半年前にこちらで「そろそろブロードウェイでアーサー・ミラーのA VIEW FROM THE BRIDGE(橋からの眺め)をやってほしい」と書いたら、ホントにやるそうじゃないですか!?コレ、観に行くべきでしょうかね(!)
アーサー・ミラー作品と言えば、社会正義や人間の良心の問題をテーマにしたものを思い浮かべる方が多いと思いますが、この『橋からの眺め』は人間の内にあるどろどろした情念をテーマにした、ミラー作品としては異色のドラマ。
だいたい、私にこういう「情念」の世界を理解しろというのは無理ですよ。私なんて、自慢じゃないけど、ロマンティックでもなければ色気もない。「屁理屈」とか「文句」とか、そういう世界なら得意なんですがね~ははは(汗)
それでも、この作品はなかなか魅力的です。理性では説明できない人間の深い所にある感情を、非常に緻密な構成で描いている。その不思議な調和感が何とも言えない。
タイトルにある「橋」とはブルックリン橋のことです。この橋をマンハッタンからブルックリンへ向かって中程まで進むと、右手前方にこの劇の舞台となるレッド・フックが視界に入ってきますね。女神像はレッド・フックを向いています。
レッド・フックには貧しいイタリア移民の港湾労働者たちが住んでいました。イタリア的な考え方が色濃く残っている彼らの地域では、全てが合理に運ぶわけではない。彼らには「法律というものを信用しない」という長い歴史があるという。新天地を求めてアメリカに渡ってきたとは言うものの、彼らの住む地域は犯罪組織が幅を利かす無法地帯と化し、法的で合理的な考え方よりも、義理・人情、そして地域の掟が彼らの深い部分を支配していました…
…とまぁ、ここまで言うと
「はっ、またそういう路線かよw」と思われそうですわ(爆)
しかし、キャストを見ると…キャセリンがスカーレット・ヨハンソン…ん~彼女が「目玉」なんだろうけど、ちょっと違うかな~という感じ。彼女では色気がありすぎる!実際のキャサリンは17歳で、私のイメージでは十分に大人の女性になりきっていない段階だったのに…だからこそ、叔父にあたるエディの倒錯と混乱が際立つんじゃないだろうか。でも、エディ役のリーブ・シュレイバーは手堅くキャスティングしたという感じ。イメージどおりですが…不法移民としてやってくるロドルフォのサンティノ・フォンタナとその兄のマルコ、コーリー・ストールも微妙だ…
ロドルフォはキャセリンが恋をする青年で、イタリア人には珍しく金髪で青い目だと言う設定なんですが(違うやんか)…アメリカ生活に馴染んでいく中でプロテスタント的なセンスも身に付いているエディは、この青い目で金髪なうえに歌やダンスの好きな享楽的な青年が気に入らなくて仕方がないのです。
しかし、それはあくまでも表層の部分。実際には、エディは姪のキャセリンに許されぬ思いを抱いていたのでありました。裁縫や料理までするというロドルフォなんて「まともな男なのか!」と公然と彼の男性性に疑問を投げかけるのですが、それは、一皮むけば「自分の姪への倒錯した思い」を覆い隠そうとするハチャメチャな行動に他ならないのであって…
一方、ロドルフォの兄のマルコは、男性的で力強く、原始の生命力がみなぎっているような男性でした。女みたいなロドルフォを弄るエディに、マルコが「本当の男の力とはこういうもんや!」と不気味な力を見せつける…この1幕の終わりは痺れますよ~~
これで何も起こらぬわけがない!…みたいな~
あ~、いきなりここまで書くということは「弾丸ツアーでも観に行く」パターンかな。(と言いながら、そうなれば、当然アレも観るやろ)
19週間の限定公演だそうですよ。
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