メンテナンスの依頼を受けました。この時代に流行ったDCアンプで新開発の低雑音トランジスタM47Lを使用したカレントミラー方式プリアンプでMC PRE.PHONE EQUALIZER, FLAT AMPという構成で新品のアンプの時は良いのですが古くなってバランスが崩れるとDCアンプはいろいろなところに問題が発生しやすく修理が厄介です。
フロントパネルに目立つ傷はありません。「左は音が出るが右はノイズだけ」という状態のようです。チェックしましたが左も周波数特性や歪も多くけっこう壊れているようです。特にR側は結構なDC電圧が出力に漏れていて完全に壊れています。アンプとスピーカーが壊れなくてよかったです。
リア側 RCA端子は磨いてあります。PHONO端子がMC含んで3つもあります。
上蓋を開けてみました。このアンプも以前に修理かメンテナンスを受けているようです。プリアンプにしては電源トランスが大きいです。なんとなくレイアウトがYAMAHA C-2に似ているような気がします。ちょっと見ると電解コンデンサーが膨らんでいます。液漏れが無ければよいのですが。すべてのトランジスタを取り外してチェックします。
以前にランプが切れたようで新しいランプに交換されていましたが接続部分の電線の銅線がむき出しになっていたのでショートを防ぐためにやり直しました。
イコライザ回路の出力トランジスタは真っ黒です。
ボリューム&バランスを取り外して洗浄します。これ1つで5KΩ,2KΩ,50KΩのボリュームです。こんなボリューム代替えないですよね。
入力切替SWを外します。
SWは真っ黒です。これでよく音が出ていたと感心します。洗浄して接点グリースを塗布します。
SUBSONIC SWも清掃します。
MODE切り替えSWも分解清掃します。こちらも真っ黒で溶けだしたグリースでベトベトです。
低雑音トランジスタM47L 自社開発なので代替品が無く壊れていたら大変でしたが大丈夫なようです。トランジスタを外しバランスが良い組み合わせを選んで組みなおしました。その他のトランジスタもべストなペアを選んで組み合わせました。
低雑音デュアルFET NECμPA63Hが壊れていましたのでバランスを考えて左右共交換します。
電解コンデンサーが液漏れをしています。コンデンサーについている白いのは基盤の塗装面です。
基板の裏側の液漏れ部分をアルコールで清掃し新しい電解コンデンサーを取り付けました。どうやら銅箔面は大丈夫だったようです。
あやしいリレー(HB2-DC24V)を取り出してチェックすると接点が汚れていて導通抵抗が高いので分解清掃しました。
特性のそろっているNECμPA63Hを購入
DCバランスが取れないので調べると調整用VRが黒くなっていたので交換
交換部品 電解コンデンサーは主電源以外を全部交換。
L,R=AUX 100Hz
L,R=AUX 10KHz
L,R=PHONO MM 1KHz
L,R=PHONO MC 1KHz
修理終了 発熱するところの電解コンデンサーは熱に強い105度タイプを使用しました。
完成 残留雑音 L= AUX 0.065mV R= AUX 0.05mV 周波数特性 L,R= AUX 5-120KHz -1db
プリアンプですが終段のトランジスタは発熱しますので放熱用スリットを塞がないようにします。。使用にあたってはプリアンプ出力はDCではなくNORMALを使用するようにしてください。
Pri out/rec outプッシュスイッチはスライドスイッチまで長いケーブルで接続しており、スプリングの劣化かケーブルの中を動く部品の劣化なのか押すときは問題ないのですが戻るときに動きが鈍いです。(まあ普通押さないでしょうけど)
システムに入れて試聴中 PHONOはDL-103しかないのでMC入力で試聴。プリアンプの出力インピーダンスが低いのでパワーアンプへつなぐコードも長くて大丈夫です。