なんかうまく言えないですよね、この映画。
是枝監督の作品はけっこう観ていますが、劇場で観なくてもいずれ…的な感じでして(^^;、
今作も特にカンヌ映画祭のパルムドール受賞が契機で観に行ったわけではなく、たまたまです。
私はあえてドラマチックに仕立て上げられるよりも(それがわざとらしいよりも)、
淡々とした中に引っかかるものが一つでもあればそれでいいと考えているので、
そういう意味ではこの映画は良かったと思います。
観た後にすっきりする映画ではないです。ないですが、メッセージ性は十分にありました。
あらすじです。(シネマトゥデイ)
治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)は万引きを終えた帰り道で、寒さに震えるじゅり(佐々木みゆ)を見掛け家に連れて帰る。見ず知らずの子供と帰ってきた夫に困惑する信代(安藤サクラ)は、傷だらけの彼女を見て世話をすることにする。信代の妹の亜紀(松岡茉優)を含めた一家は、初枝(樹木希林)の年金を頼りに生活していたが……。
びっくりするくらいの数で、現代社会の問題を詰め込んで扱っていますよね。
でも言い方が悪いの承知で、普通に暮らしていると気付けない(気付きたくない)底辺の暮らし、
今は無関係だとしても、いつどこで自分がそのような問題に直面することになるかもわからない。
それが今の日本の社会なんだろうと思います。
実はすっごい危うい中で自分も生きているんだろうと。
血のつながりのない、社会的な弱者と呼ばれる人たちが寄り添って生きている。
家族を装って。いや…家族の役割を演じることで居場所が出来たのか。どっちだ?
最初から不自然だなぁ~と感じていたのは、家族愛が感じられなかったこと。
血がつながっていなくても愛があれば…ということでもないというか。
(そりゃずっと一緒にいれば何かしらの情はあるかもですが)
それぞれが複雑な事情を抱えているけれど、
家族として過ごしているときにはそれを出さないというか、何があったかは話していないし、
本当に信頼し合っているという風には思えない、どこかよそよそしい感じもありました。
でも、子供たちは親の愛情も求めていたのかな?と思うと寂しいです。
じゅりちゃん、何とかしてあげたかったな。。。
祥太は特殊ですね、なんとなくこの中では。
万引きはするけど筋を通そうとする部分や、妹を守ろうとする部分に、
彼のいろいろ抱えている迷いや葛藤を見たような気がします。
スイミーの話が出てきますが、それが印象的でした。
弱くて小さな魚たちがたくさん集まって、大きな魚に立ち向かうお話。
この人たちもそんな感じなのかな。
またいつか、この家族で再会できたら(おばあちゃんはいないけど…)。
俳優の皆さんの演技も素晴らしいのですが、
特に安藤サクラさんはほんっとうに好きでした。素敵でした。
取調室でのシーンにはゾクゾクしました。そして涙が出そうでした。
もう、サクラさんの出る朝ドラ、今から楽しみでならない…!
今作でますますファンになりましたもん。
この作品がパルムドール受賞ということの意味を考えたいですね。
大々的に地上波では放映できなさそうなテーマですが、いろんな方に観ていただきたい。
目を背けてはならないテーマであると思います。
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