国家戦略室 (アンダーグラウンド)

日本本来の政治、統治、歴史についての研究

TPPの黒幕 宗像直子の論文 精査

2012年08月02日 | TPP関連

宗像直子の論文 2002年11月29日発行 『時事トップ・コンフィデンシャル』に掲載された

http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/munakata/02.html

 

「米国は、日本の経済パワーを懸念した80年代末から90年代初頭には、EAEC構想に猛反発し、APECの枠組を強化してアジアの貿易自由化推進の道具として活用しようとした。その半面、米国は、94年に北米自由貿易協定(NAFTA)を発効させ、米州自由貿易協定構想を打ち出し、APECメンバーに米州とそれ以外の非対称性を意識させた。」

マレーシアのマハティールが日本をリーダーにEAECを作ろうと声をあげたところ、アメリカが猛反対して、アメリカつきのAPECでやろうとしながらう、自分のところは米、カナダ、メキシコとNAFTAを作って好き放題をし始めた。アジアには口を出しておきながら、自分のテリトリー近くは好き放題をやる。これを

「APECメンバーに米州とそれ以外の非対称性を意識させた。」と言い換えている。

ところがこういうあいまいな表現の裏にははっきりいえない実態がある。

NAFTAがメキシコとカナダに与えた影響を考えればアメリカのやり方がみえてくるというものである。宗像はこの部分について言及していない。知らないでは済まされない部分である。

悲惨な事実が見えてきている。

http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-f933.html

http://blog.goo.ne.jp/youteifan6/e/093b15d82e662e79ffd9b035c0b8b4e1

 さらに宗像の視点は日本の官僚とは思えない、米国の対日分析官が書いたらこうなるだろうというような文章になってゆく。

「確かに日本は、長引く国内経済停滞に加え、保護主義的勢力の抵抗によって大胆な貿易自由化に動けずにいる。しかし、よく見ると、日本は、一歩一歩着実にFTA交渉を進めている。まず、農産品の輸出が殆どないシンガポールから始め、次に、農産品が対日輸出の2割を占める一方、NAFTAやEUとのFTAにより日本の輸出が受ける関税差別が大きく、FTAの利益が明確なメキシコと交渉を開始し、その次には経済発展段階が高く地政学的利益の明確な韓国との交渉開始を目指す、というように、相手国を慎重に選んで、成功の確率を高める工夫をしている。」

 「保護主義的勢力の抵抗によって大胆な貿易自由化に動けずにいる。」とは何たる言い草か。彼女は貿易自由化の側に立って、保護主義の分析をせずに貿易自由化の反対を抵抗としかとらえていない。

「確かに、日本経済が強くなければ、対外交渉力も保護主義を克服する力も弱まる。」

「保護主義」は克服すべきものではない。それはTPPのような無差別の戦いにおいて、自国のシステムが崩壊するのを防ぐためのバリアである。

結論としてはこの宗像直子という官僚は国内経済の保護の必要性、重要性がまったくわかっておらず、貿易自由化、FTAやTPPの破壊的作用についての理解がまったくない。

ただ貿易自由化が一部の産業にだけメリットがあることに注目しそれをもって日本経済の活性化を論じている。

 


コメントを投稿