みゆきな日々

チワワのチェリー女の子&私・年金暮らしのジッちゃんに絶賛親孝行活躍中

ジッちゃんから聞いた怖い話【遺品】

2016年04月11日 | 2015年ブログ
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ジッちゃんから聞いた怖い話【遺品】
 
ジッちゃんの同僚が青木ヶ原樹海で自殺
樹海は2時間程で通り抜けられる遊歩道がある
しかしその遊歩道には何本もの枝道があり足を踏み入れると別世界だとか
年に何度か地元警察が自殺者の遺体を探しに入る
 
枝道を進んで行くと黒い鞄が落ちてた
だいぶ雨風で痛んでいる黒い鞄
中を開けると着替えの他に手紙や写真 医薬品などの小物が入ってた
その時点で自殺願望者が何かの事情で捨てた?と思われた

誰かが
『間違いないね、持ち主はこの近くで亡くなってるな』
 
そこから数十メートル歩くとブレザーにジーンズ姿の人が倒れてた
捜査員は遺体を収容し身元調査に入った
死後数日だと捜査官
程なくして身元が判明

職場に衝撃が走った

同僚のディスクをひっくり返して自殺の心当たりを探した
何もでない
では家庭に問題があったのではないか?
憶測が憶測を呼び
ひとまず仕事と自殺の因果関係は見つからない
結婚して2年
彼には若い妻がいた
大恋愛の末に夫婦になった2人

妻は夫の遺品を返してもらい丁寧に袋に入れて警察署から真っすぐ職場にきた
お別れの挨拶だった
『このたびは主人がお騒がせして申し訳御座いませんでした』
深々と頭を下げた未亡人となった彼女は今にも倒れそうなほど憔悴
 
『あの・・・これ』
未亡人は1枚の写真を職場の人に差し出した
自殺した同僚を真ん中に両脇に仲良し同僚が写った写真
 
一緒に写ってた同僚が受け取る
『それではこれで』
そう言って未亡人はその場を後にした
 
『おい、どうするこの写真』
一緒に写ってるもう一人の同僚に囁いた
『どうするも何も・・・そうだ塩でお清めして焼こう』
2人は駐車場に出て職場の食堂から貰った塩をサッサッと撒いて写真を焼いた
 
その場で燃え尽きた写真に手を合わせ
『何で自殺なんかしたんだ?どうして悩みを打ち明けてくれなかった?』

後日、自殺した同僚のディスクを倉庫の奥に移動
ディスクの移動を手伝った社員が
『机の中に入ってました』
持ってきたのは一見 針金?
『これ・・・指輪じゃねぇの?』
それはバラバラに切り離した結婚指輪らしかった
丸い輪であるはずの指輪を意図的にペンチか何かでバラバラに?
 
『どうする?』
『どうするって、まさかこんなの奥さんに持っていけないだろ』
取りあえず小さな封筒に入れて会社で保管
 
やっぱり家庭不和が原因?
 
封筒に入れたバラバラ指輪の事も忘れた頃
自殺した同僚の妻が職場に顔を出した
『あの・・・夫の遺品・・・他に無かったでしょうか?』
何も知らない若い社員が
『壊れた指輪みたいなのがディスクに入ってたので保管してますが』
『それ返してもらえますか?主人が取りに行けと言うもので』
 
『えっ?』

何も言わず保管庫に行き“指輪らしき物体”の入った封筒を彼女に渡した
痩せこけて白髪が増えた未亡人 
『有難う御座います』
自殺時に一緒に見つかった黒い鞄を大事そうに両手で抱きしめ
職場のドアを開けて一礼して出ていく彼女の後ろを見送った同僚が
ヒィィイイイイィィィーーッ

『どうした?』

『あいつ・・・奥さんの背中にしがみついてる』
 
『誰が?』
『あいつだよ・・・自殺した』
『気のせいだよ、錯覚だろ?』
『いや・・・ハッキリ見た』

長い沈黙

青木ヶ原樹海で見つかった遺体と一緒に帰ってきた黒い鞄

月日は経ち
未亡人になった彼女は癌で亡くなった
青木ヶ原樹海で亡くなった元夫の小物が入った黒い鞄
彼女が亡くなった時、あの黒い鞄も一緒に棺に入れたそうな
結局、ジッちゃんの同僚の自殺の原因は分からないまま
彼女は原因を知ってたのだろうか?
ジッちゃんも自殺の原因に心当たりが無いという
黒い鞄と一緒に煙になった彼女
あちらで今度こそ一緒になれたかな・・・。
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