電車に乗っていると、時々不思議な体験をします。
駅に停車中の電車に乗っているとき、
状況がわかると、なあんだ、と思うのですが、
また別のある時はこんな経験をしました。
2台で並走している電車に乗っている時のこと。
自分は各駅停車、隣は快速電車。2台がぴったり並走していて、
やがて、自分の方が駅に差し掛かって減速し始めると
自分が急激に後ろに進んでいく?
ような錯覚にとらわれるのです。前に走っているのに。
これも、遠くの景色を確かめれば、頭ではわかるんですが、
ところで、
隣の電車が動く=景色が動く=
動き出した隣の電車から見ると、
このように、視点を変えて運動の様子を捉え直すのが
相対速度
の考え方です。
<複数のものが動く場面で威力を発揮する便利な考え方>
①視点=地面の上にいる人
旅人算です。1秒間に近づく距離は、5+7ですから、
式 120÷(5+7)=10 秒
と求められます。
この場合の視点は、P,Q以外の、動かない観察者です。
Pは5で動き、Qは7で動いています。
②視点=P君にしてみると
ではPから見ると、どのようになるでしょうか。見てみましょう。
Pが動きます。
Pから見ると、景色は…
前から後ろへどんどん流れていきますね。
実際には動いていない木や家が、前方から近づいて、
木や家が動く速さはどのくらいでしょうか、
そうですね。自分が動く速さと同じですね。
つまり、景色=地面全体が、
このとき、景色の中にいるQはどう見えるでしょうか。
5+7=12
の速さで自分に向かって動いて来るのがわかりますね。
相手が毎秒5+7=12m の速さで動きます。自分は止まっていますよ。
この時、120m離れた相手が自分のところに来る時間は
式 120÷(5+7)=10 秒
で求められますね。気づきましたか。式は先ほどの①と
全く同じです。
つまり、視点を変えることで、自分=Pを止めて、
言い換えると、2点が動く問題が、
全く同じ
このように、視点を変えると、動きの捉え方が変わってくることを
相対速度
といいます。
複数の点が動く問題を処理するのに、威力を発揮します。
通過算…2台以上の列車が動く問題
時計算…短針と長針の角度を考える問題
流水算…2つの船が動く問題
時計算でお決まりの6-0.5=5.5度/分も、
以上、速さの各分野で重宝する考え方が、相対速度です。