今年の春先に3度目の車検を終えて、ウチの白虎は6年目に突入(初回車検は2007年3月登録車まで2年だったからね)。
この6年、トライアンフもすっかり日本でおなじみのバイクブランドへと成長を遂げ、いろんなイベントも大入り満員と聞く。
昨年末の負傷以来、少しご無沙汰になっていたバイク生活もほとんど元通りになったところで、超久しぶりにバイクの試乗に出掛けた。
写真がそのターゲット2車。我が白虎の後継モデル・タイガースポーツ(何だかアシックスみたい(^^;))と、トロフィーだ。
前者は文字通り従来のタイガー1050をブラッシュアップしてスポーツ性を高めたモデル。タイガーを名乗る他のモデルがオンオフ色を強める中で(いや、だからこそ、かな)、オンロードでのスポーツ性に振ってきたのが特徴。試乗車にはローシートが装着されていた(ウチの白虎はアンコ盛りでノーマルのタイガー1050より25mmほどシート高が上がっている)ので、いつもの愛車より4~5cmほどシートが下がってる計算になる。けれどそれは別としても、このタイガースポーツは従来型のタイガー1050より一回り小さな車格を思わせた。
その要因の第一は、幅が切り詰められ、しかもハンドルライザーによって手前に引かれたハンドルバーにある。ブラックサテン仕上げのテーパーハンドルバーは質感も高くて好印象。これだけで旧1050よりも「新しいバイク」に乗っている感がしっかり演出されている。その印象は走り出しても変わらない。ハンドリングや車体の剛性(片持ち化されたリヤスイングアーム含む)、ブレーキのタッチまで、すべてがカッチリしていてロードスポーツ然としているのだ。排気量はそのままに細部が見直されたエンジンも同様で、回転フィールの緻密感、シフトタッチの節度など、どれをとっても旧タイガーからの変化はハッキリ感じ取れると思う。
半面、旧型の大らかさが少しばかり影を潜めたというのも正直なところ。この辺りは好みの問題と言えそうだ。
さてもう一台のトロフィー。こちらはかつての大名跡が復活、という感じで懐かしい車名が帰ってきたモデルなのだけど、その性格はかつての車名が担ってきたイメージとは無関係で、これはハッキリとBMW R1200RTの対抗馬と言い切れるものだ。
実際、その外観は、もうコンプレックスと言えるくらいに(タイガーエクスプローラーがBMW R1200GSをなぞっている以上に)BMWの後を追っているもので、どうにも見えにくいバックミラーまでがその例に漏れない。巨大と言えるほどの車体ながら、低いシート高や巧みな各部の設計で押し引き時はもちろん、極低速での渋滞走行などでも不安を感じさせない軽やかな取り回しが実感できる点でも「先達」をトレースしているのは褒めていいのだと思う。
一方、エンジンには、トライアンフの独自性を際立たせるポイントとして直列3気筒を採用。確かにBMWのボクサーエンジンとはまったく違う仕上がりになってはいるのだが、これがいかにも薄味なのには少々面食らった。近年のエンジンに多くみられるボトムエンドでの薄いトルク(環境性能重視の燃調のため?)にせよ、中回転域でのトルクの厚みにせよ、1200ccという排気量の最新エンジンに期待されるレベルより、おしなべて大人しい。これならいっそ同社のサンダーバードに搭載されている1600ccパラツインを積んでみた方が面白かったんじゃないか? ついそんなことまで考えてしまった。
とは言え、疲れず、快適に距離を稼げるロングディスタンスツアラーとしての完成度は現時点でも高レベルだし、これはこれで「アリ」なことは間違いない。敢えて言うなら、このバイクのライバルは、R1200RTよりもホンダ・ゴールドウイングなのかもしれない、なんてふと思った次第。
いや~、バイクって、本当にいいものですね~(^^)