麻子とのデートの待ち合わせは、いつも寮の門のところ。
ある時俺はふと気がついた。
門を出たところで、【シャツの袖をつまむ】。
俺が手をつないでやると、駅までの道のりの途中で【指を絡めてくる】。
恋人つなぎで電車に乗ってる最中に、【腕に腕を絡める】。
後はずうっとくっついたまま。デートの間中。
これが麻子の俺との距離の縮め方。たぶん無意識だろう。
だから今日は寮の玄関から出て門までやってきたところで、こっちから仕掛けた。
いきなり麻子の手を把り、ぎゅっと握って歩き出す。
「え? ひ、光?」
俺の不意打ちに真っ赤になる麻子。どぎまぎしているようだ。
さりげなく周囲に視線をやる。そして小声で訊いた。
「どうしたの? 急に」
戸惑いつつも嬉しそうな表情なのが、微妙にくすぐったい。
「たまにはいいだろ。俺からってのも」
そう言うと、「……まあね」と気取って見せた。
「たまにはね」
肩を並べて歩いていく。つないだ手をわざと大きく振りながら。
可愛い俺の恋人。
今日はどこへ行って、何を見ようか。一緒に。
fin.
(2008.12.18)
※「クリスマス大作戦」への拍手御礼SSです。
急遽仕上げました。スペシャルさんくすですvv
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