電車のなかで、1時間程の仮眠をとり意識が朦朧としたままテイスティング会場に入って行く・・・するとすでにパーシーはグラスにウイスキーを注ぎ、啜って・・・いやいや、日本人の私から見るとあおっていた。
この、パーシーさんと言うのは、本名イアン・マクファーソン、現在のボウモア蒸留所所長である。白い頬を薄ピンク色に染めて、ニコニコと私たちを迎え入れてくれる。
彼の話しが始まり、蒸留所の歴史、ポリシーなんかを、時にジョークを交えながら軽妙に語ってくれた。まぁ、実際のところモルトに関する本を何冊か読んでいると取り立てて目新しい話しはなかった。しかし、彼の語り口は非常に楽しく、いかにもウイスキー好きな、誠に愛すべきおっさんのように思われた。
少しだけ残念だったのが、通訳の方があまり・・・ジョークを解さない方のようで、時にちょっと・・・う~んってな事もあったかなぁ・・・
そしていよいよ、テイスティングの時間がやってきた。
「みなさん、どちらかと言うと私の話しなんかより、こっちの方がお待ちかね・・・あっはっはぁ~」
なんて言われて、みんなちょっと戸惑ったような、薄ら笑いの奥に「そ・そ・・その通り」って。この日のテイスティングに用意されていたのは、12年、ダスク、17年、そして1957ヴィンテージ、まずはかる~く12年から・・・うんうん、いつもの味。
このボウモアと言うモルトはアイレイって島で作られている。創業は1779年、島の中心に位置していて、7つ稼動しているアイレイの蒸留所のなかでも、北側の穏やかなモルト、南海岸の激しいモルトに比べて味的にもちょうど中間の味わいを持っている。
ただ、アイレイモルトはアンミスティカブル、アンフォアゲッタブルと呼ばれるくらいに特徴的なのです、その理由としてはヨード分を多く含んだ水、焚き込むピート、吹き寄せる海風などいろいろな要素が相まって独特な味わいになっているのです。飲んだ事のない方は・・・こんな言い方をすると絶対飲みたくなくなると思うのだけど、うす~く正露丸が溶け込んでいるウイスキーの味を想像していただくと、一番近いのではないかなぁ・・・だからこそ、ものすごーく嵌るし癖になる味なんですけどね。
そして話は戻って12年、ほの甘いミディアムボディー、シェリーがうすく香り、時にスパイシー。甘味のすくないチョコの裏側がちょっと塩っぽい。そして、鼻から抜ける後香はやはり正露丸、昔のに比べると重みはなくなってかなり華やかさがましている・・・うふふ、普通に美味い。
次にはダスク、これは熟成年数がないタイプ。そのかわりって言っちゃ~なんなんだけれど、ボルドーワインカスクフィニッシュ。度数が50度と高いんだけれども、ワイン樽でフィニッシュさせている分、味が重く度数はそんなに感じさせない。なんかのドライフルーツのような独特の甘味を持ってスモーキー、リッチにして複雑、舌に重くのしかかり噛み応えがある・・・寝る前のナイトキャップ、もしくはヘヴィーな食事の時に小さい小さいリキュールグラスようのもので啜る・・・くぅ~うんめぇ~。
17年・・・甘味がナッツ類のような脂っ気を持っている。完璧に近い樽からの影響。海風を感じさせながらも麦芽の持つドライなクリーミーさをも持つ、後味には正露丸2錠分くらいのアイレイっぽさを感じる・・・普通の夜に、普通な日常に感謝しながら、普通にこんなのを飲れたら・・・私は人生に満足する・・・
そして、いよいよ1957、私はウイスキーを飲む時にあまり熟成年数・・・20年以上・・・の長いものを好まない、って事を大前提に書かせてただきます。
いったい、いくらくらいするのだろう・・・飲む前に考えさせられた。
1957年蒸留、1996年瓶詰め。40年間にも及ぶ永い眠りから覚めたこいつを表現しようなんて・・・第一印象、過熟成である。海岸の裏側に鬱蒼たる森がある、あたかもそこはジュラ紀、なんだか、よく解からない海獣に追い掛け回されている私は森の中ですっ転んでしまった。何十年にもわたって堆積したのであろう苔、濡れて日をあまり浴びた事のないシダの低木のなかに、おもいっきり顔を突っ込んでしまった・・・ようなんである。ウイスキーをあまり感じさせない、ウイスキーを成す主成分は時空の彼方に飛散して、微かに、その名残を留めている。
う~ん、ごめんなさい・・・実際のところ美味いんだか、不味いって事はないのだけれども私には判断がつきかねる。時間に対する畏怖と憧憬ってことであれば、それはそれは立派なのであるけれども、もしウイスキーに意志があるのならば・・・この熟成を望んでいたんだろうか・・・出て来なかったから凄かった・・・グレタ・ガルボか原節子・・・逢ってみたら老いていたけど、やはり美しい・・・
とまぁ、ちょいと長くなってきましたので・・・つづくと言う事で・・・
最近はアイレイ島の表記がアイラに統一されてきたようなのですが、古い私は口癖のアイレイって書かせていただきました・・・あしからず・・・
この、パーシーさんと言うのは、本名イアン・マクファーソン、現在のボウモア蒸留所所長である。白い頬を薄ピンク色に染めて、ニコニコと私たちを迎え入れてくれる。
彼の話しが始まり、蒸留所の歴史、ポリシーなんかを、時にジョークを交えながら軽妙に語ってくれた。まぁ、実際のところモルトに関する本を何冊か読んでいると取り立てて目新しい話しはなかった。しかし、彼の語り口は非常に楽しく、いかにもウイスキー好きな、誠に愛すべきおっさんのように思われた。
少しだけ残念だったのが、通訳の方があまり・・・ジョークを解さない方のようで、時にちょっと・・・う~んってな事もあったかなぁ・・・
そしていよいよ、テイスティングの時間がやってきた。
「みなさん、どちらかと言うと私の話しなんかより、こっちの方がお待ちかね・・・あっはっはぁ~」
なんて言われて、みんなちょっと戸惑ったような、薄ら笑いの奥に「そ・そ・・その通り」って。この日のテイスティングに用意されていたのは、12年、ダスク、17年、そして1957ヴィンテージ、まずはかる~く12年から・・・うんうん、いつもの味。
このボウモアと言うモルトはアイレイって島で作られている。創業は1779年、島の中心に位置していて、7つ稼動しているアイレイの蒸留所のなかでも、北側の穏やかなモルト、南海岸の激しいモルトに比べて味的にもちょうど中間の味わいを持っている。
ただ、アイレイモルトはアンミスティカブル、アンフォアゲッタブルと呼ばれるくらいに特徴的なのです、その理由としてはヨード分を多く含んだ水、焚き込むピート、吹き寄せる海風などいろいろな要素が相まって独特な味わいになっているのです。飲んだ事のない方は・・・こんな言い方をすると絶対飲みたくなくなると思うのだけど、うす~く正露丸が溶け込んでいるウイスキーの味を想像していただくと、一番近いのではないかなぁ・・・だからこそ、ものすごーく嵌るし癖になる味なんですけどね。
そして話は戻って12年、ほの甘いミディアムボディー、シェリーがうすく香り、時にスパイシー。甘味のすくないチョコの裏側がちょっと塩っぽい。そして、鼻から抜ける後香はやはり正露丸、昔のに比べると重みはなくなってかなり華やかさがましている・・・うふふ、普通に美味い。
次にはダスク、これは熟成年数がないタイプ。そのかわりって言っちゃ~なんなんだけれど、ボルドーワインカスクフィニッシュ。度数が50度と高いんだけれども、ワイン樽でフィニッシュさせている分、味が重く度数はそんなに感じさせない。なんかのドライフルーツのような独特の甘味を持ってスモーキー、リッチにして複雑、舌に重くのしかかり噛み応えがある・・・寝る前のナイトキャップ、もしくはヘヴィーな食事の時に小さい小さいリキュールグラスようのもので啜る・・・くぅ~うんめぇ~。
17年・・・甘味がナッツ類のような脂っ気を持っている。完璧に近い樽からの影響。海風を感じさせながらも麦芽の持つドライなクリーミーさをも持つ、後味には正露丸2錠分くらいのアイレイっぽさを感じる・・・普通の夜に、普通な日常に感謝しながら、普通にこんなのを飲れたら・・・私は人生に満足する・・・
そして、いよいよ1957、私はウイスキーを飲む時にあまり熟成年数・・・20年以上・・・の長いものを好まない、って事を大前提に書かせてただきます。
いったい、いくらくらいするのだろう・・・飲む前に考えさせられた。
1957年蒸留、1996年瓶詰め。40年間にも及ぶ永い眠りから覚めたこいつを表現しようなんて・・・第一印象、過熟成である。海岸の裏側に鬱蒼たる森がある、あたかもそこはジュラ紀、なんだか、よく解からない海獣に追い掛け回されている私は森の中ですっ転んでしまった。何十年にもわたって堆積したのであろう苔、濡れて日をあまり浴びた事のないシダの低木のなかに、おもいっきり顔を突っ込んでしまった・・・ようなんである。ウイスキーをあまり感じさせない、ウイスキーを成す主成分は時空の彼方に飛散して、微かに、その名残を留めている。
う~ん、ごめんなさい・・・実際のところ美味いんだか、不味いって事はないのだけれども私には判断がつきかねる。時間に対する畏怖と憧憬ってことであれば、それはそれは立派なのであるけれども、もしウイスキーに意志があるのならば・・・この熟成を望んでいたんだろうか・・・出て来なかったから凄かった・・・グレタ・ガルボか原節子・・・逢ってみたら老いていたけど、やはり美しい・・・
とまぁ、ちょいと長くなってきましたので・・・つづくと言う事で・・・
最近はアイレイ島の表記がアイラに統一されてきたようなのですが、古い私は口癖のアイレイって書かせていただきました・・・あしからず・・・
12年はファーストもセカンドも、ましてやサードでも・・・ってけっして野球の話しじゃなくって・・・
16年なんですよ。25年もうんまい、でもやっぱり16年。私も買っとこう・・・
でもね、朝酌にすると、突然そこは漆黒の闇に・・・くれぐれも飲み過ぎないように・・・でもね、朝のラガヴー、いいなぁ・・・
ぜひ、感想を聞かせて・・・