是枝裕和監督がカトリーヌ・ドヌーヴを主演に迎えて撮影。予告から静かで穏やかな空気と、少し不穏な母娘関係が見えてちょっと気になっていたので観てきました。
ストーリー:
世界中にその名を知られる、国民的大女優ファビエンヌが、自伝本「真実」を出版。海外で脚本家として活躍している娘のリュミール、テレビ俳優として人気の娘婿、そのふたりの娘シャルロット、ファビエンヌの現在のパートナーと元夫、彼女の公私にわたるすべてを把握する長年の秘書─。“出版祝い”を口実に、ファビエンヌを取り巻く“家族”が集まるが、全員の気がかりはただ一つ。「いったい彼女は何を綴ったのか?」
そしてこの自伝に綴られた<嘘>と、綴られなかった<真実>が、次第に母と娘の間に隠された、愛憎うず巻く心の影を露わにしていき―。
自伝本「真実」に書かれたことに嘘があると、その箇所に付箋まで付けて母に詰め寄る娘。そこまでやる!?って思うとちょっと面白くって、それに対する大女優の母親が軽くあしらうところで二人の性格みたいなものが見えた気がしました。
大女優として生きてきたファビエンヌだけれども、若く才能あふれる女優への嫉妬みたいなものや、セリフがなかなか覚えられないという年齢的な衰えなどによる焦りもあるんですね。劇中劇も母と娘のSF的な物語で、その役作りなどを通して、実際の母娘の関係も見つめ直してみるというようなストーリーでした。
かつては納得できずにいた出来事も、その理由がわかったりすると許せる(認められる)ようになるというか。娘も大人になり、母として子育てをしてみる中で、もしかしたら今までとは違う見方ができるようになったのかもしれないし。
ところで、カトリーヌ・ドヌーヴの大女優ぶりはすごいな~と。煙草を吸う姿、横顔などに思わず見とれてしまいました。纏うオーラが全然違いますね。何気ない仕草まで大女優のそれ。監督の撮りたかったものの一つかもしれません。
フランス映画ではありますが、観終わってみると、やっぱり是枝監督の作品だったなと思います。エンディングの音楽もちょっと日本映画っぽいなって思いましたけど、がっつりフランス映画でもない雰囲気がありました。これといって大きな盛り上がりや感動があるわけではないので、眠くなる人はいるかも…笑