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And This Is Not Elf Land

THE GRADUATE

1967年の映画『卒業』

これは、私はリアルタイムでは観ていないはず。映画そのものも「時代」を象徴する名画としての評価を得ましたが、それを後押ししたのは、音楽を手掛けたサイモン&ガーファンクル。

内容的には、今も昔も、私にはちょっと苦手な内容かも~どうも、こういう「モラトリアム」のようなテーマはしっくりこないのですよね~(きっと、自分ができなかった「人生体験」をしている人に嫉妬しているんだと思いますけどね…笑)今改めてみると、最近の『アメリカン・ビューティー』と重なるイメージがありましたね。

とにかく、この『卒業』も、何もかもが「不確実」な世界。主人公のベンジャミンは、親の期待通りに、優等生として大学を卒業したものの、どこか満たされず「違う人間になりたい」と思う。しかし、なんかが微妙にズレている…登場人物も徹底的に象徴化されていて、特に、周囲の大人たちに全くリアリティーがない…というか、意図的に、そのように描かれているのでしょうが。

そして、昔も今も、エレインとベンジャミンが恋に落ちる展開に説得力がないという見方もあるようですが、この映画では、ストリーは単なる手段なのですよね。で、プールや水槽などの「水」が非常に印象的に使われていますし、今観ても「上手いな」と感心するシーンがいくつもありました。エレイン役のキャサリン・ロス。あのファッションなんて、今見ても可愛らしくて素敵。人気がありましたよね…

ラストの、あまりに有名な、結婚式から花嫁を奪うシーン。教会の十字架を振り回し、それでドアを閉めてしまって、俗世間と遮断してしまうわけですが…彼らの行く先に待っているものは??ここは、バスに乗ってからのシーンのほうが、大きな意味を持っていますね。

若き日の(とはいっても30歳ぐらい?)ダスティン・ホフマン。今見ると、小柄で黒髪で黒い瞳、日本人が親しみを感じる容貌だったんだな~と思いました。この映画、セクシーなストリーである割には、ホフマンもお相手のアン・バンクロフトも、(当時のヨーロッパ映画のよくあった艶笑劇のような)ヌメヌメした雰囲気はなくて、むしろ、乾いた感じ(?)それが、また独特の味わいを醸し出しているようでした。

そしてやはり、サイモン&ガーファンクルの音楽抜きにこの映画を語ることはできないでしょう。彼らはこの映画で大ブレイクしたのですよね。冒頭からThe Sound of Silenceで始まりますが、字幕に訳詞が出ないのは残念でした。とにかく、サイモン&ガーファンクルと言えば、NYCを中心にした東部の知的でドライな雰囲気を代表するようなアーティストというイメージがありますが、この、ウエスト・コーストを舞台にした映画で、大ブレイクしたというのも面白い。(そういえば、『アニー・ホール』でも、ポール・サイモンはカリフォルニアにいたっけ?)


The Sound of Silence(静寂の音)というコンセプトは、禅の公案からヒントを得たといわれています。

歌詞にもそれが見て取れます

People talking without speaking
    People hearing without listening



バークレーの下宿の主人は、ベンジャミンが政治運動の扇動者ではないかと警戒しましたが、ベンジャミン自身は、そういう世界とは無縁のところで生きていました。

その後、日本では、「傘がない」という曲が登場して、センセーションを巻き起こしましたが…

この映画の世界の延長線上に生まれた曲という解釈もできるかもしれません。

コメント一覧

Elaine's
ありがとうございました!
めいぷるさま、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます~
そう、最近はSEINFELD関連記事が少なめなんですが(汗)今応援中の新作ミュージカルがブロードウェイでオープンする日に、ジェリー・サインフェルドも観客としてやってきて、そこで拙ブログが「大団円」(?)を迎える「予定」ではおります…
キャサリン・ロスのブーツやジャケットも可愛らしかったです(笑)また、大学卒業祝いに車を買ってもらうというのも、今は日本でも珍しいことじゃありませんが、当時はため息交じりで観ていたことでしょうね。あと、車に乗ったっま入れるハンバーガーショップとか、当時の若者は憧れただろうな~と思いました。
日本も「明日は今日よりよい日になる」と信じることができた時代でもありますし、本当に懐かしかったです。
これからもよろしくお願いいたします!
めいぷる
連投失礼します。「きちがいピエロ」→「勝手にしやがれ」でした。ジーン・セバーグが出ている方。今となっては区別つきません。
めいぷる
はじめまして。サインフェルドがきっかけでいつもコソ見しています。おそらく同年代では。よろしくお願いします。
私もこの映画公開当時はさすがに子供で高校生になって初めて名画座で見ました。
やはり最後の最後の2人の表情が強烈に印象に残っています。もうモラトリアムは終わりというか。あとミセスロビンソンがキスした後に煙草の煙を吐き出すシーンですね。
キャサリンロスの垂れ目顔は好きでないのですが、大学で持っている皮のカバン(ふたのついた手提げ)が可愛くて自分で布地で真似して作って使ってました。欲しい物は売っていないか買えない時代だった...
70年代に見た映画を今見ると感じ方が違っていて愕然とします。タクシードライバーとかイージーライダーとか。つい最近「きちがいピエロ」を見て「今こんなヤツいっぱいいる」って思いました。
長文失礼しました。これからも更新楽しみにしています。
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