太田市は昨年4月から運行をはじめたおうかがい市バス(デマンドバス)にたいする市民の声を受け、来年4月から運行体制を変更します。
変更後の運行体制とその前進面、課題はこちらからご覧いただきたいと思います。
●おうかがい市バス 来年度から運行体制を変更/2011年12月17日/水野正己のブログ
昨年4月のおうかがい市バス運行に先立つ3月議会で私は、一般質問を行い懸念される問題を指摘。改善を求めました。
さらに昨年6月議会でも、実際に運行後の市民や利用者の声も届けながら、必要な改善を迫りました。
今年の6月・9月議会では、4月の市議選で当選を果たした日本共産党の渋沢ゆきこ議員が重ねて公共バスの充実を求めて一般質問。改善を求めてきました。
今回は、公共バスに関するこの間の議会論戦をお伝えする私や渋沢議員のブログ記事とともに、ブログに詳細をUPできなかった昨年6月議会の一般質問と答弁を、太田市ホームページ・市議会・会議録のページから抜粋してお伝えします。
●交通弱者対策‐福祉タクシー券、公共バスの充実を‐2011年9月議会・一般質問/2011年10月21日/渋沢ゆきこ市議のブログ
●公共バスの充実を‐6月議会 一般質問/2011年7月14日/渋沢ゆきこ市議のブログ
●公共バス-路線削減から充実へ/2010年5月30日/水野正己のブログ
●デマンドバス-市長 施設に通う障がい者全員が乗れるように-3月議会/2010年3月5日/水野正己のブログ
公共バス路線の充実を
2010年6月議会
水野正己の一般質問
(太田市ホームページ・市議会・会議録のページより抜粋)
●公共バス路線の充実を/水野正己の一般質問/2010年6月議会/太田市ホームページ・市議会・会議録のページ
(水野)
公共バス路線の充実についてでありますが、4月から導入したデマンドバスの実績については昨日も、そしてきょう午前中にも一般質問の中で質問があり、市民生活部長から答弁がされましたので、ここでは伺うことは割愛させていただきますが、ただ、この後の質問の関係もあって、その実績の中で問題のある点についてのみここで引用させていただきたいと思います。
5月末現在でデマンドバスの利用登録者が1,659人、利用回数が片道を数えて4,190回、75歳以上の方が全体の75%、障がい者が約10%、その他として75歳以下で移動手段のない人が約15%いる。利用先として医療機関が全体の84%、買い物など商店が14%、最寄り駅が2%ということでありましたが、昨日、本日午前中の一般質問の中で部長に答弁を求めていなかった点について伺います。
このデマンドバスは年間50回、週1回程度の利用が原則とされておりますが、ただ、この利用原則を超えて週1回以上であっても、利用の申し出があれば実態に合わせてデマンドバスの利用がされているという現状もあります。
この週1回以上の利用者数、利用回数について、市民生活部長に伺います。
(市民生活部長)
お尋ねの部分ですけれども、年間50回、週1回以上という利用者数ですけれども、年間50回というのはまだスタートした直後ですので、実績の中で統計ができていくものだと思います。週2回から3回利用している方がございます。人工透析の患者さんですけれども、10名ほどおいでになります。それから、この2カ月間で1人当たり片道カウントで延べでいきますと32回から48回ぐらいの間で利用されている実態はございますので、よろしくお願いしたいと思います。
(水野)
デマンドバスの導入に伴って、ことし3月末までに市内に11路線あった路線バスのうち、尾島線、新田線、2路線を残して残り9路線は廃止されました。
さらに、残った尾島、新田線も土曜、日曜、祝日が運休です。
そして、昨日来ありましたが、デマンドバスの利用が年間原則50回、おおむね週1回程度、事前の予約も必要、土日が運休、平日運行が午前9時から、対象者も75歳以上、障がい者、その他市長が認める人と限定され、利用目的も通院、買い物、最寄り駅と限定されています。
3月定例会の私の質問に対する市長答弁によって、障がい者施設などへの通所の足は確保されているものの、廃止された路線バスを利用していた人たちの通勤、通学、75歳未満の人を含めて通院、買い物などの足がなくなってしまいました。
市長は、昨日来、そして3月定例会での私の質問に対しても、必要な人は申し出てくれれば利用も可能となるよう検討すると答えていますが、申し出れば利用できるということを知らない人も多いのが実態です。
さらに、デマンドバスの運行日、運行時間が限定されているということもあって、今のデマンドバスの体制では雇用、通勤、そして部活動を含めた通学、通院の実情にも十分対応することができないのが実態だと言えます。残った尾島、新田線も同様です。
そしてもう1つ、ここが非常に大きな問題になりますが、今、市内で生活保護を受けながら働いている人もいますが、生活保護受給者は原則として車も、50㏄のバイクさえも所有、使用が認められていません。
どうしても通院、通学、通勤などに必要な場合は、車、バイクなどの維持費の諸経費を第三者が負担することで所有、使用が認められていますが、現在の太田市では、こうした車、バイクの使用はまず認められません。
それは、とにもかくにも公共交通、公共バスの路線があったということが主な理由とされてきました。
ところが、11路線あったうちの9路線が4月から廃止されてしまったわけであります。
せっかく生活保護から抜け出そうと必死な思いで仕事を探して、通おうと思ったら車、バイクは認められず、しかし、路線バスは限られている。通勤さえもままならない。
ましてや、子どもを抱えているお母さんから実際に相談があったわけですけれども、保育園の送り迎えも含めて、自転車で通勤していたのではとても対応がし切れないという声も上がっているところです。
以上の問題を考えると、やはり路線バスの復活も含めて公共バス全体の充実が求められるところです。
土日運行など運行日、そして運行時間、路線、利用対象者、利用対象目的地の拡大などが、デマンドバスに限らず公共交通としての総合的な充実が求められますが、市長の所見を伺います。
2点目ですが、なぜデマンドバスの利用対象者を年齢で75歳以上と区切ったのかを伺います。
これでは、年齢で区切るのは、かつて市長が強く批判していた後期高齢者医療制度と同じで、75歳の誕生日を迎えた途端に、このデマンドバスの利用を制限するというのは、これは決して市長が望む方向ではないと私は信じたいと思いますが、ですから、市長が必要と認めれば利用ができるわけですけれども、ところが、実際には申し出て利用ができるということさえ知らない人も多い。
このように考えてくると、やはり年齢制限はそもそも撤廃すべきではないかと私は考えております。
利用目的についても伺いますが、例えば老人福祉センターを例に挙げると、あの施設は60歳以上の人のために、生きがいづくり、そして介護予防、疾病予防も含めてつくった施設ですが、75歳未満の人たちが老人福祉センターに通う足さえも奪われかねない状況をつくり出してしまっていることも問題です。
以上の点について市長の所見を伺って、2回目の質問を終わります。
(市長)
先ほどの話だと市民負担を上げるという話がありました。
一貫校をつくると市民負担を及ぼす。路線バスは及ぼさないのですか。
これは目的を限らず、大まかな年齢も限らず、すべてフリーにしてだれでもどうぞと。いわゆる交通弱者でなくても、どうぞ使ってください、これをやったら市民負担の増大にはならないのですか。非常に矛盾を感じるのです。
1つ1つは覚えていませんが、先ほどの話ですと市民負担を随分言っていました。でも、市民負担を言いながら、片方で市民負担を増長するような言い方、全然話にはならないということであります。
話になるなら、一貫して市民負担増にならないような提案をぜひしてほしい。
現在やっている路線バスで不満があれば、我々は変えていきたいと思っていますが、私も非常に気になりますので、ダニエルハウスに行くたびに事務所へ寄ってくるのですが、喜ばれることがあっても不満がない。
不満がないのが不思議でならないというのは担当者の言い方であります。
喜ばれるのは、高齢者がひとり暮らしで会話をする機会がない。
話し相手ができただけでも、とてもうれしいというような言葉が非常に多いということであります。
路線バスからの転換によって、無料であるとか以上に喜びを感じるのは人と人との対話ということです。
ただ、負担増で言っていきますと、何にもやらないことがよくなってしまうということです。
路線バスにだけ適用して、学校には適用させないという論理はないということであります。
現在の状況を今後ともしばらく見守っていきたいと思っています。
(水野)
市長から質問されることはありませんが、バスの充実は市民負担増でなく、なぜ太田商業高校の中高一貫校化が市民負担増だと、私が言うのかということを市長から質問されたわけですが、私は広範な市民の、あるいは切実な市民の願いにこたえるためには、財源確保のために苦労をいとわないのが本市の責任であるという立場から、先ほどのような質問をしたわけですが、太田商業高校の中高一貫校化が太田市の義務教育の充実のためにどれほどの効果があるのか、それから対象とされる子どもも35人学級掛ける3クラス、掛ける3年間、3学年です。
しかし、一方で市内にたくさんある義務教育学校で学ぶ子どもたちの教育環境をどう充実させるかという点で、そのために予算を確保する苦労はいとうべきではないと考えますが、特定の子どものための予算づけは、私はやはり市民負担増につながるのではないかということを申し上げたわけであります。
バスですけれども、利用者、あるいは利用したいと思っている人からいろいろな声が来ているわけです。
2つほど紹介すると、当然往復ドア・ツー・ドアで送り迎えがされるということで申し込んでみたら、利用が殺到することもありますから、ドア・ツー・ドアですから利用できる人には本当にこの上ない便利なものであるだけに利用が殺到したものと思われますが、帰りはタクシーを利用してくださいと言われてしまったと。
利用が殺到したということだと、ご本人も私も受けとめているのです。
ところが、帰りはタクシーを利用してくれと言われた人の話を聞いたある人は、結局、片道しか乗れないのでは、帰りの手だてがとれないからデマンドバスの利用を、登録はしてあるけれども、申し込んでもしようがないのではないかと頭を抱えてしまった。
こういう例もあるわけで、そうすると、デマンドバスに限らず、きのうも質問がありましたけれども、デマンド型、あるいは停留所型、デマンド・停留所併設型の乗り合いタクシー事業ということで民間業者に委託することも含めて、バスの拡大はやはり必要なのではないかと私は考えますけれども、市長の所見を伺います。
(市長)
(公共バスについて)電話があったという人はどういう方だかわかりませんが、例外的にあったことをあたかも日常かのような言い方はやめてもらいたい。
議員があの事務所に何度行ったかわかりませんけれども、私はほとんど1日置きぐらいにあそこへ通っています。
現場へ行って、運転手さんの声、あるいは職員の声を聞いていますけれども、そういった事例がもしかしたらあったかもわからない。
でも、それは日常的な問題ではない、私はそう思うのです。
今のデマンドのやり方で不満がいっぱいあるだろうということを前提にして私はいつも寄っているのです。
でも、そういった不満の声は聞いていないのです。
これはたまにはきっとあるのでしょう。
だけれども、例外的なものを恒常的なような言い方をしないでほしい。
私は、このデマンドバスはもっともっと拡大して、もっと利便性の高い、みんなに満足度の与えられるようなシステムにしていきたい。
それには、前にも議員から質問がありましたけれども、できれば行政センターを拠点に持ったデマンドにしていけば、自分たちの近所の人を送り迎えできるようなシステムに変わっていけばいいのではないかということであります。
こういう形で動き始めれば、また行政センターと行政センターの連携もできてくる。
何も本体をあそこに置く必要性がないわけで、お客様が中心でありますから、本体がどこにあるかはそんなに問題ではないということなのです。
ぜひデマンドについても応援をしていただきたいと思います。
(水野)
バスについては、例外的なものを殊さらクローズアップしたつもりはありませんが、路線バスが走っていれば、このような問題は起こらなかった一例として挙げたわけですけれども、言えるのは今の体制のままでは、やはりどこからどう見ても公共バス政策としては後退、前進面もありますけれども、すそ野の広い公共交通機関ではなくなった。
生活保護受給者が働く場合の通勤の足の確保という点でも、支障になっているという点は直ちに改善していただきたいと求めたいと思います。
必要な人に必要な足をということで考えれば、行政センターをベースにするのも結構ですけれども、民間のタクシー業者の力を活用するということも十分可能性のある手法だと思いますので、検討だけではなくて、そこにもまず着手を図るというふうにお答えいただければと思います。
(市長)
バスは、路線バスでやろうが、デマンドでやろうが、どんな形でも完璧はないのです。過去のバス路線があったときだって完璧ではないのです。いかにカバーするかです。あとは市民力です。市民がみんなでカバーし合ってお互い、さっき友愛がありましたけれども、友愛の気持ちで助け合うということが大事だということです。
※以上が2010年6月議会の一般質問での私と市長のやり取りです。
答弁の中で市長はおうかがい市バスについて、「とくに不満は届いていない」と強調していますが、それでも一定の改善を行う意向は示しています。
その答弁で示された意向が、来年4月からの運行体制の変更につながったことはいうまでもありません。
来年4月までにみなさんのご意見もうかがいながら、よりよい公共バスとするために、建設的な提案を続けたいと思います。
おうかがい市バス
(デマンドバス)
【現行の運行体制】
●乗客のデマンド(希望)に合わせて走行するバス。太田市では2010年4月1日から運行を開始しています。利用希望日の1週間前から前日までに申し込み、利用者の自宅付近から目的地までを往復します。
●利用対象者は、①75歳以上、②障がい者、③その他特別の事情のある交通弱者(いずれも市内に住民票のある交通弱者)。
●利用できる目的地は①市および近隣市町の医療機関、②市内の商店、③市内の最寄り駅。
●運行日時は月~金。午前9時~午後4時。※土・日・祝日および年末年始(12月29日~1月4日)は休業。
●利用回数は当初原則年間50回まで(週1回程度)とされていました。。
●私の2010年3月4日の質問で、施設に通う障がい者は「原則年間50回まで」の規定に関わらず利用できることになりました。通勤・通学のための利用も、申し込めば利用できるように検討されることになりました。しかしその後の検討では、通勤・通学のための利用は認められませんでした。
●利用料は現在無料。
[太田市] ブログ村キーワード
太田市は昨年4月から運行をはじめたおうかがい市バス(デマンドバス)にたいする市民の声を受け、来年4月から運行体制を変更します。
変更後の運行体制とその前進面、課題はこちらからご覧いただきたいと思います。
●おうかがい市バス 来年度から運行体制を変更/2011年12月17日/水野正己のブログ
おうかがい市バス
(デマンドバス)
【現行の運行体制】
●乗客のデマンド(希望)に合わせて走行するバス。太田市では2010年4月1日から運行を開始しています。利用希望日の1週間前から前日までに申し込み、利用者の自宅付近から目的地までを往復します。
●利用対象者は、①75歳以上、②障がい者、③その他特別の事情のある交通弱者(いずれも市内に住民票のある交通弱者)。
●利用できる目的地は①市および近隣市町の医療機関、②市内の商店、③市内の最寄り駅。
●運行日時は月~金。午前9時~午後4時。※土・日・祝日および年末年始(12月29日~1月4日)は休業。
●利用回数は当初原則年間50回まで(週1回程度)とされていました。。
●私の2010年3月4日の質問で、施設に通う障がい者は「原則年間50回まで」の規定に関わらず利用できることになりました。通勤・通学のための利用も、申し込めば利用できるように検討されることになりました。しかしその後の検討では、通勤・通学のための利用は認められませんでした。
●利用料は現在無料。
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