稲垣潤一さんと女性歌手たちとのデュエットによるカバー・アルバム「男と女3」がリリースされました。こちら
2年前の「男と女」一発目は、それなりによかったんですけどね。何よりも、私は稲垣さんには「息の長い音楽活動」をして欲しかったし。だから、このアルバムも、そういう企画の一つとしては悪くないと思えた。
それと、もともと稲垣さんはシンガー&ソングライターとして売っていたわけではなくて、他者の手による曲を、こだわりの料理法で歌う人だったから、カバー曲集というのも、全く抵抗がなかったですよ。
しかし、もうそろそろよろしいんじゃなくて?
このままだと、若い世代に、稲垣潤一=「若いネエちゃんとのデュエット好きなおっさん」のイメージが定着してしまいそうなのがコワイ(?)
とにかく、この方は、日本のポピュラー音楽史に燦然と輝くオリジナル・アルバムを数多く発表していらっしゃいますのでね…ここでも時々取り上げてきましたが、今回、またまたしつこく書きたいと思います。今聴いても、まったく色あせていない(ちょっと、バブルな香りがするかもしれないけど~)名盤ばかりです。
まず、カウント・ダウンでいきましょう。
第5位 NO STRINGS (85年5月)
デビューして4年目。初期のアルバムもヒットし、ツアーも盛況。ミュージック・シーンの中で確固たる地位を築くであろう「予感」を誰もが持っていた時代のアルバムです。これが好きなのは、いい意味で「攻め」の姿勢を貫いていることかな。頂点前夜の意気込みと緊張感があるアルバムですね。
「愛は腕の中で」は今なお、私の中ではベスト1の稲垣さんのバラードです。この人のバラードといえば「ロング・バージョン」でしょ、、と思い込んでいらっしゃる方は、ぜひ、この曲も聴いていただきたい。
JAJAUMAは(サウンド的にもボーカル的にも)冒険している画期的で面白い曲。ライブでこの曲が歌われるたびに、もっともっと稲垣さんの「いろんな歌い方」を聴きたい欲求が沸々と湧きあがったものでした。ちょっと巻き舌気味の歌い方も
第4位バラード・セレクション PS抱きしめたい(86年9月)
これも一応オリジナル・アルバムに入れておきます。「PS抱きしめたい」だけは、このアルバムのための曲ですが、ほかはそれまでのアルバムの中から、バラードの名曲をセレクションしたものです。
ジャケットの写真も魅力的だし(笑)まさに、耳も目も幸福感でいっぱいになったアルバムですよ♪終盤の「時を止めた涙」~「誰がために」~「A Glass of the Sorrow」の流れが特にいい。
第3位REALISTIC(86年3月)
もうねぇ…「勢いのあるアーティストっていうのは、これくらいのアルバムぐらい、軽々と作るんだぜ!」なんて、胸を張っているようなアルバムですね。このころから、稲垣さんの定番でもあったマイナー系の曲が姿を消して、軽快な曲が多くなってきます。
オープニングのUp To Youは、いきなりエイトビートの力強いイントロで始まりまるのが象徴的。
また、このアルバムの楽曲は作家陣も素晴らしく、特に故加藤和彦さんの「Because of You」~「愛のスーパーマジック」が今もお気に入りです。
また「風になりたい夜」も素晴らしく、年数とともに熟成していく名曲の趣があります。これは、今も稲垣さんのバックでキーボードを演奏している伊豆田洋之さんの曲。実力のある人ですよね…
第2位J.I.(83年9月)
いや~、今でもこのジャケの写真を見るとメロメロになってしまいますよ~(ハハハ)昔から私はこういうタイプが好きでした(!)面長でちょっと陰がある…これで、高い声で歌われると、もう「撃沈」ですな(ま、こんな話はもういいか)
とにかく、一つひとつの曲のクオリティーの高さという点では、このアルバムが一番ではないかと思います。また「Everyday’s Valentine~思い焦がれて~」「蒼い雨」などは、稲垣さんの曲の中では最もセクシーな曲だと、昔からファンが騒いでいる曲でもありました。こんな朴訥とした雰囲気のままに、こんな曲を歌われた日にゃあ~?!(まぁ、再婚はショックでしたな~)
まぁとにかく、このアルバムに関しては「萌え話」注意報(というか「警報」レベルだな)により、これで終わりますね。
第1位SELF PORTRAIT(90年4月)
何といってもこれが一番!!ここでも、何度か取り上げていますがね…しかし、熱心なファンの中でも、これを一番に挙げる方は少数だったかもしれませんが。
これは、何がいいかというと、稲垣潤一というアーティストの持つ、ちょっとしたアンバランスさ、ちょっとした歪みの部分が上手くでているのです。私の中では、稲垣さんという人は、洗練されているように見えて、実はかなり荒削りだったり、しなやかなように見えて、実は相当に頑固だったり…それらがお互いに鬩ぎ合って、素敵な緊張感を生み出しているのが大好きだったのです。どんなロマンティックな曲でも、本人は「何か」に怒りながら歌っているんだろうな~と思われるのがまた堪らないのでありました!
ファンの中でも人気の高い「MIND NOTE」や「HEART & SOUL」がこのベスト5に入っていないのは…これらのアルバムもよく「作り込まれて」いるんですが、稲垣さん独特の「エゴ」(のようなもの)が見えなくなってしまっているのが残念だったのでした。
とにかく、90年(25年前ですよねっ!)のこのアルバムを凌ぐものは…今なお出てきていません。
91年の「WILL」も力作ではあるんですが…そして、明らかにドナルド・フェイゲンの路線を狙っているのも分かるんですが(笑)しかし、このころから、作り手と受け手の間にちょっとしたズレができ始めていたような気がします。稲垣さんの曲の音楽性の高さはファンは認めるところではありましたが、ハッキリ言って、本当に「音楽通」を自認するような人々からはどうだったでしょう(…)そしてまた一方では、普通に「大人っぽい素敵な曲を楽しみたい」という人たちにとっては、稲垣さんは、ちょっと親しみにくかったんじゃないでしょうか?そんなこんなで、ちょっと方向性が混沌としていると感じていたのは私だけではなかったと思う。
92年の「SKETCH OF HEART」は、稲垣さんの声の衰えを感じてしまいました。このころは、声を酷使していたのかな~世の中には、全然表に出ないで(ライブやTV出演もしない、という意味)アルバムだけ売れるというアーティストもいた中で、もっと「現場で頑張る」稲垣さんが報われてもいいのに~と思うと、切なかった。
ところが92年の年末に、皆様ご存知「クリスマス・キャロルのころには」がミリオン・ヒットします!何だかんだ言っても嬉しかったですよ!…しかし、大ヒット後の注目の中でリリースした「FOR MY DEAREST」(93年3月)は拙かったですね。なんでA元さんが詩のプロデュースなどをしたのでしょう(?)「間口を広げる」いいチャンスだったのに~
94年には、初のセルフ・プロデュース・アルバムである「SIGNS OF TRUST」を発表します。それなりの意欲作ではありましたが、あんまりパッとしませんでしたね(すいません)稲垣さんの魅力は、「多くの人々の手によって」作り上げられているからこそ成立するものである、とずっと信じていたので、「セルフ・プロデュース」という売り文句も、私的にはそんなに魅力を感じることでもありませんでした。
そして、この年のツアーは客入りの悪さも目立つようになり…もしかしたら、春にニューアルバムをリリースし、そして全国ツアー、年末には武道館でファイナル、年が明ければ苗場でのライブ…こんな、稲垣さんから届けられていた「幸福な一年のサイクル(永遠に続くと思っていた)」が崩れていくのでは…という辛い「予感」は、当時の私には「酷」なものでした~(もう生きていけないんじゃないか、とか…笑)
でも、2年前の「男と女」のヒットは嬉しかったんですけどね…でも、まさか「3」までやるとは思いませんでしたよ。
今回は、やけに長々と書いてしまいましたが…そろそろ「Junichi Inagaki」というカテを作ってもいいころなのかも(!)
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