ことばと学びと学校図書館etc.をめぐる足立正治の気まぐれなブログ

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まもなく出版される待ち遠しい本たち。

2007年03月27日 | 「学び」を考える

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ラルフ・フレッチャー&ジョアン・ポータルピ著/吉田新一郎・小坂敦子訳 

『ライティング・ワークショップ-「書く」ことが好きになる教え方と学び方-』

新評論、2007/03)

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 「日本の授業を根底から変えていく本を次々に出していきます。」とは、吉田さんから届いたメールの最初のことばだった。吉田さんは、これまでにも学びを育む指導に関する世界の動向を的確にとらえて次々に紹介してくれている。

子ども自身が本物の「作家」になる体験を 吉田新一郎

み」「書き」は,国語の柱であるだけでなく,多くの教科や科目の中核的な位置を占めています。それができる人は勉強もよくでき,できない人は単に勉強ができないだけでなく,嫌いになってしまいかねないぐらいに重要なものでもあります。
書の訳者の1人である私は,小・中学校時代の「読み」「書き」(つまり,国語)の授業が大嫌いでした。ひとことで言ってしまうと,あまりにも強制と否定体験が多すぎたからです。
分自身が好きになり,そして多くの子どもたちも好きになり,かつできるようになる方法を探している過程で見つけたのが,欧米の「読み」「書き」の授業の主流を成しているリーディング・ワークショップとライティング・ワークショップでした。
ずは,ライティング・ワークショップから紹介します。約1年間,日本でも7人の先生方に実践してもらって,その極めて高い“威力”が日本の国語の授業としても証明されたからです。
イティング・ワークショップの中心に位置づけられるのは,本物の「作家」になるという体験です。作家ですから,とにかく書きます。書く内容は,当然のことながら1人ひとりが決めます。ノンフィクション・ライターも含めて作家ですから,みんなが取材ノートならぬ「作家のノート」をもっており,書く題材を集めたり,下書きをそれに書きます。教室の中には「作家の椅子」も用意されます。それに座って自分の作品を紹介することは,誰にとってもワクワクする体験です。
きになり,かつできるようになる「書く」授業を,この本を参考にして作り出していただけるとうれしいです。(よしだ・しんいちろう ラーンズケイプ代表)

 

犬山市教育委員会[編]
『全国学力テスト、参加しません。―犬山市教育委員会の選択―』
(明石書店、2007/03)

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  4月24日に文部科学省が全国一斉に学力テストを実施する。正式には「全国学力・学習状況調査」といい、義務教育段階の各学校における学習上の問題点や課題傾向を調べるものとされている。それだけなら現在行われている抽出による学力テストでじゅうぶんであろう。それを全国一律に課すことで、学校や塾で正答率を上げる教育が広がるだけでなく、自治体や学校が序列化され、教育の地方分権が脅かされることも懸念される。しかも、数値化できる部分しか測らない(あるいは学力を数値に還元する)テストは、当然のことながら得点力を身につけた子どもがいい成績を上げることができるので、その成績が子どもの生きた学力をトータルに反映するとはいえないだろう。前にも紹介した愛知県犬山市の教育委員会は、全国の自治体でで唯一、そんな学力テストに参加をしないことを宣言した。子どもたちに得点のための競争をさせず、学校やクラス間の格差を生まないために、犬山市は、学校選択制や習熟度別授業を導入せず、学力テストも学校単位で行い、教師が副教本をつくって少人数クラスにおける学び合いを進めることで「自ら学ぶ力」を育てる工夫をしている。そんな犬山市の教育に注目する人は多い。

 目次

第1章 地方分権・現場主義の教育改革を  
――地方の新しい価値観にもとづく教育文化をつくる 
1 教育の不易と流行 
2 不易をふまえた犬山の教育改革 
3 教育改革のすすめ方 
4 自分のまちの子どもは自分たちの手で育てる 
5 教育の責任は重い

第2章 なぜ「全国学力テスト」に参加しないのか  
――Q&A・不参加を決めるまで 
1 「全国学力テスト」Q&A  
2 協議を重ね不参加を決める 
3 すべての子どもに学びを保障する 
4 競争が学校現場にもたらすもの

第3章 犬山の子は犬山で育てる  
――子ども像・教師像・授業風景 
1 めざす子ども像 
2 求められる教師像 
3 学び合いの授業風景

第4章 学び合いで育つ学力と評価  
――子ども・教師の意欲を引き出す評価をさぐる 
1 学力や評価について考える 
2 協力してよりよい評価のあり方をさぐる

第5章 めざす学校像  
――学校の自立とそれを支える教育委員会 
1 権限と責任を与え学校の自立をすすめる 
2 学校を地域コミュニティの核に 
3 教育委員会は学校を全力で支える

第6章 子どもの学びを支える教育の地方自治  
――教育委員会の責任と権限で自主的判断と選択を 
1 教育の地方自治と独立が試されている 
2 なぜ全国学力テストを実施するのか 
3 競争による教育改革―学校選択・バウチャー・学力テスト 
4 プライバシーを侵害するおそれのある学習状況調査

教育委員より/学力と徳育/地域主体の教育改革

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