写真は視察2日目で訪れた松本市の松本城です。
太田市議会・高齢社会特別委員会は今月8日から9日の2日間、長野県佐久市、塩尻市、松本市を視察に訪れました。
私も委員として参加しました。(実は副委員長です)
佐久市のぴんころ運動
視察1日目は佐久市の「ぴんころ運動」。
「ぴんぴん」と健康で長生きし、亡くなるときは「ころり」が「ぴんころ運動」の由来です。
ぴんころ食
注目したのはぴんころ食。佐久地方の食材を使い、減塩とカロリーが控えめな料理の普及で成人病予防を推進しています。
今年からはさらに普及をはかるため、ぴんころ御膳コンテストも実施しています。
ぴんころステーション
佐久市では、ぴんころステーションという事業もあります。
各地区の希望で市全体で年20日ほど、栄養講話やぴんころ御膳の普及事業を実施しています。
また出前版として保健師さんや栄養士さんが各種イベントに参加し血圧、体重、体脂肪、握力測定や健康・栄養相談も実施しています。
保健補導員会
ぴんころ運動はいろんな団体が担ってますが、市保健補導員会もそのひとつ。
30~50世帯に1人の保健補導員を各地区の区長さんから推薦してもらい任期は2年で現在709人の保健補導員さんがいるそうです。
健康や長寿関連の研修を受けてもらい地区で活動しています。
保健補導員さんは経験者も含めると25,300人(2年任期なので)で、こうした人たちが地域でぴんころ運動を担っています。
市立病院では、減塩運動、一部屋温室づくり運動(家庭で最低一部屋は温かくした部屋を設ける)、食生活改善運動に取り組んでいます。
佐久総合病院(民間)では、公民館単位で健診を実施するヘルススクリーニングも実施しています。
こうした取り組みによって佐久市の老人医療費は1人あたり704,487円と全国平均の882,111円を格段に下回ってます。(2009年度)。
塩尻市
高齢者生活支援サービス
1日目は塩尻市の高齢者生活支援サービスも視察。
とにかくサービスメニューが多く、メニューの対象も広くしているのが特徴です。
タクシー利用助成券
75歳以上は全員支給
70~74歳は障がい者に
要介護1以上の人にも支給
たとえばタクシー利用助成券は、自動車などの交通手段をもたない人を対象に、75歳以上の人全員と70~74歳で身体障がい者手帳を受けている人、要介護度1以上の人に、月2枚=年24枚を支給しています。
太田市では身体障がい者手帳1級、2級の人が対象で年24枚の支給です。
高齢者住宅改良促進事業
塩尻市では高齢者対象の住宅改良促進事業も実施。
前年所得税額が8万円以下で、要介護認定で要支援1~要介護5までとされた人、身体障がい者手帳1~3級、要介護認定で自立とされた人で虚弱で支援が必要と認められた人が対象で、かなりの人が対象とされています。
塩尻市の高齢者住宅改良促進事業は、自立を促したり介護者の負担軽減に必要とされる工事を対象に70万円を限度に補助(自己負担は補助額の1割)します。
家族介護者慰労金
要介護3以上を対象に
塩尻市の家族介護者慰労金は、要介護度3以上の人と180日以上同居している家族に支給されます。
要介護度3の人を介護する家族には年5万円、要介護度4以上の人を介護する家族には年10万円が支給されます。
地域振興バス
塩尻市では地域振興バスも運行。
現在は市内10路線で運行していますが、来年度はさらに1路線を追加予定とされます。
市内なら
どこまで乗っても100円
地域振興バスの運賃は、市内ならどこまで乗っても1人100円。日曜、祝日、12月30日~1月3日を除く毎日運行(うち2路線は日、祝日も運行)し、各路線は1日3~5便運行とされます。
松本市 福祉ひろば
2日目は松本市の福祉ひろばを視察。
町会(自治会)公民館(集会所)や社会教育施設としての公民館、デイサービスセンター、児童館などに併設される市の施設(別の建物)として、市内35地区に36の福祉ひろばが設置されています。
福祉ひろばでは、町会(自治会)単位の身近な住民参加型の地域活動として、高齢者クラブや町内公民館(集会所)活動、ボランティア・サークル活動、出張ふれあい健康教室が行われています。
五つの理念
松本市の福祉ひろばには五つの理念として、①私たちの「福祉」の拠点――地域住民が主役、②「福祉」を軸に地域を変えていく――自助・共助・公助の歯車を廻す、③いきいき人生の健康づくり――地域ぐるみの健康づくり、④学びのひろば――学習を取り入れながら地域づくり、⑤「福祉文化」を創造する――福祉を軸に住んでいるまちを見直す――を掲げています。
六つの機能
さらに福祉ひろばには六つの機能として、①ふれあい・交流――お互いの顔がわかる関係に、②相談――不安や悩みの解消、専門機関との連携、③健康づくり――寝たきり・閉じこもり予防、心身の健康推進、④福祉づくり――支え合う地域へ、⑤ボランティア支援――地域での活動の掘り起こし、活動の環境づくり、⑥担い手づくり――地域づくりのリーダー育成、地域福祉の啓発推進――が位置づけられています。
職員も配置
保健師がサポート
福祉を軸に据えた自主的・民主的な地域づくりを支援するため松本市では、福祉ひろばへの臨時職員の配置や保健師、事務職員を派遣。
福祉ひろばには、地区推薦の臨時職員も配置(2~3人で交代勤務)され、さらに保健師や事務職員など市の福祉計画課職員が福祉ひろばの事業を支えています。
福祉ひろばはスタートして今年で16年になりますが、市では、●地域福祉を住民主体で進めよう、福祉や学習を軸に地域づくりをしようという意識が芽生えた。●人材・グループの発掘や資源の活用を意識するようになった。●地区内の様々な団体の連携や活性化が図られた。●地区の個性や特色が発揮されるようになった。●町会(自治会)に事業が拡大、波及した。●新たな福祉ニーズの発掘がされた――などの効果がみられるとしています。
市では福祉ひろばについて、自治会のトップダウンではない、地域住民みずからが考える福祉の地域づくりの拠点として活用していただきたいとしています。
2日間で視察した3市の事業は、当然どれもみな予算をともなうものですが、こうした事業を行うことは、疾病・介護予防にも確実に効果をあげていることがうかがえます。
そしてなにより、住民の福祉と健康の増進という自治体本来の役割を果たすうえでも、きわめて重要なものです。
予算を投入しても、疾病・介護予防に効果があがれば、それは医療費や介護費用の節減にもつながります。
太田市でも導入を進めるため、今後の議会活動でとりあげていきたいと思います。
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