パリに着き、ガールドリヨンから路線バスで、図書館マダム夫妻のすぐ近くのバス停に到着した。
ベルを押すと、ご主人のドゥニが階下まで迎えに来てくれ、大きなスーツケースをまずガレージに置かせてもらい、中くらいのスーツケースと入れ換え、エレベーターなしの4階まで手荷物を持ってあがっていった。
南仏に行く前に一度荷物を置きに来させてもらって以来なので、今日と明日ここで2泊し、数日後また戻って1泊させてもらうことになる部屋に案内してもらい、荷物を置いて、少しお茶を飲みながら南仏での旅の話をした。
ここには数年前にも夕食に招待され、来た事があるが、泊まるのは初めてである。
2019年の春は彼らのシノンの別荘で3泊させてもらっているので、安心していた。
しかし、ここでまさかの状況を知ることになる。
奥さんのジュヌビエーブがお孫さんのお世話で風邪をもらったのか、あまりよくない感じの咳をしていたのだ。しかし奥さんによると、お孫さんはまだ生後4カ月ほどで、マイコプラズマ肺炎になり、大変だったと言い、コロナではないということだった。
そんな奥さんも一緒に「散歩に行こう」という申し出を、少し疲れてもいたが断ることもできずに、周辺の地区を知るためにも散策に出かけた。
奥さんもご主人も説明が本当に好きなようで、あちこちの古い建物についても詳しく説明をしてくれた。
ただ、咳が気になっていた私は、この時2度ほど、奥さんが私に振り向き話しかけた時の距離が至近距離だったことが、少し、いや、結構気になっていた。
それでも2時間弱だろうか、散策を終え、家に戻り夕食の準備をしてくれ、夕食のテーブルを囲んだ時も、サービス精神旺盛なこの夫妻は、特に奥さんは咳をしながらだったが、いろいろ話していた。
そして夕食の後、この日からバカンスに行く予定のマリーアンジュの家族からも「留守宅をどうぞ使って」という申し出があり、マリーアンジュのご主人はこの翌日のお昼過ぎまではその家にいると言っていたが、使わせてもらうことはないと思い、行かない旨をメッセージで伝えたのだった。