George関連のエピソードの中では、これが一番かも…。Georgeの気持ちが分かりすぎて胸がいっぱいになってしまった(?)
だいたい、自分が「世界で一番不幸」だと思っている人間にとっては、「幸せそのもの」な人には勿論むかつくんだけれど、それよりも更に堪えるのは、自分以外の人に世間の同情が集まることなのですよ。私もGeorgeと同じ立場だったら…おそらく同じ行動をとったと思いますね~
さて、仕事も好調なGeorgeは今のアパートの向かいにあるランク上のアパートに引っ越すことになりました。新しい家具も揃えてご機嫌だったのですが、ある日、テナント会社の人がやってくるんです…
RICARDI:… Uh, George, unfortunately, Clarance Eldridge in 8C has decided that he wants the apartment.
(George、申し訳ないんですけれど、8Cに住んでいるClarance Eldridgeさんがこの部屋に住みたがっているんですよ)
GEORGE: Yeah, but you - you promised it to me.
(ええ、で…でも、ここは僕に貸してくれると言ったでしょう)
RICARDI: Yes, but, you see - Mister Eldridge is an Andrea Doria survivor. And, in light of the terrible suffering that he's already been through, we've decided to give it to him.
(ええ、でもねぇ…Eldlidgeさんは、あのAndrea Doriaの生還者なの。あの方が経験した恐ろしい体験を考慮すれば、あの方にここをお貸しするべきだと決めたんです)
GEORGE: Well,.. the Andrea Doria.. that was quite a fire.
(ああ、Andrea Doriaか。大火災だったんだよね)
RICARDI: Shipwreck.(沈没です)
GEORGE: I remember.. (分かってるよ)
このAndrea Doria号の事故というのは日本ではあまり有名ではないようですね。(Wikipedia Japanには頁がありませんでしたし、私も知りませんでした)イタリアの威信をかけて作られた豪華客船でしたが、1951年マサチューセッツ沖でスウェーデン船Stockholm号と衝突したということです。
さて、例によって、この件に関してもKramerがやけに詳しい(笑)ま、これが彼のキャラの「役割」みたいなもんですから。
GEORGE: How do you know?
(どうして知ってるの?)
KRAMER: it's in my book - "Astonishing Tales of the Sea" 51 people died.
(本に書いてあったんだよ。"Astonishing Tales of the Sea"っていう。51人死んだんだぜ)
GEORGE: 51 people?! That's it?! I thought it was, like, a thousand!
(はぁ、51人って…それだけ?僕はまた…1000人ぐらい死んだんだと思ったよ)
KRAMER: There were 1,650 survivors.
(1650人が救助されたんだ)
GEORGE: That's no tragedy! How many people do you lose on a normal cruise? 30? 40?! Kramer, can I take a look at that book?
(そんなん、悲劇でも何でもない!普通の船の事故での死者ってどのくらい?30人?40人?Kramer,その本ちょっと見せてくれよ)
頑張れ、George!!
…と応援してしまう私がいる(笑)
GeorgeはAndrea Doria生還者のEldridge氏に直接会いに行きます!
GEORGE: Mr. Eldridge. I understand you were on the Andrea Doria.
(Eldridgeさん。Andrea Doria号に乗っておられたそうですね)
ELDRIDGE: Yes, it was a terrifying ordeal.
(ああ、あの時のことを思い出すと今も辛い)
GEORGE: I tell ya, I hear people really stuff themselves on those cruise ships. The buffet, that's the real ordeal, huh, Clarence?
(そうですか!でもそういう船の上では、お客たちはたらふく食べたりするんですよね?ブフェとかで、そりゃ思い出すだけでも辛いでしょうよ、Clarenceさん!)
ELDRIDGE: We had to abandon ship.
(私たちは船を捨てなきゃいけなかったんだ)
GEORGE: Well, all vacations have to end eventually.
(ああ、どんな楽しい休暇でもいつかは終わるもんです!)
ELDRIDGE: The boat sank.(船は沈んだんだ)
GEORGE: According to this, it took.. 10 hours. It eased into the water like an old man into a nice warm bath - no offence. So, uh, Clarence, how about abandoning this apartment, and letting me shove off in this beauty?
(この本によればですね…沈むのに10時間かかったそうじゃないですか。おじいさんが気持ちいいお風呂に沈んでいくように水の中に消えたんですよね、何の苦痛もなく。このアパートを捨てたらどうです?この美しい部屋から追い出して差し上げましょうか?)
ELDRIDGE: Is that what this is all about?! I don't think I like you.
(それが言いたかったのか?気に食わないやつだ)
GEORGE: It's my apartment, Eldridge! The Stockholm may not have sunk ya, but I will! Ha, ha, ha!
(ここは僕の部屋なんです!Stockholm号はあなたを沈めなかったかもしれないが、僕が沈めるよ!ハハハ)
ここの「おじいさんが気持ちいいお風呂に云々」と部分はMarin Biologistの「海は、おじいさんがスープを突き返しに行くときのように荒れていた」を思い出しますね。どちらも「海」に関することを形容するのに「おじいさん」が出てくるのも面白い。
GEORGE: So, he's keeping the apartment. He doesn't deserve it, though! Even if he did suffer, that was, like, 40 years ago! What has he been doing lately?! I've been suffering for the past 30 years up to and including yesterday!
(で、あのオッサン、部屋に居座っているんだよ。彼がそんな優遇されるなんて。ホントに辛い体験だったとしても、40年前のことだろう?今もなお大変なわけ?僕なんか、30年間も大変な目に遭って今日に至っている!)
JERRY: You know, if this tenant board is so impressed with suffering, maybe you should tell them the "Astonishing Tales of Costanza".
(そうだな。もしテナント委員が人の苦労話に左右されるんなら、君もCostanzaの驚くべき話を聞かせるんだな)
GEORGE: I should!(そうだよ!)
JERRY: I mean, your body of work in this field is unparalleled.
(君のこの分野における作品の数々は、他の人とは比べ物にならないからね)
…
なんか長くなってしまいました~「後編」に続きます(笑)
でもね…最初に書いたように、ホントにGeorgeの気持ちが分かりすぎて、可笑しくて涙が出そうになりました。
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