アヴィニョンからTGVに滑り込んで、二時間余りでパリへと向かう。
列車の中は、パリに住むお母さんの誕生日に向かうクリスチーヌと一緒だ。
彼女は私達の滞在のためにパリに向かう日もすべて調整してくれ、お母さんの誕生日にぎりぎり間に合うような日程だった。
本当にクリスチーヌは、今回深い友情を再確認した一人である。
お昼は彼女と同じようにTGVの中でランチを買って取ることにした。
旅は道連れとはよく言ったもので、楽しい時間はあっという間に過ぎ、パリに到着した。
クリスチーヌは私達が乗るバス停まで同行してくれ、バスの到着を待っていてくれた。
ここでクリスチーヌと別れ、今日からお世話になる図書館マダム夫妻の家へと向かった。
二週間ぶりのパリも好天で南仏と変わらぬ暖かさだった。
ここまでニームでストライキに遭った以外は順調で、お天気にも恵まれていた。
これから最後の10日間をパリで過ごすことになる。
後から聞いたのだが、クリスチーヌによるとなんとお母さんはパリの到着駅・ガールドリヨンまで、迎えに来てくれていたそうだ。私達を見送ることに頭がいっぱいのクリスチーヌは、携帯電話の着信に気づかなかったらしく、お母さんに会えなかったのは、私たちにとってもとても残念なことだった。
お母さんの家には一度お邪魔したことがあり、その時はお父さんもご健在で、お父さんとはよくメールのやり取りをしていたのだ。お父さんがなくなった後、お母さんから丁寧なお手紙をいただいたこともあった。
そんなわけで、お母さんに会える機会を失ったのは、今考えても残念という言葉では足りないくらいだった。