歌手の八代亜紀さんがお亡くなりになりました。
八代さんの所属事務所によると「2023年9月に膠原病の一種であり指定難病である抗 MDA5 抗体陽性皮膚筋炎と急速進行性間質性肺炎を発症し療養を続けていた」というが、容態が急変。昨年12月30日に亡くなった。ORICON NEWS
皮膚筋炎とは、皮膚や筋肉に炎症が起こる病気です。皮膚は典型的な所見(ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候など)が出てきます。内臓病変としては間質性肺炎が有名です。慢性的にほとんど進行しないものから、急速に進行するものまで様々です。
膠原病は自己免疫疾患であり、自分を攻撃する抗体(自己抗体)が出現するのですが、皮膚筋炎ではいろいろな抗体が出現します。もっとも有名で頻度が高いのは抗Jo-1抗体です。皮膚筋炎・多発性筋炎の20~30%に出現します。
抗MDA5抗体というのは稀ですが、予後が悪い抗体です。以前から皮膚筋炎の中に、典型的な皮膚症状が出るけれど、筋炎所見がなく、かわりに間質性肺炎が急速に悪化するという病型がありました(無筋症性皮膚筋炎:Clinical Amyopahitc DermatoMyositis)。この病型が抗MDA5抗体陽性だとわかったのは2010年ごろです。日本人が発見しました。近年はこの抗体が保険で測定できるため、早期に発見できるようになりましたが、それでも予後は悪いです。
八代亜紀さん、稀で重症な病気だったんですね(;_;)。ご冥福をお祈りいたします。