もとより手習いをする紙も筆もないシカにとってはこうするより外に仕方がなかったのであるが、ただそれだけではかなが読めるというだけで、実際に書くことが出来ない。そこでシカは月のある晩は家人の寝静まるのを待って盆の上に灰を撒き、そうっと外に出て、僅かな月の光を頼りにその灰の上に指先で手習いを始めるのであった。祖母みつの病気は日に日に重くなってきた。僅かな暇を見てかけつけてくるシカは見舞う度毎に衰えを加 . . . 本文を読む
ブルガリアの昔話
動物がくれた年
お星さまの光までこおりそうな、寒い冬の夜のこと。ウマとウシとイヌが、ふるえながらトボトボ歩いていました。
「ねぇ、ぼくもうこごえそうだ」
「わたしもだよ。どこか寒さをしのげるところをさがさなきゃ、死んでしまう」
「あ、あそこにあたたかそうな家があるよ」
「中に入りたいなぁ」
「たのんでみようか」
明かりのついた家までたどりつくと、おそるおそる . . . 本文を読む