Lady Ella

ひとり語り・・・

バイクガレージこころ・・・にて・・・

2006-01-30 04:50:15 | 酔言
 なぜに元気が貰えるのだろうか・・・

 単車が好きだから・・・これに尽きる・・か。ただね、それを操る、嫌ぁ~創り出すともくんの笑顔かなぁ。いっつも笑っているんだ。いろんな話しを私が仕掛ける。基本的には仕事の邪魔をしに行っている。それにね、今はタンクの叩き出しをしながら付き合う。表題にある、万力固定の当て金に木槌を打ちつけながら・・・

普通の平面の鉄板に何百回と木槌が打ち込まれる。大小2個の、小さい方はプラスティックがはまった奴を、巧みに使い分けて。少し曲がる。鉄板が息を吐く。また叩く。吸う。力がこもる。熱が放出され魂が入る。

その間もともくんは私の話しに答えている。つまらん話しを聞いている。たまに手が止まりともくんがひと息吐く。鉄板も休み、次に起こりうるであろう衝撃を待つ。
「面白いなぁ、凄いよ」「そうですか?この間、つまらん板金屋がですね・・・」
少しだけビルダーの矜持が、プライドが漲る。また、徐に立ち上がる。叩き始める。

鉄板が意志を持った。私の気持ちすら飲み込んでいく。そこに昔の面影はなく、彼女、あけみは曾祖母ちゃんのキャサリンの姿になる・・・芝生の下で眠っていたはずの彼女が笑い始める。サム・クックのチェンジズ・ゴナ・カムがうす~く木槌の音に重なり始める。

鈍い・・・重い・・・光りがそこから拡がっている。あるべき姿に、それは容を変えていく。撫でる・・・擦る・・・また、叩き始める。渇いた音はセミファイナルのボクサーのそれ。ゴングは近い。
「そのうち・・・」一度飲み込もうとした言葉が口をついた。「やらせてよ」
「いいっすよぉ~、やってみてくださいよ」
ともくんは屈託なく、嫌味も含めずに・・・やはり笑っている。

ツルツルとローラーが転がり、油の匂いが漂っている。ともくんの仕事は油にまみれる。少しだけあった木槌の痕跡は跡形もなく消え去り、またそれをともくんは撫で、摩り、擦りつづける。
「昔の人はね、スゴイっすよ。こ~なのも使わずに真っ平ら」
「そうなんだぁ・・・すごいね、俺の知り合いの大工さんもさ、手鉋で一厘の誤差まで修正していく。スーパーってね・・・」

ともくん・・・突然に手を止めて。満面の笑み。
「完璧です」「美しい。ところでなんの話しでしたっけ・・・」「す、すみません」
この笑顔に元気を貰う。なんなんだろうか・・・清清しい。

 私は職人の仕事が好きだ・・・いくらそれが洋物に名前を変えていようが・・・ともくんはそんな気質を少なからず感じさせてくれる。それになによりも楽しんでいる。
「仕事でなけりゃ~ね、もっと楽しいかも知れない」そんな事も言っていた。でも、好きじゃ~なきゃ出来ないし、誰にでも出来る訳じゃ~ない。
 私は思っている。豊かなんである。

 う~ん・・・飲みながら書いていたら、ま~た気持ちよくなってきた・・・酔言にしといて・・・良かった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 名刺入れ・・・ | トップ | 革細工・・・名刺入れ。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

酔言」カテゴリの最新記事