みじんこのお家

気が付かないうちに流れ去っていく時間の中でほんの少し交差する時間
グルメ・写真・旅行&猫

駅にて

2007-08-21 13:49:54 | 生活
自動発券所の前で一人の初老の女性
小太りで髪型はおかっぱに近い
肌は少し焼けて小麦色より少し濃いいくらいかな?
横に杖をおいて出てきた切符二枚を片手に持ち
釣り銭が出てくるのを数え始める
250・350・・・・・・・1000
そこまで数えて納得して財布に小銭を入れようとしたところで
大きな男性の怒鳴るような声

お~~~い、何しとんや

声はすれども姿は見えない
女性もキョロキョロとあたりを見回し

え~~っ、どこぉ?どこにおるん?

杖を持ってヨチヨチ歩きまわる
改札口の手前まで来たところで男の姿が見つかったらしい

なんでぇ~~、なんでそんなとこにおるん・・・・・どないいたらええかわからへんや~~ん

半べそのような声でヨチヨチと地団太を踏む
見るとかっぷくのいい、太鼓腹の男は、もう改札を抜けてホーム行きのエレベーターのボタンを押して待っている

はよせんかぁ、何しとんじゃ

そんなこというたって

女は二枚の切符を見つめ途方に暮れている

どないしたらええの・・・・

そう独り言のようにぶつぶつ言いながら改札をやっと抜ける
そのうちに電車の発車のベルが鳴りだした

私は急いで階段を駆け抜け電車の中に滑り込む



男が大きな声で叫んだ

お~~~い!!!、待ってくれ~~

発車のベルはもう鳴り止んでいる

甲子園に行くや~~~

まったってくれ~~~

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

男は急ぐでもなく喚き、女はヨチヨチと後ろから従って歩く

車掌は小窓から振り返り、ドアの開閉ボタンに手をかけて待つ
男は電車に乗り込み、車掌に後ろから、もう一人来るからと告げる
無事、女も乗り込み
ドアは静かに閉まった