映画の話
サンフランシスコ一帯に“ゾディアック”と名乗る連続殺人鬼が現れた。管轄区内の4人の捜査官たちが殺人犯の捜査に奔走する一方で、まるで警察をあざ笑うかのように、不可解な暗号と手紙を残していくゾディアック。やがて4人の男たちは、謎めいた手がかりばかりが残されるゾディアック事件に取り憑かれていく ――。
本作は実際に起きたゾディアック事件を元にした作品で、私はゾディアックについては映画「ダーティーハリー」の犯人のモデルになった人物としか知らないので、ほぼ予備知識ゼロと言った所。
映画は、時代設定に合わせて昔のワーナーブラザーズとパラマウントピクチャーズのロゴマークにアナログ音声ノイズを被せてある懲りようで幕を開ける。
時代は1969年、フィルムの感じも黄色みがかったボケ気味の画像で昔の雰囲気を感じると思っていたのだが、これは製作者のトリックで本作はHDカメラで撮影されている。
オープニングにゾディアックの冷血な犯行を観客に見せ付けて恐怖を植え付ける演出が旨い。
そしてゾディアックの犯行声明文と共に暗号文が新聞社に送られてきて、暗号文は新聞社から警察、CIA、FBIから、新聞を読んだ高校教師が暗号を解読するまでが時系列にテンポ良く、無駄なシーンが無く映画の世界にドンドン引き込まれていく。
ゾディアックの犯行は第二、第三、未遂事件と淡々と描きながら、平行して新聞社と警察の活動が細かく丁寧に描かれる。
映画は二人の新聞記者と二人の警官に焦点を当て、事件の迷宮に翻弄されて壊れてゆく男たちの姿が描かれる。
映画の感想 ややネタバレあり。
本作は現在進行形の未解決事件を描いた作品なので後味のいいものではないが、一本の映画として素晴らしく良く出来ている。
監督のデビッド・フィンチャーの映像作家としての成熟を画面からヒシヒシと感じる。細かいエピソードを積み重ねて、見せる所は見せて、省略できる所は省略した割り切った演出で無駄が無くテンポも非常にいい。
特に未遂に終わった事件の親子のシーンは卓越していて、事件の前後を描いて大事なシーンは切り取られていて、観客の想像にゆだねてあるのだけれど、どのシーンより一番スリルがあり、何でも絵で見せるより遥かに恐ろしいシーンで監督のセンスの良さを感じた。
役者のチョイスも良く、かなり地味目の面子がそろっているが、適材適所に良い役者が配置されていてる。話の進行を警察ではなく、新聞社の風刺漫画化の目線で語られて観客が感情移入がしやすく、この映画の中でも一番ひ弱そうな人物だけあり、後半の単独取材で知らす知らずに犯人に近づきすぎてしまうシーンは怖かったし演出が旨い。
映画は、観客に結論を委ねて幕を閉じるが、この映画を見ると、どう考えてもアイツが犯人としか考えられない。本当はどうなの?
「セブン」のデビッド・フィンチャーを期待してみに行くと肩透かしを食らうので注意が必要!
映画「ゾディアック」の関連商品はこちらをクリック。
サンフランシスコ一帯に“ゾディアック”と名乗る連続殺人鬼が現れた。管轄区内の4人の捜査官たちが殺人犯の捜査に奔走する一方で、まるで警察をあざ笑うかのように、不可解な暗号と手紙を残していくゾディアック。やがて4人の男たちは、謎めいた手がかりばかりが残されるゾディアック事件に取り憑かれていく ――。
本作は実際に起きたゾディアック事件を元にした作品で、私はゾディアックについては映画「ダーティーハリー」の犯人のモデルになった人物としか知らないので、ほぼ予備知識ゼロと言った所。
映画は、時代設定に合わせて昔のワーナーブラザーズとパラマウントピクチャーズのロゴマークにアナログ音声ノイズを被せてある懲りようで幕を開ける。
時代は1969年、フィルムの感じも黄色みがかったボケ気味の画像で昔の雰囲気を感じると思っていたのだが、これは製作者のトリックで本作はHDカメラで撮影されている。
オープニングにゾディアックの冷血な犯行を観客に見せ付けて恐怖を植え付ける演出が旨い。
そしてゾディアックの犯行声明文と共に暗号文が新聞社に送られてきて、暗号文は新聞社から警察、CIA、FBIから、新聞を読んだ高校教師が暗号を解読するまでが時系列にテンポ良く、無駄なシーンが無く映画の世界にドンドン引き込まれていく。
ゾディアックの犯行は第二、第三、未遂事件と淡々と描きながら、平行して新聞社と警察の活動が細かく丁寧に描かれる。
映画は二人の新聞記者と二人の警官に焦点を当て、事件の迷宮に翻弄されて壊れてゆく男たちの姿が描かれる。
映画の感想 ややネタバレあり。
本作は現在進行形の未解決事件を描いた作品なので後味のいいものではないが、一本の映画として素晴らしく良く出来ている。
監督のデビッド・フィンチャーの映像作家としての成熟を画面からヒシヒシと感じる。細かいエピソードを積み重ねて、見せる所は見せて、省略できる所は省略した割り切った演出で無駄が無くテンポも非常にいい。
特に未遂に終わった事件の親子のシーンは卓越していて、事件の前後を描いて大事なシーンは切り取られていて、観客の想像にゆだねてあるのだけれど、どのシーンより一番スリルがあり、何でも絵で見せるより遥かに恐ろしいシーンで監督のセンスの良さを感じた。
役者のチョイスも良く、かなり地味目の面子がそろっているが、適材適所に良い役者が配置されていてる。話の進行を警察ではなく、新聞社の風刺漫画化の目線で語られて観客が感情移入がしやすく、この映画の中でも一番ひ弱そうな人物だけあり、後半の単独取材で知らす知らずに犯人に近づきすぎてしまうシーンは怖かったし演出が旨い。
映画は、観客に結論を委ねて幕を閉じるが、この映画を見ると、どう考えてもアイツが犯人としか考えられない。本当はどうなの?
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