す階級(2L・L・Mなど)がありより大きな実にするにはまびきをする必要があります。

  

ほら、上の写真を比べると密集している方が少し大きさは小さいですね。小さくてもイイ、ぱくぱく食べた~~い!

…ですけど商品ですからそういう訳にはいきません。。

 

チェリーハウス満雄はNさんはじめ少ない人数で運営され、テントの取り付け・取り外しは大変です。鳥たちにとってこの愛らしい果実は絶好の狙いの的。流石にテントを突き破って入ってくることはないようです。短い収穫時期はてんてこまい。

この日はNさんの可愛らしい奥さまもパック詰めのお仕事です。

 

遠い土地のものでも、電話一本でお取り寄せできる時代。ですが実際に果実が木になっているのを見て、自分の手でもいで、口にする。これ以上の新鮮さと贅沢はないのでは?

 

この結実はNさんの思いの表れでもあります。

「そうだ、さくらんぼをこの地で育ててみよう。」趣味の園芸で育てている人は多々あると思いますが、Nさんはもっともっと志を大きく持ち、人が考えもしない、人のやらないことをやってのけました。

Nさんご夫婦と仲間たちの6年間はきっと学び、悩みながら成長してきた長い道のりだったに違いありません。けれど、これからも更に美味しいさくらんぼを求めて努力されるでしょう。チェリーハウスは煌めく紅い宝石を秘めた宝石箱。山々を背に、少しずつその宝石箱が増えていくのだとしたら…それは京都の誇りであり宝物だと思いませんか?

 

「チェリーハウス満雄」ではさくらんぼの直売は行っていません。

京北周山町の「道の駅・ウッディ京北」で販売しています。売り切れ続出ですので、早めに行かれることをおススメめします。

また、先週末からさくらんぼの収穫体験も行っています。京都にいながらにしてさくらんぼの果樹園で収穫という貴重な体験。

収穫期間はそう長くないので早めに申し込みされた方がよろしいかと思います。

こちらも受付は「道の駅・ウッディ京北」にて。

 

愛らしい紅い宝石、一粒食べたらきっと忘れられない味ですよ!だってMade In KYOTOですから!

 

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