いま医学界で大問題! 「耐性菌」の急増でクスリが効かなくなっている

 「週刊現代」2016年6月4日号

いま医学界で大問題! 「耐性菌」の急増でクスリが効かなくなっている

メイアクトとフロモックスは世界における経口セファロスポリンの売り上げで1位と2位を占めます。共に、日本での消費量がダントツに多い。しかもほとんどが『風邪』のような、抗生物質が有効でない病気に処方されている

メイアクトはMeiji Seikaファルマが出している抗菌薬ですが、年間販売額は数百億円規模になります。フロモックスは塩野義製薬が出しているクスリで、同社の医薬品売り上げの中でも5本の指に入るヒット薬

実は医療現場以外にも、大量に抗生物質が使用されているところがある。畜産や魚の養殖の現場だ。

例えば豚は4畳ほどの狭い空間で10~12頭が折り重なるようにして飼育されることが多い。ストレスや非衛生的な環境のせいで肺炎にかかる豚が多いため、飼料の中に大量の抗生物質を混ぜることが常態化している

加えてペニシリンは豚を早く太らせる効果もあるので、肺炎予防という目的とは別に成長剤として投与されている

「ヨーロッパでは牛も豚も鶏も、一定の広さの中に決められた数の家畜しか飼ってはいけないという規制があります。一方、日本ではそうした規制はなく、例えば牛の約9割が生まれてから一度も外に出ることなく、牛舎の中のみで飼育されている

このような劣悪な環境にあるため抗生物質を多用せざるをえないのです。以前、私が行った調査では、人に投与される倍の量の抗生物質が家畜や養殖魚に対して使用されている

ここで新たな問題がある。製薬会社が抗生物質を作りたがらなくなっている

感染症を起こしても、抗生物質はせいぜい2週間くらいしか飲まれない。長期間飲み続ける血圧や糖尿病のクスリに比べて、消費量が少ないのです。製薬会社が新しい抗生物質を開発するのには1000億円ほどかかります。

しかし売り上げは、ベストセラー薬でも最初は10億円程度。増えても年に100億円くらいのもの。これでは商売にならないので、製薬会社は開発に積極的でなくなっている

スーパー耐性菌が続々と生まれる状況になれば、新しい抗生物質の開発が間に合わない可能性もある。 かつて人類の脅威だった結核やコレラは決して撲滅されたわけではない。抗生物質によって、いったんは鳴りをひそめているものの、いつの間にか耐性を つけ、スーパー結核・スーパーコレラとして人類に襲いかかるかもしれないのだ。そうなったとき、一番感染しやすいのは免疫力の衰えた高齢者

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