失敗と言っても、このモデルの出来が悪いという意味ではない。
日産の戦略が失敗しているという話に過ぎない。
私は、このT33はグッド・デザイン受賞の名に恥じないスタイリングだと思う。
うん、カッコイイ!
でも、実車を見かけてサイド方向からリア付近を見ると、過去の爆死車トヨタ「ヴァンガード」を彷彿とさせるボッコリした感じで、ここだけはカッコ悪いと思った。
こちらがT33エクストレイル
こちらがヴァンガード
赤枠部分あたりの出っ張り方が、実車ではなんとも不恰好なのです。
でも、デザインなんてのは好き好きだから、エクストレイルの戦略失敗の本質は、e-4orceってのにしちゃったことだと思うのです。
実質燃費を研究しているサイトがあったので引用してみると、新型は14.94km/L。
で、私が乗っている初期型T32は、ガソリンで12.65km/L、ハイブリッドで13.80km/l。
実際の満タン法で私のガソリン車の燃費が13.0km/Lだから、このサイトの数値は限りなく信用できると思います。
とすると、私の旧型エクストレイルのガソリンAWDに対しての燃費改善は、2.29km/Lと、リッターでほぼ2km。
これを大きいと感じる人もいるかもしれないけれど、正直、私は大差ないじゃん!としか感じなかった。
実質燃費が20.0km/Lくらいまで伸びていてようやく「おおおお!」って感じ。
私の年間走行距離は5,000km。
T32(旧型)での年間ガソリン使用量は395L。
T33(新型)での年間ガソリン使用量は335L。
その差60L、年間9,600円。10年で9万6千円。
であれば、妥当な価格差は10万円程度。
言ってしまえばハイブリッドでもない旧型ガソリン車と新型モーター車、燃費的に劇的な違いはないわけです。
モーター式にする目的はなんだったのでしょう???
にもかかわらず、e-4ORCEは414万円。私の乗っているガソリン車は303万円。
なんと、111万円の大幅価格アップ!
エクストレイルに400万円以上は考えられない価格設定!!
案の定、旧型は登場5年にして年間50,000台を販売してSUV中3位だったエクストレイルは、
新型では登場2年を待たずして年間32,000台にしてSUV中6位。
大爆死とは言えないまでも、かつてSUV販売数No.1を誇った面影はもはやない。
理由は単純、燃費に対して貢献しないのに「ムーブメント」だけでモーター化して、価格を110万円も釣り上げて別ランクの車にしてしまったからだ。
しかし、エクストレイルはエクストレイル。
ユーザーとしては、300万円以上の価値を感じられる車ではないし、高級化なんて求めてもいないのだ。
これが、日産の戦略失敗。
まあ、ディーラーの人はそんなことは発表前から百も承知だったと思う。
もしこのボディと内装でガソリンエンジンにして300万円程度でAWDを発売してたら、大ヒットしていたのではないだろうか。
経済的に余裕ある人は買いかえた方が満足度高いだろうと思うけど、
今の日本人の大多数、自動車にそんなに投資できるほど余裕ないのでは?
富裕層を狙うにしては中途半端だし…
まあ、それでも単なる2Lガソリンエンジンの旧態依然ハリアー・ベースグレードが373万円だから、これを買うくらいなら新型(T33)エクストレイルの方がはるかに良いとは思う。
だって、Zっていうグレードは424万円だから、エクストレイルの方がちょい安いくらい。
話は矛盾して聞こえるだろうけど、同じような価格なら先進技術のe-4ORCEに乗ってみたいもの。
ちなみに、私が乗っていたV6 3,000CCの初代ハリアーは294万円。
エンジンがはるかに上等なのに、80万円も低価格だったわけだ。なんと言っても、300万円以内。
まあ25年も前の話にはなってしまうから単純比較はできないんだけど、ハリアーもエクストレイルと同じで300万円以上の価値を感じないのです。
何はともあれ、エクストレイルはe-4ORCEのみで展開している限りにおいて、浮上のチャンスはないんじゃなかろうか…