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名刺代わりになったらいいな。

病について

2021-05-07 04:15:47 | 病気について
私には、病気の辛さについて、上手ではなくとも、伝わりにくくとも、書き記しておきたいという望みがずっとありました。

自分の辛さについて書き残しておくことで、まず私自身が救われるのではないかと思うからです。
遠くない将来に症状が出て辛くなった時、そういえば似た状態になった事があったな、と辛さを一歩引いて見れるようになるかも知れない。
日常生活や特定の用事に支障が出た時は、自分の心の持ちようの所為じゃないか、コントロールする事が出来ない自分が悪いのではないか、と思いがちです。なので、そうではなくて病気の症状だよ、だから休息を取るしかないよと、過去の私がいつかの不調の私に伝えられたらいいな、と思うのです。


病について綴った本は沢山ありますし(ヴァージニア・ウルフの『病むことについて』はいつか読みたいです。スーザン・ソンタグ『隠喩としての病』は文学論/表現論でしたが面白かったです。他、病についてや病の辛さを綴った良い書があればご教示くださいましたら幸いです。)、今は漫画家さんやアマチュアの方が漫画やブログ等で闘病日記を沢山発表なさっています。
うつについては、お医者のみならず当事者が症状や生活を綴った書籍や作品も多くあるように思います。
そこで、敢えて私が自分の辛さを書き記す事に意義があるのか……はどうしても考えてしまいますが、やはりまずもって自分自身の為に病について書いておきたいのです。
症状が出て辛い、辛かったという事態を、ただそれだけにしておくのは何だか勿体無い、損した気分になりたくない、といった貧乏性な気質もあるのかもしれません。


目に留まる事があるかは分かりませんが、うつ病当事者の方には「あるある」「それだ」当事者のみならず非当事者の方にも「こんな症状や辛さがあるのか」と思っていただけたら嬉しいです。

うつ病(だけでなく、精神疾患全般)の罹患者が増えている、メンタルヘルスに気を配ろう、といった話はよくなされても、うつの症状について理解している人はそう多くはないのではないでしょうか。
あくまで一個人の体験や体感に過ぎませんが、辛さや困難についてほんの少しでも想像していただけたら幸いに存じます。


身内が心療内科にかかった際、医師にこんな喩え話をされたそうです。
「うつ病になり始めの人というのは、気づかぬ内に水の中に沈んで行っているような状態。だから、上手く身動きが取れないし、やれる事も限られる。
治療薬を飲むというのは、その状態で下駄を履いて貰う事。水の中に沈んでいた身体を持ち上げる事で、身動きを取りやすくする。」
だいたい、このような感じだったと思います。
気づかぬ内に水の中に沈んで行くようなもの、という喩えのあまりの巧さに感心してしまいました。
何度目かの重いうつを経験した時、私は正にそんな感じで進行していったからです。
自分では悪化している事になかなか気づけないし、気づいた時には身体を(水の中に沈んでいるかのように)思うように動かせなくなっているし、思考や判断力もひどく鈍っています。
こんな風に、うつの状態について上手に表現出来る医師にかかれた身内は、幸運だったのではないかと思います。(精神科・心療内科も、ピンからキリまで、かつ相性も大きな要素です。)


多くの患者を診てきて、的確な洞察力を持った医師のような表現は到底出来ませんが、自分を含めたいつかのどなたかの助けになれますように願いながら、自分自身の辛さと向き合い、観察する気持ちで、少しずつ文章を蓄積して行けたら、と考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。


帆波


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