背中合わせの二人

有川浩氏作【図書館戦争】手塚×柴崎メインの二次創作ブログ 最近はCJの二次がメイン

HAPPY HALLOWEEN!

2023年10月28日 17時30分00秒 | CJ二次創作
「いくわよ~、いっせーの、で」
「ほいっ!」
「うわ」
「おお?」
上から、アルフィン、リッキー、ジョウ、タロスの順の発声である。
くじ引き。この時代、なんて古風なものを、しかもお手製でやってるんだと笑ってはいけない。
彼らはいたって大マジである。
引いたものを見て、一番うんざりした顔をしたのはタロスだった。
「おいおいマジかよ……。こんなのあたしがやっていいんですかい?ある意味公害になるんじゃあ?」
ぴらんと紙を切ってメモ程度のサイズにしたくじをひらめかせる。
「なになに?……《ミニスカポリス》だってえ?! うひょー」
リッキーが奇声を上げる。
「タロスが入るサイズ、あったかしら……」
顎に手を当てて思案するアルフィンに向かって、「いや、そういう問題じゃなくてよ」とタロスが突っ込んだ。
げっそりした顔をしているのは、ジョウもタロスと似たり寄ったりだった。
「兄貴は何が出たの?」
「……」
ジョウはむっすりと手にしていたくじの中身を見せる。
そこには、「お色気ナース」とあった。
たまらずアルフィンとリッキーが吹き出した。ぶふっ。
すかさず、ぎろっとジョウの眼が剣呑になった。
「何がおかしいんだ」
おっと、二人は口元を手で覆った。リーダーの機嫌を損ねては大変だ。
「いえ、何も……」
「ナース、いいじゃん。兄貴、好きじゃん、ナース」
「何、その言い方。聞き捨てならないわね」
「おい。誤解を招くようなこと言うなよ、お前」
「誤解なんかじゃないよー。だってグレープの総合病院に入院していたときだってさ、兄貴ってば」
「あんですって?」
「ばか。ーーアルフィン、そう、アルフィンは何が当たったんです?」
怪しい流れになってきたと見て、慌ててタロスが話題を変えてやる。アルフィンは不承不承といった風に、持っていたくじを開いて見せた。
「どれどれ?ーーなんだ、《アラミス評議長のマネ》? なんじゃこりゃ、おやっさんの真似ってことか?」
ひでえ演目入れやがるぜと額をぴしゃりとたたく。
誰がくじ作ったんだよと犯人捜しのテイを見せる。
「まあまあ、知ってる人を一人入れるとコスプレって面白くなるじゃん~」
「お前か、作ったのは」
タロスがああん?と凄む。何考えてんだと。
リッキーがまあまあとなだめながら、
「いいじゃん、やろうよ、ハロウィンコスプレ大会。いっつも同じメンツで船に乗ってんだからさ、イベントに乗っかるのもたまには大事! クルーの親睦のため、一肌脱ごうぜ、ご老体」
「誰がご老体だ。お前は勝手に俺らをいじって楽しんでるだけだろーが!」
「年配の方が着るスーツってうちにあるかしら……。通販で取り寄せないとだめかな」
アルフィンはうーんと腕を組む。やる気、まんまんだ。
え、議長のコスプレ、ほんとにやるの……。という微妙な空気がミネルバのリビングに満ちる。
「そういうリッキーは何が当たったんだ」
ジョウが尋ねた。
「俺ら? ふふん、俺らが引いたのはこれさ」
じゃあーんという効果音とともに、びしっとくじを差し出す。
そこには、「スパイダーマン・オリジン」とあった。
「アッてめえ、いかさま使いやがったな。なんだてめえだけ大ファンの映画のヒーローもの当てやがって」
思わずタロスが詰め寄る。リッキーはへへーん、とあっかんべーをして舌を見せた。
「俺らの日ごろの行いがいいだけだい! 不正なんてしてないからね、言っておくけど」
「ほんとかな?」
ジョウも疑惑の目を向けた。と、そこで、アルフィンがパンと両手を合わせた。
「ハイ、聞いて聞いて。とにかーく、みんなくじで決まったコスプレして31日は夕食前にここに集合ね。くじのチェンジは認めません。タロスはミニスカポリス、ジョウはお色気ナース、リッキーはスパイダーマン、で、あたしがジョウのお父さんの格好ってことで、決まり!」
解散! と威勢よく発令され、それをしおに、はああと重い溜息をついた2名と、よっしゃと浮き立つ声を上げた1名はそれぞれ部屋に引き取ったのだった。

そんなこんなで10月31日。ハロウィンの夜がきた。
明らかにサイズの合わないぴっちぴちの女性警官の制服(ミニスカート)に身を包んだタロスと、同じく、きつきつのピンクのナース服の胸元に、膨らませた風船を二個突っ込んだジョウが現れたときは、悲鳴に近い歓声が上がった。ジョウはナースキャップもちゃんとして、化粧までするという半ばやけくそな雰囲気。タロスが腹を抱えて笑ったのを、「お前が笑うな」と一喝する始末。
そして、スパイダーマンスーツをすっぽり身に着けたため、誰が扮装したのか分からなくなってしまったリッキーが、アルフィンのコスプレを手放しでほめた。
「すごい、凝ったねえ、アルフィン!」
「うふふ~。でしょお」
鼻高々な様子。
アルフィンはわざわざアラミス本部から、評議会の議員の身に着けるスーツを取り寄せた。いちばん自分の背丈に近い、男性用のものを。
エギルに口添えしてもらったという。あの人物なら、こういうイベントに悪ノリするだろうとタロスもジョウも納得した。
見事な白髪のかつらをかぶったアルフィンが高らかに宣言する。
「じゃあ今夜の優勝はあたしってことで、臨時ボーナスはあたしがゲットでいいわね?」
「あ、きったね。なんでだよアルフィン。どこからどう見ても俺だろう?見ろよこの胸、あれこれ吹っ切ったんだぜ。クルーの士気を盛り上げようと」
「いやいやいや、ジョウも頑張ってますが、そいつはどうかな? アタシでしょ。この年で、ガターベルトにストッキング履いて、ハイヒールに脚を通したんですよ?功労者はアタシでさあ」
「2メートル超えるミニスカポリスがいるかよ……」
「俺らじゃない? 見てよこれ、指先から蜘蛛の糸が出るんだぜー。しゅぴって」
「わ、こっち向いて糸吐くな」
「あたしだって言ってるでしょ。ーージョウ、お前に評議会の決定を与える。資格停止6か月。以上だ」
「うげ、似てる……」
「練習したもーん」

わいわいがやがや。
騒がしくも楽しい、ミネルバのハロウィンの夜が更けていく。

END

たまにはこういうテイストのSSもいいかと。笑

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2 コメント

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新作ありがとうございます。 (ゆうきママ)
2023-10-31 12:55:12
タロスのコスプレが、どう転んでも想像できない(笑)
後に議長と家族になるなんて、
アルフィンは、想像できなかったのね。
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コメントありがとうございます。 (あだち)
2023-11-06 10:26:48
きっとおやっさんの方が、嫁認定は早かったと思います。笑 よい月末はお送りになられましたか?
返信する

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