ジョウの裸の背中に頰を当ててまどろんでいたアルフィンが、ふと顔をあげた。
「ジョウ、あなたの背中に星があるわ」
「?」
気だるい身体を起こし、ジョウは上体を捻る。
でも背中なので、見ることがかなわず、
「星じゃなくて、黒子だろ」
と言ってまたシーツにうつぶせになった。
「そうだけど。ほら、ここと、ここ。そして、この火傷の痕とか銃の弾痕がね。結ぶとちょうど星座みたい」
アルフィンは言いながらひとつひとつ、指先を置いていく。
情事のあとの余韻をまとった身体はまだ敏感で、そのなぞるような触れ方だけでなんだかジョウはじっとしていられない。
アルフィンはそんな彼に気がついているのかいないのか、少し興奮をにじませた声で言う。
「逆さまの北斗七星だわ、これ。今までぜんぜん気がつかなかった」
「逆さまか。縁起悪いな」
「そんなことないわよ」
「火傷が余計だったな、移植しても元通りにはならない」
クリムソン・ナイツとの死闘によってジョウが重傷を負ったのは数年前。
銀河系でも最高の技術を誇る皮膚再生医療チームによって移植手術が行われた。が、それでも癒着は完全にとはいかず、引き攣れたような、こんも
りした隆起となってジョウの背中に残った。
痛みはもうないと言うが、火傷の痕を見るたびアルフィンは、ジョウが撃たれ草地に転がっていたときのことを思い出し、胸が締め付けられた。
「この星が導いてくれたのかもね。あたしを」
あのとき、命のともしびが今にも燃え尽きようとしていたあなたを。
北の夜空で輝き旅人を導く星々のように、この逆さまの北斗七星があたしをあなたのもとへ運んだのかもしれない。
いとおしい、命の星図。
「そう言うとかなりロマンチックな話に聞こえるな。星の加護があるってわけか、俺は」
「あるわよ。あなたには、いつも、おっきな流星マークしょってるし、それに、お星様のご加護だけじゃなく、あたしもいつも側についてるしね」
ふざけた口調でアルフィンは付け足す。
そんな彼女をジョウは抱きしめる。きつく。
「そうだな。手放せないな。一生」
俺の背中に生涯消えない星が刻まれているというのなら、
それを指先でなぞるのは一生にただひとりでいい。
アルフィン。
君が見つけた星座は、俺ごとひっくるめて君だけのものだ。
そう言うと、腕の中でアルフィンは少し涙ぐんだ。
「ロマンティックなんて、柄じゃないよな」
すっかり照れてしまったジョウに、アルフィンはううん、と言って限りなく優しくキスを贈った。
END
J誕は来月ですが……ひとあし先に。
「ジョウ、あなたの背中に星があるわ」
「?」
気だるい身体を起こし、ジョウは上体を捻る。
でも背中なので、見ることがかなわず、
「星じゃなくて、黒子だろ」
と言ってまたシーツにうつぶせになった。
「そうだけど。ほら、ここと、ここ。そして、この火傷の痕とか銃の弾痕がね。結ぶとちょうど星座みたい」
アルフィンは言いながらひとつひとつ、指先を置いていく。
情事のあとの余韻をまとった身体はまだ敏感で、そのなぞるような触れ方だけでなんだかジョウはじっとしていられない。
アルフィンはそんな彼に気がついているのかいないのか、少し興奮をにじませた声で言う。
「逆さまの北斗七星だわ、これ。今までぜんぜん気がつかなかった」
「逆さまか。縁起悪いな」
「そんなことないわよ」
「火傷が余計だったな、移植しても元通りにはならない」
クリムソン・ナイツとの死闘によってジョウが重傷を負ったのは数年前。
銀河系でも最高の技術を誇る皮膚再生医療チームによって移植手術が行われた。が、それでも癒着は完全にとはいかず、引き攣れたような、こんも
りした隆起となってジョウの背中に残った。
痛みはもうないと言うが、火傷の痕を見るたびアルフィンは、ジョウが撃たれ草地に転がっていたときのことを思い出し、胸が締め付けられた。
「この星が導いてくれたのかもね。あたしを」
あのとき、命のともしびが今にも燃え尽きようとしていたあなたを。
北の夜空で輝き旅人を導く星々のように、この逆さまの北斗七星があたしをあなたのもとへ運んだのかもしれない。
いとおしい、命の星図。
「そう言うとかなりロマンチックな話に聞こえるな。星の加護があるってわけか、俺は」
「あるわよ。あなたには、いつも、おっきな流星マークしょってるし、それに、お星様のご加護だけじゃなく、あたしもいつも側についてるしね」
ふざけた口調でアルフィンは付け足す。
そんな彼女をジョウは抱きしめる。きつく。
「そうだな。手放せないな。一生」
俺の背中に生涯消えない星が刻まれているというのなら、
それを指先でなぞるのは一生にただひとりでいい。
アルフィン。
君が見つけた星座は、俺ごとひっくるめて君だけのものだ。
そう言うと、腕の中でアルフィンは少し涙ぐんだ。
「ロマンティックなんて、柄じゃないよな」
すっかり照れてしまったジョウに、アルフィンはううん、と言って限りなく優しくキスを贈った。
END
J誕は来月ですが……ひとあし先に。
⇒pixiv安達 薫
ほんわかしてて、好きです。
あまり、アルフィンを心配させないようにね。
ジョウの背中の傷、きっと火傷の引きつれと銃弾の跡があるんでしょうね。それが彼の勲章であり、アルフィンの気がかりであり。
新しい連載もはじまりました。お時間のあるときにでもお付き合いくださるとうれしいです。