「わり算の意味、ちゃんとわかっていますか?」
事の発端は、とあるご家庭からのご相談。
何やら、学校の宿題で
「分数のわり算は、なぜ上下をひっくりかえしてかけるのか」
を説明しなければならないと。
中学受験の算数において
その説明をしてもらう機会はほとんどないでしょう。
疑問を感じる生徒がいたとしても
そうやって計算するものだと教わって
分数のわり算の授業はおしまい。
でも、「わり算の意味」を再確認してもらうには良い題材なので
今回取り上げます。
< わり算を初めて学習したとき >
初めてわり算を習ったとき
どんな題材を扱ったか覚えていますか?
「6まいのカードを太郎くんと次郎くんで
同じまい数ずつ分けたら、太郎くんは何まいもらえますか」
「15個のボールを3つの袋に同じ個数ずつ入れると
1つの袋に何個のボールが入りますか」
このような問題を取り扱うことが多いですね。
注目すべきところは
“等しく分ける”
という点。
わり算を初めて学習したお子さんは
わり算 = “等しく分ける”
という意識を持ちます。
< 分数を初めて学習したとき >
さらに、初めて分数を習ったとき
どんな題材を扱ったか覚えていますか?
ピザを6等分した図を用いて
そんな解説をされたかと思います。
ここでも、注目すべきところは
“等しく分ける”
という点。
分数を初めて学習したお子さんは
分数 = “いくつかに等しく分けたうちの何個分”
という意識を持ちます。
< わり算の意味 >
では、わり算の意味は
“等しく分ける” ということなのでしょうか。
実は、その意味は
数の世界が整数のときだけに限られます。
でも、ほとんどのお子さんは
分数のわり算を学習するときに
わり算 = “等しく分ける”
と思っています。
これが混乱のもと。
さらに、分数についても
分数 = “いくつかに等しく分けたうちの何個分”
と思っていますから
どうしても “等しく分ける” という感覚に引きずられます。
ここで思い出してほしいのが
わり算を学習する前に、必ずかけ算を学習するということです。
そこに、わり算の意味を理解するヒントが隠されています。
かけ算は
2倍、3倍、4倍、5倍、・・・
というように
2つの数量を比べて
倍数関係でとらえていきます。
ここから、わり算の意味は
2つの数量を比べたときに、何倍になっているかを求める
ととらえることができます。
数の世界が整数だけでなく
分数に広がった場合には
わり算 = “何倍かを求める”
ととらえて下さい。
< 分数のわり算 >
さきほどの、学校の宿題に戻りましょう。
「分数のわり算は、なぜ上下をひっくりかえしてかけるのか」
2つのわり算で考えてみます。
この場合は分母が等しいので
3は2の何倍か、と考えることができます。
この場合は分母が異なるため
(1)のように同じ分母にすれば
分子だけを比べて、何倍かを求めることができます。
そこで、通分してから、何倍かを求めてみると
結果的に、ひっくりかえしてかけていることになりますね。
宿題の答え
「分数のわり算は、なぜ上下をひっくりかえしてかけるのか」
⇒ 2つの分数を比べて、わられる数がわる数の何倍かを求めると
結果的に、ひっくりかえしてかけることになる
はい、完成。