映画「リトル・ミス・サンシャイン」
負け組ファミリーのロード・ムービー。
面白かったですね。
絵に描いたような、ステレオタイプなlosersで構成されてるファミリー。最初の食事のシーンから笑ってしまいました。しかし、あそこで笑っていたら、隣や前の人にヘンな顔をされました…。すいません~…私には、あそこは「笑う」ところだったんです。
老人ホームを追い出された不良じいさん、ゲイで失恋して鬱病になり、自殺未遂をした伯父、本の出版を夢見るが…なパパ、空軍パイロットを目指してるけれど…な兄、美少女コンテストを目指しているんだけど…な妹、ママは唯一「フツーの感覚」を持ったしっかり者なんだけど、他の家族がこんなんだから苦労が絶えないのです。
パパは「成功するための9段階」という法則をあみ出した成功論提唱者。講演に忙しく(ウソです)家でも、家族には法則に従って行動することを厳しく要求しています。
さて、妹のOliveちゃんが美少女コンテストの地区代表になり、カリフォルニアを目指すことになりました。それも、今どきありえないようなマニュアル車で。ホントは、Oliveは地区大会で2位だったんですけど、優勝の子がダイエット薬を服用していたことがばれて、タイトル剥奪!それで彼女にチャンスが巡ってきたらしい…。凄まじい世界なんですね~
ロード・ムービーで、目的地に着く前に、登場人物が亡くなるというのは「怒りの葡萄」から山田洋次の「家族」まで、他の多くの作品にも見られますが、この映画でも悲しくて、切なくて、涙が出ました。(ウソです)
結局、苦労してコンテスト会場に着いたけれど、そこで行われていたものは…まぁ、何というか…アメリカのGenteel Tradition(お上品な伝統)の「化け物」みたいな感じの世界でした。美少女たちの完璧な作り笑いって「あの国」だけじゃないんですね~(笑)。怪しげなMCは、♪O beautiful for spacious skies, For amber waves of grain…♪を歌ってるし…。(この曲を聴くとイラク戦争を思い出すんですよ、すいませんね、ハイ)Miss Californiaは本当にアジア系の人なんでしょうか~?
で、兄も気づくんです。
You know what? F*** beauty contests. Life is one f***ing beauty contest after another.
この映画みたいに、世の中すべてが「勝ち組」と「負け組」。
成功を手に入れるために、進んで自らにストレスを課して…
そして大騒ぎ~!
まんま、コメディーな世界ですけど、でも、こんな風に、いわゆる「格差」が目に見える社会って、ある意味、親切じゃないでしょうかね。少なくとも、こうやって共通の「テーマ」として泣き笑いを共有できる。
日本はどうなんだろ?…と「幸せのちから」を見たときも考えてしまった。
この映画、日本でも、かなり好意的に受け止められていますね。
某レビューを見ると…
loserにやさしい。
頑張るだけが人生じゃない。
成功を求めてばかりでは見えないものがある
などなど
でもね、私は敢えて言いたい
それでいいのか日本人…
例えば、パパの「9段階のナントカ」も、考え方の基本は間違っていないんですよ。(ただ、解釈の方向がむちゃくちゃなだけで…)
おじいちゃんが言いました。
A real loser is someone who's so afraid of not winning he doesn't even try.
そうですよ。この映画はトライすることまで否定してはいないんです。
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