っていうか片付けのたんびに台本が出てくる演劇部も一体なんなんだ。という気はしないでもないのですが。
あ、で、おまけモードですが本題の前に置いちゃいます。
作中の中でちらりといってた文月さんが本気でブチッときたやつ。
空斗さん、ちょっと本気で文月さんをからかい過ぎちゃいました。みたいな。
こういうのはほどほどにしときましょう。
あ、で、蛇足のネタをもう一つのブログ、のほねこパート2の方にあげときましたー。っていうか部室の片付けメンバーはそんなことになっていたのか、と。っていうか、さりちゃん…お前…そしてシロさんは超残念でした、という本当の蛇足です。
とある演劇サークルの記第4章 地震と台本
「ってことで、台本もまだできてないし。部室の掃除を手分けしてやるぞー」
「あぁ、はいー」
と、円城の言葉にやる気なく頷く一同に繭子が怒りながらいう。
「もう、みんな掃除嫌いなんだからっ。私、一番気になってたあのごっちゃごちゃの照明室のとこ、シロさんと掃除してもいいかしら」
「え?なんでシロさんと?」
「ってか俺ですか?」
相変わらず鈍い円城はイマイチ発言の意図がわかっていない顔をして問い返す。もちろん他の当のシロさんとうーさん以外の一同は(明らかに小夜香あたりは)また始まったよ、繭子さん劇場が…という感じなのだが。
「だって彼が一番掃除得意そうじゃない?一番理知的っぽいし」
「そうかなあ…俺いうほど掃除得意じゃないんだけど…」
ともごもごいうシロさんをとりあえずそっと黙らせる渋谷であった。これ、これ逆らったら命が危ないところですから!コソコソ。とにかくこの演劇サークルの影の実権者は繭子なのだ。なんだかんだ言って繭子が一番仕切っている。
「そうかぁ?まあいいけど…でも照明室ってちょっと危なくないか?もし何か変なもん落ちてきたりしたら…最近地震も多いし」
ああ、良かった、円城さんそこのところ(繭子の安全面について)は割と気がきく男だ。と一同はその反応に胸をなでおろした。
「その辺はちゃんと注意して掃除しますよ。あそこの掃除、前からやりたいと思ってたの」
「んー…まあ、それなら…じゃ、部室とかあの辺はうーさんとさりちゃんと渋ちんで、後のはいつもの部屋と中庭の掃除な」
さっさっかと中庭をほうきではきながら小夜香と藤村がブツブツとそこの円城に聞こえないように文句をつぶやく。
「あの気まぐれ嫉妬して欲しい劇場、なんとかならないのかしら…ほんと」
「しょうがないじゃない、どこそこ大学を恨むしかないわよ」
誰かさんがどこそこ大学の主演女優が可愛いとかそんなこと言い出すからである。
「ああ、確かにあれから繭子さん劇場多くなったわよね。それまでそんな嫉妬深いこともなかったのにもう…!結構円城さんってミーハー?アイドルとかそんな熱入れるようなタイプでもなかったと思うけど」
「確かにアイドルは興味なさそうだけど。しょうがないんじゃない。女優だから。まあ、同じ大学じゃなかっただけマシよね」
それは本当に我らの命が危ない。
「っていうか風の噂で鏡花さんが渋谷くんのこと「円城さんの第二夫人v」とか言ってたら本当に鏡花さんと渋谷くんの殺害計画がこそっと持ち上がってたとかいう話を聞いたことがあるんだけど」
「それ、出所はさりちゃんあたりじゃないのかしらね…あの子も割とそんなん好きでしょ」
「そっか、本当な訳、ないわよね…」
本当だったらどうするのよ、と藤村はため息をついた。小夜香もちょっとそういう方面についてはバカ素直に人が言ってたまんまに聞くから困るわ。でも実は小夜香も案外自分も嫉妬深いのに気づいてないのよね…。誰かさんの双子の兄暗殺計画願望、ちょっとだけ口に出してたことあったわよね…。
「へっくしゅんっ、やだな、誰か俺の噂してる?」
と、渋谷がブツブツ言いながら今までの台本の整理をしてる部室である。
「誰もー?」
さりがどうでもよさそうにつぶやきを返す。それよりも。
「うーさん、シロ先輩気になる?」
「え、いや、うーんと…」
そっちをつつく方が楽しそうだ。
絶対安心なんてさせないんだろな。
だめだ、こいつら掃除どころちゃう。と渋谷は今までの台本を触りながら、触っただけであの頃がここにある気がして、円城がこのサークルを復活させてからのことをそっと振り返る。
本当に色々演じたなあ…。
と、思っていたらいきなり体に揺れを感じた。地震だ。
話は少しだけ振り返る。
例の照明室の掃除の二人である。
「うっわ。これ、本当にごっちゃごちゃだ…!」
もうケーブルやらなんやら上の方には謎の段ボールが積み重なってるわのひどい有様を見て、シロは声をあげた。
「でしょう?前からやりたいと思ってたのよ」
「ええ?これ、二人で大丈夫です?」
「まあ、その。少しでも前進すればそれでいいわ。ちゃんとやらなくても怒らないから。とりあえずやったという実感だけちょっと欲しいのよ」
うーん?それはちょっとどういう心理なのか納得しかねるが、まあいっか、と、とりあえずケーブル系のごちゃごちゃから手を出した。特に話すこともないので黙々、と。
何考えてんだろな、この人は。と繭子のメガネの横顔を盗み見る。
「何?」
「いえ、何も…」
同じようにケーブルごちゃごちゃに手を出してるかと思ったら、そっちの装置をポンポンと片付けていたりする。うん、まあ、段ボール山積みとケーブルごちゃごちゃと、どっちからやる方がいいかと思ったら段ボールごちゃごちゃかもしれないけどな。やっぱり照明係としてはケーブルの方が気になるもんだ。
「まあ、その、…あなただってたまには嫉妬の一つもされたいでしょ?」
「へっ?」
声が飛んできて思わず素っ頓狂な声を上げる。いや、それは特に考えたことなかった。
っていうか、その辺やけに素直だな。繭子さん。
いやいや、なんかのエロ漫画じゃあるまいし、ここで誘惑なんてそんなことはーーーなんてことを考えた途端、体に揺れを感じた。
「え…!繭子さん、危ない…!」
と、いうか彼女の真上にあった段ボールの蓋が開いて、中のものが彼女に降りかかろうとしていた。
とっさに彼女をかばうシロ。そしてーーー。
「………いってててて…ああ、中身が紙(?)で助かった…」
地震の震度も三くらいだったようだ。それほど大した崩れはなかった。
「…シロさん、大丈夫?」
恐々と繭子が声を掛ける。とりあえず紙だったから特に怪我はないがどうなったものか腰くらいまで紙で埋まっている。っていうか、この体勢…。思わずババっと起き上がったところで、円城が様子を見にきていたようだ。どうやらそろそろ休憩のタイミングで地震が起こったもので慌てたらしい。
「おい、大丈夫か…って、シロさん。なんだその紙は、っていうか、え?」
「いや、これが落ちてきたんですって」
「紙っていうか…台本?」
おい、そっちかよ、お前。とシロは思わず心の中で突っ込んだが、次の円城のセリフに思わず感動を覚える。
「あ、じゃ、なくて。繭子大丈夫か?っていうか庇ってくれたんだな、シロさん」
うっわ、状況めっちゃ飲み込んでくれて助かるわ…!いい笑顔やわ。台本見ながらやけどな。
「と、いうわけで出てきたのは俺がサークルを復活させる前の演劇部の台本みたいなんだが。」
と、みんな集まって地震地震、と話してる中で円城が説明をする。
「ちょうどこの台本が地震ネタで、どうやら故郷から離れた青年が地元の地震を知らずに故郷に戻ってきたみたいな話だ」
「すごい偶然ですね…」
と渋谷が思わず息を飲む。
「これを繭子に大幅に改稿してもらって次の台本にしようかと思う。うん、そうだな。地震を知らずに戻ってきて温かに死者に迎えられる話もどうだから、死者が次第に悪霊化しつつある現在っていうもう一つの次元を入れたらどうかなって思うんだがさまよう死者って感じで。そりゃ、いきなり死んでも受け入れられんだろう。」
「主人公が恨まれてるっていうこと?」
「っていうよりはもっと納得できないっていうか、な。まあその辺はうまいことやろうぜ。な、繭子」
ポンポン、と繭子の頭を撫でる円城に思わず他の一同は「そうそう、あんたらはそうやってうまくやってくれ…!」とまた胸をなでおろすのであった。うーさん除く。
最新の画像もっと見る
最近の「ネタ、小説」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事