これは、私はリアルタイムでは観ていないはず。映画そのものも「時代」を象徴する名画としての評価を得ましたが、それを後押ししたのは、音楽を手掛けたサイモン&ガーファンクル。
内容的には、今も昔も、私にはちょっと苦手な内容かも~どうも、こういう「モラトリアム」のようなテーマはしっくりこないのですよね~(きっと、自分ができなかった「人生体験」をしている人に嫉妬しているんだと思いますけどね…笑)今改めてみると、最近の『アメリカン・ビューティー』と重なるイメージがありましたね。
とにかく、この『卒業』も、何もかもが「不確実」な世界。主人公のベンジャミンは、親の期待通りに、優等生として大学を卒業したものの、どこか満たされず「違う人間になりたい」と思う。しかし、なんかが微妙にズレている…登場人物も徹底的に象徴化されていて、特に、周囲の大人たちに全くリアリティーがない…というか、意図的に、そのように描かれているのでしょうが。
そして、昔も今も、エレインとベンジャミンが恋に落ちる展開に説得力がないという見方もあるようですが、この映画では、ストリーは単なる手段なのですよね。で、プールや水槽などの「水」が非常に印象的に使われていますし、今観ても「上手いな」と感心するシーンがいくつもありました。エレイン役のキャサリン・ロス。あのファッションなんて、今見ても可愛らしくて素敵。人気がありましたよね…
ラストの、あまりに有名な、結婚式から花嫁を奪うシーン。教会の十字架を振り回し、それでドアを閉めてしまって、俗世間と遮断してしまうわけですが…彼らの行く先に待っているものは??ここは、バスに乗ってからのシーンのほうが、大きな意味を持っていますね。
若き日の(とはいっても30歳ぐらい?)ダスティン・ホフマン。今見ると、小柄で黒髪で黒い瞳、日本人が親しみを感じる容貌だったんだな~と思いました。この映画、セクシーなストリーである割には、ホフマンもお相手のアン・バンクロフトも、(当時のヨーロッパ映画のよくあった艶笑劇のような)ヌメヌメした雰囲気はなくて、むしろ、乾いた感じ(?)それが、また独特の味わいを醸し出しているようでした。
そしてやはり、サイモン&ガーファンクルの音楽抜きにこの映画を語ることはできないでしょう。彼らはこの映画で大ブレイクしたのですよね。冒頭からThe Sound of Silenceで始まりますが、字幕に訳詞が出ないのは残念でした。とにかく、サイモン&ガーファンクルと言えば、NYCを中心にした東部の知的でドライな雰囲気を代表するようなアーティストというイメージがありますが、この、ウエスト・コーストを舞台にした映画で、大ブレイクしたというのも面白い。(そういえば、『アニー・ホール』でも、ポール・サイモンはカリフォルニアにいたっけ?)
The Sound of Silence(静寂の音)というコンセプトは、禅の公案からヒントを得たといわれています。
歌詞にもそれが見て取れます
People talking without speaking
People hearing without listening
バークレーの下宿の主人は、ベンジャミンが政治運動の扇動者ではないかと警戒しましたが、ベンジャミン自身は、そういう世界とは無縁のところで生きていました。
その後、日本では、「傘がない」という曲が登場して、センセーションを巻き起こしましたが…
この映画の世界の延長線上に生まれた曲という解釈もできるかもしれません。
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めいぷる
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