びっくらこいた

　毎朝だいたい５時半から６時くらいの間に目覚める。よっぽど遅れてはいけない時でもなければ目覚し時計を使うことはほとんどないが、それでもちゃんと目が覚めるのだから、私の体内時計もなかなか正確である。学生時代は典型的な夜型生活だったので、目が覚めたのは夕方だったなんてこともしょっちゅうあったけれど、今ではもうそんなに眠り続ける自体が不可能だろう。長いサラリーマン生活が体に染み付いてしまったのか、それともただ単に年を取っただけのことなのか、いずれにしても毎朝決まった時間に目が覚めるのである。
　昨日も大して飲みはしなかったのだが、夜遅く帰り、ちょうど日付が変わる頃に寝床に入った。すぐに深い眠りに落ち、目が覚めた時には若干の頭痛とけだるい疲労感が体に残っているのもいつものとおりである。半分体を起して、ベッドにクッションと枕を積み上げ体をもたせかけてからテレビをつける。42分かあ。今日はちょっと遅いなあと寝ぼけながら、フジテレビの「めざましテレビ」を見る。いつもリモコンをせわしなく操作しながら、あちこちの番組をチェックするのだが、6時50分過ぎからはフジテレビにして58分から始まる「今日の占いカウントダウン」のコーナーをチェックしたら、やおら立ちあがり支度を始めるのが日課である。今朝もそんな習慣に忠実にテレビをぼ～っと見ていた。大塚範一と高島彩の顔が見える。58分。いつものように占いが始まった。テレビから聞きなれた声が響く。
　今日の占いカウントダウン　ハイパ～！
ん、ん、ん？え～～！！！これって6時58分じゃなくて7時58分から始まるコーナーじゃないかあ！ていうことは、まるまる１時間寝坊したっていうことなのかあ。寝ぼけ頭が一瞬のうちに覚めて、動揺が収まらないうちに番組は終了し、そのまま小倉智昭の顔がアップになる。これはもう間違いない８時から始まる「とくダネ！」だあ。やばい。ベッドから飛び起き、あたふたと着替えをしてから、顔を洗うのもそこそこに家を飛び出す。いつも乗る車両は女性専用車両の時間帯になっているために乗れないし、１時間遅い電車はラッシュのピークでもみくちゃである。まったくなんてこったと自分で自分を罵りながら、なんとか職場までたどり着いたのであった。エレベーターの到着を待つ間に見知った顔から声がかかる。
　「あれ、今日はずいぶん遅いですねえ。」
　そう、今はまだ始業時間10分前。ちょうどみんなが続々と出勤してくる時間なのだった。そう、１時間遅刻してもまだまだ全然大丈夫。そんな早起き生活を送っている私なのでした。