「音楽」と「歌」を明確に分けて認識して、ほとんど「歌」を聴かない私。
そんな中で、時折どうしようもなく聴きたくなってしまう例外が山口百恵さん。
「夢先案内人」は大好きな歌謡ポップ。
「秋桜」は演歌チックなんだけど、タイトルが秀逸。
少年期の秋の記憶にはかなり「コスモス」が深く関わっていて、聴いているとその情景が広がっていきます。
宇部市の自宅前が広い空き地になっていて、そこにピンクと白のコスモスが大量に咲き乱れていました。
その中を走る飼い犬の柴犬の姿が忘れられません。
「乙女座 宮」は、百恵さんの中で最も好きな曲。
なんとも心動かされる歌声とメロディー。
で、聴いた当時に一番インパクトあって、いまだ郷愁強いのが「プレイバック part 2」。
これを聴くと、高坂駅(埼玉県)北側の都幾川の流れと踏切を横切るカステラ色の東武東上線の情景が脳内で再現される。
音楽って、人それぞれに情景に紐づいているんだと思う。
「いい日旅立ち」は、堂平山の天文台とミカン畑、そしてその麓のやはり都幾川に紐づいている。
堂平からは関東平野が一望でき、新宿高層ビルまで見渡すことができる。
70年代の東京の空はスモッグで灰色に霞んで見えた。
その空気感までもが忠実に再現される。
その再現にはレコードやカセットテープが最適で、CDではもの足らず、サブスクでは興醒めでさえある。
45年経過してもいまだ元気に当時のままの音を鳴らしてくれるレコード盤、一生もの。