LUXMAN CL35II
使用していなかったアンプをまた使用してみたいので見てほしいと依頼がありましたので預かってきました。
LUXMAN CL35IIは有名な真空管プリアンプでそのデザインが気に入った人も多かったようです。このアンプは2代目でこのシリーズは3代目まであるようです。
パネルレイアウトは何となくマランツ Model 7に似ているような気がします。
イコライザ回路には3極管を3段構成で用いたマランツ型と呼ばれるK-K・NF方式を採用していることからマランツ Model 7を意識していたことは間違いないようです。1972年発売ですから45年以上前の製品となります。
正面 どことなくマランツ Model 7に似ている気がします。マランツ Model 7のイコライザ(K-K・NF方式)と同じ方式(回路定数は結構違いますが)を採用しています。この方式(K-K・NF方式)は発振しやすいのですがマランツ Model 7はそれを承知で採用して音作りしているようです。昔マランツ Model 7とマッキントッシュC22、ONLIFE Research U-22 LUXMAN CL35IIを試聴した時私にはModel 7が断然よかった記憶があります。この当時天才が作ったModel 7は別格のようでした。
ツマミは汚れています。
リア RCA端子は磨いておきます。
電源の端子が交換されています。そういえばこのアンプは私が15年ぐらい前に一度メンテナンスした記憶がありその時交換したようです。ネジもきれいなのでその時全部交換したようです。
MCトランスを刺すソケットがあります。
真空管は7本使用しています。
12AX7が6本12AU7が1本です。
イコライザの初段はPHILIPS ECC83を使用していて後はMATSUSHITA製のローノイズ管を使用しています。この真空管は以前メンテナンスした時に私が交換したのかな?記憶があいまいです。
内部は電解コンデンサーの交換とフイルムコンデンサーの交換がされています。ほとんど使用していなかったというので劣化は見られません点検のみとします。
ヘッドフォン回路も電解コンデンサーが交換されています。電源回路はファーストリカバリーダイオードに交換されています。
電源用コンデンサーは増量用にコンデンサーが追加されています。このプリアンプはトランスの故障(ショート)が多いような気がします。原因は湿気によるものなのかはわかりません。
ツマミは洗浄します。
フロントパネルも洗浄します。
サブパネルを外したところ。
切り替えSWはどれも真っ黒です。これが原因で音切れが発生したようです。
汚れを取り接点には接点グリースを少量つけ、機械的な動作部分にはグリースを塗布しました。
ツマミのプラスチック部分は艶出し剤で磨いておきます。
ボリューム関係は分解できないので洗浄後少量の接点復活剤を塗布しておきます。
長年使用していなかったというのでスライダックトランスを60Vぐらいにして電源トランスを温めて内部の水分を飛ばします。
完成 整備後 残留雑音 L.R=0.1mV 周波数特性 L,R=10Hz-50KHz -1db (最初はノイズが多かったのですがアースやら部品の付け替え配線の手直しなど・・色々やりました)真空管アンプでは左右のレベルが違ってくるのが多いのですがこれは良くそろっています。真空管は雑音レベルが一番小さくなるよう組み合わせを行いました。ボリュームは少しガリがありますがこれは交換しかありません。真空管のソケットも交換した方が良いのですが大掛かりになるのでそのままにしました。ヘッドフォンは使用しないのでVRをMINにしておきます。
L,R=100Hz (AUX 2)
L,R=10KHz (AUX 2)
L,R=1KHz (PHONO 1)
システムに設置 Technics SL-1300+EPC-270D+LUXMAN CL35II+YAMAHA B-2+VICTOR SX-3Ⅲ
試聴中 イコライザはゲインがけっこうあるので出力が小さいカートリッジでもボリュームを上げなくても大きい音が出ます。今のプリアンプのように見かけ上のSN比を上げるためゲインを少なくしたアンプとは違います。
音は普段使用しているYAMAHA C-2とそんなに変わらない音でそれでいて柔らかい音がします。このアンプはリアパネルに入力関係のVRやアンプ出力のVRがあるのでそれぞれ繋ぐ機種に対し最適なレベル調整が可能です。