「京都・北山丸太」 北山杉の里だより

京都北山丸太生産協同組合のスタッフブログです

木造シンポジウムに参加して

2012年02月13日 | 日記

去る2月7日火曜日、京都駅近くのキャンパスプラザ京都にて「木の文化都市:京都」木材利用と建築について考える-と題して、木造シンポジウムが開催されました。

主催は次世代木質建築推進協議会(Next Engineered Wood Construction Association:NEWCA)、ニューカ。

豊富な森林資源とお寺や数奇屋建築など、日本文化を代表する木造の伝統技術・歴史を持つ京都。昨今、木造建築の法規制も幾分緩和され、現代住宅や京町家などに木材が多用され地域産材を活用する動きが活発化してきています。ただ現状それらがうまく流通し、活用されているのかは多くの人がよく知るところではありません。更に地球温暖化条例が施行されるに伴い街づくりの中心となる公共建築物、大型木造建築への木材の活用や付加価値を高めた地域産木材の利用拡大について、行政・設計・技術・生産の各分野において発表、ディスカッションが行われました。

 

キャンパスプラザ京都4階の会議室前に受付とパネル設置。

 

定刻の午後1時30分近くになると続々と出席者が訪れます。

 

地域産材を利用した大型木造建築パネルがずらり。

 

開会前の様子、ほぼ満席です。170人もの参加者、今回のシンポジウムへの注目度が伺えます。

 

基調発表では京都府から「京都地産木材の生産から流通、加工までの流れについて」。建築家の目線で「伝統建築とこれからの京都の木造建築の可能性について」。山形の会社から「地域産木材を活用して大規模建築をつくる手法」が発表されました。

個人的に興味深かったのは地域産材を活用した大規模木造建築でした。配布された資料の中で学校・福祉施設・美術館などさまざまな事例集を見ると、モダンでありながら木の温もりを生かした素晴らしい建築物ばかりで、風倒木(ふうとうぼく)を加工した集成材を使用しているものもあると聞き二重の驚きでした。

このような建築は、材料は地元で調達することを前提に全国プロデュースを展開されていますが「その地域の命と財産を守る素材」と言う響きに強く心を打たれました。

しかし、全国的に懸念されるのはいざ大規模な公共建築物を建てる場合、材木が集まらないという点です。

その様な問題点も含めて京都府では今後の取り組みとして原木供給センターの設置やストックヤードの整備、木材加工のネットワーク化をはかることで、川上から川下まで一貫した森林・林業経営の高度化プランを立ち上げました。

更には今春、京都府立林業大学校が開校するなど人材面でも森林・林業を支える技術者の育成と支援に力を注いでいます。

建築家の國吉さんは以前、京都北山杉の里総合センターでもワークショップを開いて下さいましたが「北山杉を自在に操る建築」~失われゆく「床柱」の、新たなステージへの提案~として伝統工法と現代技術を融合させた斬新な設計。北山丸太を大切に思って下さるお一人です。

この日は現在も桂離宮に見られる「災害を躱(かわ)す」建築法について語って下さいました。

書院全体が高床式になっていて桂川が氾濫した際にも座敷までは水が上がってこない、また川と離宮の間には生きた竹がそのまま編みこまれた垣根があって土砂や瓦礫が敷地内に流れ込むのを防いでいるなど自然災害に対する職人さん達の工夫が凝らされていた、日本独自のしなやかさで自然に逆らわず躱してきたのです。

基調発表の後は京都市の林業振興課・課長、京都市森林組合代表理事組合長も参加してのパネルディスカッション、公共施設の予算や補助金、生産者側の状況について熱く語り合われました。

やはり大切なのは縦横のつながり。ハッキリした内容の連携をもって木造事業がどうあるべきかを考えていく事で林業を衰退から救えるのではないか、そんな一筋の光が見えたような気がしました。

 

何だか久しぶりのお勉強会の場で緊張しましたが、こんなにも多くの人達が林業と木造建築に思いを抱いていることが判って参加できて良かったです。

これからも京都府・京都市におけるネットワーク化を願い生産者の立場にいる者として流れを見つめ続けて行きたいと思います。

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『イマトコ』発表記念イベン... | トップ | 『イマトコ』あるトコ、集う笑顔 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事