誰にもある?「持っていかれてしまう曲」
久しぶりにSEINFELDのエピソードの記事を…
第8シーズンのエピソードから。あちらのサイトなどでは、第8シーズンを高く評価する人も少なくなく、確かにこれのように、全くムダなシーンがなく、最後にがっちり完結するよくできた筋書きのものが多いです。第7シーズンはGeorgeの婚約をめぐる騒動がメインになっているせいもあってか、婚約中の複雑な心理を表す長まわしの台詞が多かったような気がしますが、第8シーズンになるとSEINFELDの弾けた会話が戻ってきます。
スタッフはLarry Davidが抜けてからつまらなくなった…ということだけは言われまいと、プレッシャーの中で必死の仕事だったと当時を振り返っていますが、確かにそんな意気込みが伝わってくるエピソードが多いですね。
このエピソードでは、何とJerryは「日本で人気者になった」という設定で、NYを歩く日本人観光客はJerryを見つけて大喜び(あり得ねぇ~…笑)そこで、JerryとGeorgeは第4シーズンで作ったパイロット版を日本のTV局に売り込みに行ったりします。
日本人観光客も、映画『ガン・ホー』みたいにかなり戯画的に描かれていて苦笑してしまいます。Jerryが日本で人気者だった…という話の「オチ」が次のエピソードThe Chicken Roasterで出てきたりするのも可笑しい。
ま、この辺りのことはまた改めて…。また、カーペット・クリーニング業者が実はカルト宗教の人たちだったというプロットでは、Georgeが例の「ラトビア正教」のエピソードと同じようなトーンで話すのがツボでもありました。
さて、ここでのElaineのボーイフレンドはFarbman家具の会社で働くBrett。
やけに「美しい」男性です(笑)自社製の家具を愛してやまない彼でしたが、もうひとつ愛してやまないものが…それはEaglesの懐かしい曲Desperado。デートの最中であっても、この曲を聴くと放心状態になってしまう…
これは73年に発表したアルバムDESPERADO(邦題『ならずもの』)の中の曲で、当時はシングルカットされなかったんですが(と思う)最近、ドラマ『華麗なる一族』のテーマ曲として使われたようですね。また、Carpentersもカバーしました。日本では彼らのバージョンで知っている人も少なくないかもしれません。メロディーの美しいバラード曲で日本人好みでもあるし。
76年のHotel Californiaが大ヒットによって、日本でも、特にロックファンではなかった人たちの間にもEaglesの名前は浸透したようですが、実際は72年のデビューから注目していたファンも多かったですね。
このエピソードではEaglesの初期の曲が出てくるのが何とも面白いんですよ。
ELAINE: … Anyway, Brett is so generous, and sensitive. Last night he was moved just listening to a song.
(とにかくねぇ、Brettは優しくて繊細な人なの。昨夜なんて、曲を聴いただけで感動しちゃうのよ)
JERRY: What song?(何の曲?)
ELAINE: Desperado.
JERRY: Desperado?
ELAINE: Uh huh.
JERRY: And you're still dating him? I tell you who sounds a little desperado.
(で、今も付き合ってるの?ホントにdesperado{ならずもの}っぽい奴と)
しかし、その後もどこかからこの曲が聞こえてくると、愛の語らいも中断してしまうのでした。。
ELAINE: Ah, I think I'm on the outs with Brett. I got shushed during Desperado.
(なんか、私Brettとの仲がうまくいってないみたい。Desperadoが流れてる時に「シッ!」って言われるし)
JERRY: What does he listen to? The all Desperado station?
(彼、どこの局入れてんの?24時間Desperado局?)
ELAINE: He is just in his own world when he hears that song. It's like, I'm sitting there in the car, and he's.. out riding fences.
(あの曲がかかると、彼は自分の世界に入ってしまうの。何というか、私が車の中にいても、彼は誰も寄せ付けづにフェンスで座っているような感じ)
※ちょっとよろしいですか~
ここ、観客はドッと笑っています。
実はDesperadoにもこういう歌詞があるのです
Desperado, why don't you come to your senses?
You been out ridin' fences for so long now
sensesとfencesが韻を踏んでもいるんですね。
JERRY: You know, what you need is a song you can share.
(じゃあ、二人で分かち合える曲が要るってことじゃない?)
ELAINE: Yes. You're right. We need to find 'our' song.
(そう、そうなの。「私たちの」曲を探さなきゃいけないの)
JERRY: Okay. So, is there any song that you feel very strongly about?
(そうか…じゃあ、なんかこうビビビと来るような曲ってある?)
ELAINE: I like Witchy Woman.
(Witchy Womanがいい)
※これもEaglesの曲。72年のファーストアルバムの中の曲。これはシングルカットされて「魔女のささやき」という邦題でけっこうヒットしたと思うんですが。ハーどロックなビートを刻みながらも、どことなく「泣き」の入ったメロディーで、これも日本人好みでした。ただ、曲の内容はセクシーな女性の魅力を歌ったものでしたよね。
これを「二人の曲」に選ぶなんてElaineも相変わらず…何考えてんの!?って感じですよ。
JERRY: Witchy Woman?
ELAINE: You know, Witchy Woman. 'Ooo-ooh, wit-chay woman'.
JERRY: Wit-chay Woman.
※ここも観客が大いにウケているんですが…この曲のボーカル(ランディ・マイズナー?…ちょっと自信がない)の発音がアチラの人にはそう聞こえるんでしょうか?
さて、そう決めたElaineは車の中でWitchy Womanをかけてうっとりとしてみるんでした…
BRETT: Elaine, I...
(ねぇElaine)
ELAINE: Shh-shh! What d'you think?
(シッ!…この曲どう?)
ところがBrettはオーディオのスイッチを切ってしまいます。
ELAINE: What are you doing? That's Witchy Woman. That could be our song.
(ちょっと、何をやってるの?これはWitchy Womanよ。これは私たちの曲なの)
BRETT: Witchy Woman is okay for you, but I've already got a song.
(君はWitchy Womanでいいかもしれないが、僕にはもう自分の曲がある)
ELAINE: Oh. Oh, then how about Desperado? We can share it.
(じゃあ、Desperadoを二人の曲にしましょう?!)
BRETT: No. It's mine.
(いや、あれは僕の曲だ)
何となく分らないでもありません
私もJ様ファンをやっていたときは、コレに近いもんがありましたから(笑)
JERRY: … Anyway, any luck getting together on a song?
(で、うまく二人が仲良くなれる曲が見つかったわけ?)
ELAINE: No. He blew out my Witchy Woman, and he won't share Desperado. Hey, what d'you think of Oye Como Va?
(いや、彼はWitchy Womanなんて嫌だと言うの。で、Desperadoを分かち合うのも嫌だと。じゃあ…Oye Como Vaなんてどう?)
JERRY: Eehh.(はぁ?)
ELAINE: Well, I'm running outta guys here in this city!
(じゃあ、もうNYで付き合う男性がいなくなっちゃうわ!)
※Oye Como Vaはこれまた懐かしいSantanaの曲ですね~「僕のリズムを聞いとくれ」とかいう邦題だったと思います。(なんで「聞いてくれ」じゃなくて「聞いとくれ」なのか…日本全国で「聞いてくれ」と言う人と「聞いとくれ」と言う人の人数を比べたら…どうしたって「聞いてくれ」と言う人の方が圧倒的に多いはずなのに、なんでこんな邦題を付けるのか不思議だった)グラミー賞のラテン部門で賞をもらっているはずです。
J様が苗場でライブをやっていたとき、この曲がオープニングだったことがありました。いきなりOye Como Va~♪と歌い始める曲なのですが、J様が歌うと彼の「お国言葉」(出身地は仙台)で歌っているように聞こえて、一瞬ビックリした思い出があります。だって、何をやっても今一つ様にならないJ様でしたからね、ホホホ
SEINFELDの話なのに、何気にJ様ネタが多くなってしまいました~
いや~、雪が降ると、苗場でのライブが懐かしくてね…
ま、とにかく
このエピソードで取り上げられている曲は、New YorkerにとってもWest Coast Soundの典型的なものなのでしょうね。そして、我々にも懐かしい…
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