「この国の冷たさの正体」 和田秀樹

2016-05-20 | 
図書館で借りて読んだ。前々から「自己責任」攻撃?に違和感があったが、この本を読んで納得した。

いじめ、ネット私刑、生活保護へのバッシング、テロ犠牲者への批判に、魔女狩りさながらのマスコミ報道・・・なぜ毎日のように日本ではこんなむかつくことばかりおこるのだろう。著者によると我が国は経済的弱者や競争社会からの脱落者に対する対応が諸外国と比較して非常に冷たいらしい。そしてそれを後押ししているのが「正義」を垂れ流すテレビだと指摘する。


諸悪の根源は「自己責任論」にあるという。責任回避をしやすい傾向のアメリカでは必要だったが、もともと共同体意識が強い日本では社会が内側から解体されてしまったと説明している。

この本の中の、「人間は生まれてから死ぬまで人の助けが必要です。”迷惑”をかけてばかりなのです。」「私は、人間は生きてるだけで”迷惑”の塊だと気づくことが大事だと思います。」「迷惑をかけないことは立派なことでもなく、正義でもないのです。」という言葉が心に響いた。

私達は、お互いに「迷惑」をかけ、そして「迷惑」をかけられて、生きているのだ。「お互い様」の精神を思い起こせば、私達は自分にも、そして他人にも優しくなることができるはずだと、改めて思った。子供達にこういう教育をしてほしいと願います。


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4 コメント

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実感。 (みどり)
2016-05-21 15:22:32
失業していた頃、失業者に対する世間の異様な冷たさを実感しました。
たとえブラック企業でも、仕事をくれるんだから黙って働け、というような。
そういう考え方は社会制度を根本的に弱体化し、人を生きにくくすると思うんですが、それなりの立場の人の『アドバイス』がそもそもそれなんです。
人に迷惑を掛けたわけでもなかったですが。
あの弱者に対する居丈高な上から目線、一体何なんでしょう。
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この本、予約しました。 (風のすみかです)
2016-05-21 20:59:11
にゃんころりんさん、こんばんは。
興味深いので、図書館で予約してきました(^^)

テレビだけでなく、現在はネットの後押しの力も無視できなそう。

失敗してもやり直しがきく社会でないと、やがて誰もチャレンジしなくなると思います。そうなると停滞どころか後退、衰退しか道はありませんよね。

そうそう、ハーバード大学がSTAP細胞の特許申請をしているそうです。
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責任回避の論理 (にゃんころりん)
2016-05-22 21:07:39
みどり さん  こんばんは。

本の中に「自由の対価としての責任ではなく、『オレは責任を取らないよ』と弱者に責任をおしつける保身と欺瞞の言語。それが『自己責任』です。」と書かれてあったのが印象深いです。

弱者を見下すことで、自分の存在を確認するなんて、なんて情けなく悲しいことでしょう。

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ぜひ読んでください (にゃんころりん)
2016-05-22 21:15:53
風のすみか さん  こんばんは。

「へんな生きもの へんな生きざま」と一緒に貸し出しの順番が回ってきました。
あっちは楽しかったのに、こっちはゲンナリする本ですが、「これでいいんか、日本人!?」と考えさせてくれました。

次はこの著者の「感情的にならない本」を読んでみようかと思います。
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