新型コロナウイルスの感染が拡大する中、増刷され100万部となったと言う。しかし、なかなか購入出来ず、秋田でようやく1冊見つけることが出来た。北アフリカのオランという港湾都市にペストが発生、都市封鎖される。感染拡大で、死亡増える中、ペストと闘う医師リユーと彼に関わる一群の人たちを描く。こどもの死、惨禍の下で闇商売で利益を得る者、志願し発症者の保護や手当に立ち働く人々。内容は、ペストとの闘いだが、カミュは、対独レジスタンスに参加経験があったが、闇取引の連絡や強制収容所的な所の描写など、そこでの活動での実体験が反映されているように見えた。都市封鎖が解かれた日。花火が打ち上げられ、街は歓喜に包まれる。その光景は、先の武漢の光景とつながった。「ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもない・・・」と最後の文章にあったが、将来を暗示するものと受け止められた。カミュのテーマは、「不条理」の思想と言われているが、オランの人々を襲ったペストの惨禍。この「不条理」の状況にどう向き合うのか。今、ここで起きていることと重なってくると思えた。
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