ここ数日、何も書いてない火が続いていたけど、書く意欲がなくなった訳ではない。
ハガレンの二次なんだけど十二国記とクロスオーバーさせた話を書きたい、設定とか色々と考えていたら時間がかかってしまった。
王になれば永遠の命だけど、それだと色々と背負うものも多いし自由がないので、海客だ。
ギャグ、ちょっとシリアスとか入れたい、でも恋愛部分もと思ってしまったわ。
オリジナルで中の人を書いたけど、やはりマルコーさんをじっくり書きたい。
芳国(ほうこく)は初代に続いて二代目の王も失道ではないかという近隣諸国の噂に王たちは仕方のないことだと思って
いた、全ての国が繁栄し、平和であることなど有り得ないからだ。
気の毒な事と口では言うが、それは表向きだ。
芳国の麒麟は病にかかっているから表に出られない、国、そのものが、もう駄目ではないか、民は国に流れている、最悪ではという噂が流れて数ヶ月が過ぎた。
麒麟が病にかかれば、国、自体が危うい、そろそろ一年になろうとしていた。
「峯国の麒麟が祝祭に出たと、それは真か」
その知らせに各国の麒麟たちは喜んだ、だが、王たちは、中でも巧州(こうしゅう)の王の胸中は複雑だった。
「海客だと、まさか、あの王が」
男の顔に浮かんだのは嫌悪だ、赤い髪、自分よりも若い女が王位についた事を知り、一度は殺そうとした、だが、叶わなかった。
報告する男は首を振った、黒髪の海客だと。
使令達の言葉を聞きながら陽子は苦笑した、三年前、慶国(けいこく)に来た海客が自分の知り合いだったことには驚いたものだ、彼女も自分のことを覚えていて、てっきり神隠しではと思っていたらしい。
その日、陽子は数日前も小言を聞いたような気がすると思いだした。
「主上、あの者にもう少し危機感を持つように仰ってください」
それが誰の事を言っているのかわからない訳ではない、だが、あえて何のことだと聞き返した。
「ご友人のことです」
青年の口調は穏やかだ、だが、その表情に主である自分のほうが困ってしまった。
わかっている、自分達の世界とは違う、国によっては言葉が通じない事もある、人を騙し、売り飛ばして、殺すなどということもある、だが、今回、使令達が危機感というのは妖魔に対してのこととかされて陽子は困った。
偶然、遭遇した妖魔は一匹ではなかった、こちらが攻撃するのを彼女が止めたというのだ。
「親子かもしれないから、見逃すようにと」
使令の班渠(はんきょ)の言葉を聞いて、側にいた景麒(けいき)が諫めるように声を潜めた。
「景麒、彼女には後で私から言っておく」
青年は溜息を漏らした。
「ところで、彼女との会話、言葉に不自由はないか」
日本から来た彼女は、こちらの言葉を完全には理解できない、賓満(ひんまん)が憑りつけば言葉が理解できるのだが、彼女は、それを拒んだ。
外国に来ているような気分になれる、残りの人生、毎日、何があるのかと思いながら生きるのも悪くはないと言われて、あえてそのままにしているのだ。
「会話のときは手振りや身振り、かなり顔を近づけてきます、多分、こちらの表情を見ているのだと思われますが」
「元々、近眼、目が悪いのもあるんだろうけどね、景麒、甘いと思うかもしれないが、少し」
「そうですね、今回、峯国の麒麟に関しては感謝しています」
病にかかった仲間の麒麟の事を思い出した青年は軽く頭を下げた。
「以前から考えていた、ハルさんに手助けをしてもらいたい、私には味方が一人でも必要だ、楽俊に色々と教えて貰っているようだし」
「官位をお授けになりますか」
その言葉に陽子は驚いた顔で青年を見た、いいのかと。
「その方が周りの目も少しは変わると思います、同じ海客だから王に優遇されていると思われては」
「言われているだろうな、だが」
ご存知でしたかと青年は困った顔で自分の主を見た。
それから数日後のこと、蝕が起きた。
逆転の国土錬成陣で賢者の石を作るのに人の命を使う事はないとわかっても、錬金術の仕組みというものは決して簡単なものではない。
だから、シロウト丸出しの人間が石を作ろうとして、トラブルが起こってしまったのは、偶然が重なったとしかいいようがなかった。
イシュヴァールで医師として働いていたティム・マルコーが、ロイ・マスタングからの連絡を受けてセントラルに来る事になったのも仕方のない事かもしれなかった。
賢者の石の管理を軍が率先して行ってはどうかという意見が上層部から出たが、反対意見もあり、簡単にはいきそうはない、そんな最中に事件が起きた。
錬成陣の――。
「どういうことだね、理由を説明してくれないか」
説明する相手の顔色は悪い、しどろもどろで聞いているマルコーの方が珍しく、内心、イライラとしてしまった。
錬成陣から、消え入りそうな声で呟く相手に、マルコーは何を言っているのかといういう顔になった。
案内された部屋に入ると中央には布がかぶせられた塊が見えた、近づこうとしても錬成陣の中に入れないんですと言われて、マルコーは声をかけた。
「実は三日前から、あの状態で、あれが何かわからないんです」
ぼそりと小声で呟く男の説明に、マルコーは呆れた顔になった。
「スカー君、頼めるか」
「ああ、だが、万が一の場合は」
用心しながら近づくスカーが錬成陣に踏み入ろうとした瞬間、体が弾き飛ばされた、同時に炎が上がり、布の塊から炎が上がった。
青い火だ、だが、瞬く間に消えると、そこには人が倒れていた。
「蝕です、人災は」
報告する景麒の言葉に海客が一人と言われて自分は今、どんな顔をしている、冷静になれと陽子は自分に言い聞かせた。
「蘭(らん)を飛ばす、どこにいても、あの鳥ならハルさんのところにたどり着けるはずだ」
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