流石に色々と力不足でした。
(五月二十八日、最後まで色々文を付け足しています。六月十八日、気になってた探偵は絆創膏をねだる、のとこの短歌書き直しました)
まあ、展開的には思う存分なメタメタが来たけど。ってことで続きで行きますよー。
意を決して、どうぞ。
っていうか、ノリで最終まで行ったんですけどね?
なんっちゅーラストじゃ。と作者的にも突っ込んでおきたい。っていうか解決編自体が解決されることを放棄されているっていうか。もうメタメタです。
もうどうしましょうね?あのヒロイン…。で、ここで最終の4もついてるんですけど。
短歌短文リメイク 右手の鳥3
「この日の俺はすでに何人かいたようだ全て証明できぬ」
楽しいはずの文化祭、なのだがこの日の記憶は全てが怪しく、つじつまが合わないことを先に言っておく。すべての行動がすでにおかしい。
いや、おかしくない時から少しずつ説明しておこう。
まずは、文化祭がやってきて、くだんの当主は流石に無理だったがくだんの双子のお手伝いさんはちゃんと現れ、諒子と仲良く話していた。というか諒子が一方的に萌えてる感じだったがいつものことだ。双子がいるのになぜか皆月がいないので、俺が探しに行った。そこまではいい。
そこからが少し記憶がなくて(皆月は見つからなかったのか?一緒ではなかった)戻ってくると、諒子がケラケラと笑ってまた文月小夜香とニアミスした、とかいうのでそこで俺はうっかりと問い詰めてしまった。その笑い方が妙に気に障った。
諒子。俺はずっと思っていたんだが。
え?なに。怖い顔して。
その文月小夜香って女は実在するのか?みんなが俺のことを撹乱するためだけに架空の存在をでっち上げているとか、そんなことはーーー。
ーーートリノくん。
諒子は驚くほど静かな声で俺を呼んだ。
人間の存在ってどうすれば証明できるものなの?
小夜香さんの家を見て文月って表札見れば納得する?
それとも髪の毛持ってきてDNA鑑定する?それでもこの方法じゃ両方とも姿は見てないよね。
姿が見れないときは彼女はどうやって彼女がそこにいるって証明する?
諒子。でも俺は本当に彼女を見てないんだよ。
でも彼女だってあなたを見ていない。あなただって本当に実在を疑われているかもしれない。今のあなたみたいに。
でも俺はーーーー俺はここに。
うん、私には見えてるね。でもどうやって私はそれを証明すればいい?
諒子。
死んだ人は、今ここにいる私の感情はどうやって証明する。言葉なんてすぐ消える。肉体だって、いつかは消える。あなたはどうやってあなたを、私を証明してくれる。
悪かった、悪かったから、やめてくれ。
あなたの記憶に、私はいますか?ねえ、トリノくん。
いるよ、ちゃんといるって。俺もお前も。ほら、ここにーーー。
「抱きしめようとしたら突き飛ばされて樹に抱きとめられた彼女は」
中庭の植え込みの中に倒れた俺を彼女は泣きそうな目で一瞬見下ろして、走り去っていった。
ちょ、ま、諒子…なんだこれ、この樹、なんだよ…!!
思いっきり服に絡みついている。力任せに引き抜こうとして、手が血にまみれた。もはや混乱しすぎて痛みも感じず、ただジンジンとする。赤い血は目にも入りかけた。なんでこんな凶悪な木が大学の中庭に。なんで。
いきなりハサミらしき影が俺の視界に入る。誰かが。木をハサミで切った。
走り去るその後ろ姿はーーーー俺、じゃない、か?
能力が、うっかり効かなくて。この男には反射されるべき恐怖がなく。言ってみれば反省なんて全然していなく、応接間で私は襲い掛かられそうになって、とっさに灰皿を手に取った。
がしゃん、と衝撃音。人なんて、初めて殴った。
呻く声。怖い、もう一回、殴る。灰皿はよっぽど分厚かったのか割れもせず、彼の脳天を砕いた。
そうしてその灰皿をもう一回見る。ガラスの灰皿。硝子。
私の心も、そうして割れた。
その後俺はひとしきり諒子を探した後、とりあえず帰ろうとして。とりあえず帰ろうとして大粒の雨に見舞われた。もう夜の始まりくらいの空の色。町も影絵になりかけていた。
路地の端っこに彼女がうずくまっていた。
諒子?じゃない。あれ。ええと…君は。
お兄さん…?と彼女は力なく顔を上げた。
琉留?李々?どっち?
どっちでもいいじゃないですか、この際。放っておいて。
放っておいて、って君、こんな雨の中で何してるんだ。風邪引くぞ。
風邪なんてこの際関係ないです。帰れないんだから。
帰れないって…なんだよ、皆月と喧嘩でもした?
って、え?皆月?
記憶がまたどんどんおかしくなる。
俺、皆月を探していてーーー。
文化祭の出し物で萩教授の研究のもっとおもちゃみたいなやつを出してきたとか、あいついってなかったっけ。どうせだから体験してみる、とかなんとか。
そう、おもちゃみたいなもの、のはずだった。
なのに、あんなーーー。でも、おかしい。俺がもし本当に皆月を殺したんだとしたら(殺したってそんな馬鹿な)、もっとおかしい記憶が混じっている。
その後俺は手を洗おうとして。
血にまみれた服のまま顔を洗っている皆月を見た。
それ、本当に俺の記憶か?俺の記憶なのか?
わからない、なんだそれは。
あの黒い目でなんであの子に会ったりしたんですか、と追求された。
あの子って誰だよ。お前なんだよ。なんで顔を洗ってる。
じゃあ、なんであなたは手を洗おうとしているんですか。そんなに汚れてるのに。
汚れてるのに、って汚れてるからーーー。
残念ながら、貴志美さんの絆創膏くらいじゃ全然足りてないみたいですね。
彼女の絆創膏も無限にはなさそうだから。
仕方ないのかなあ。もうこの世界はどうしようもーーー。
さらには超能力研究所に行って永路さんの妹の絵夢ちゃんがお父さんが、灰皿で殴られて殺されたみたい、と呟いたのを聞いた記憶まである。
大丈夫、ですか?お さん。
今日の俺、ものすごくおかしいみたいだ…。
見ればわかります。帰れます?私が送っていきます。場所は知っているから。
いや、女の子に送ってもらうなんてそこまでは。
送ってもらうって行ったっておぶっていくとかそんなことはできませんから…ほら、手を貸して。
君の方が憔悴してるように見えるんだけど。
大丈夫ですよ。あなたのその顔の方が放っておけない。
いや、でも本当に今日の俺はおかしいんだってーーー。
いいから。
ーーーごめん。
俺は彼女の手を取った。だけど、彼女は俺より震えていた。
困った時はお互い様ですよ。
って言って帰ってきたはずなのに目をさますと彼女の姿はなかった。
ーーーやっぱり全部夢なのか?
あなたがいること私がいることどうやって証明する?
諒子。ごめん、俺は君になんの回答も与えられない。あげられない。
って、あれ、なんだこの書き置き。おかしいぞ。お兄さんはお父さんになってるし、だいたい君自分の名前まで間違ってるじゃないかーーー。
彼女は。
泣いていたら、乱暴にドアの開く音がした。
さんは。
あれ、皆月、お前やっぱりいきてーーー。
そんなことどうでもいい。彼女はどこに行ったんです。ああ、もうどうせまた記憶ないんでしょう!?知ってるはずのことがなんで証明できないんだ、あんたは!!
どうやって証明するんだ、証明証明ってみんななんなんだよ。
お前は解答をもっているのか。
答えなんて、誰ももってない。あえて言うならこうやって証明してやるーーー。
何がなんなのか。俺は皆月に力任せに殴られた。
どうせ忘れるんだからいいでしょう。
とりあえず気絶しててください、いいですか!?
いいですか、じゃないいいですか、じゃお前も俺くらい支離滅裂だぞーーー。
そんな夜にやっとあさが来た。
朝が来て。
文月小夜香は実在していたことを俺は知った。
短歌短文リメイク 右手の鳥4(最終)
「彼女は彼女を殺した 彼女の罪が消えるのかと思って」
彼女が家に帰ってきたとき、静かに彼女の半身が彼女の帰りを待っていた。
彼女は言った。
あなたがしたことを、空斗さんは全て知っています。
ーーーなん、て。
私ももちろん知っています。あなたは五人も殺した。半身として、責任は取ります。全て私の責任に。あなたは私が してあげるから、後は何も考えなくてもいい。そう言うことでしょう。
え、ええ。私は、だってーーー。
だってあなたは人間に戻ってしまった。
………。
死ぬ場所なら、決めてある。
あの大学の、中庭。時の止まったような大きな時計。
「時計の針は壊れているのかして全て上空を向いていた」
時計を。時計を確認する余裕なんて彼女にはないはずなのに彼女は無意識に時計を見ていた。
「彼のナイフ私の指紋で汚す 混ざる壊れる混ざる壊れる」
彼の部屋から持ってきたあの青いナイフ。彼が私に見せてくれた、あのナイフだ。彼女は右手にそれを握りしまえた。鳥。なぜか黒い鳥が彼女たちの上空を飛ぶ。彼女たちは混ざり、そして壊れた。
冷たい刃物の感触。私だけが熱くて、私は全てにさよならを。
さよならばいばい。この世界。
私には明日はやってこない。明日は絶対に。私はもう目覚めない。
だって。それなのに目覚めることを考えている。こんなにも浅ましく。未来は。未来はーーー。
「こんな夜にも朝は迎える次のステージへと、ねえ」
こんな酷い夜なのに、あさが来た。
朝が白々しい。もう何も考えることも諦めて、彼女は泣いた。いっそ私も目覚めなければ、いいのに。
「やっと会えた彼女は死神でした いつか会えるといつか会えると」
俺が文月小夜香に出会ったその日、彼女は中庭を指差して言った。
どうもあの、そこに死体があるように見えるんですけど、どう言うことかしら。
とてもよく見た死体に思えるんですけどーーー。
その死体は俺の服を着ていた。
つまり、それは…。
そこからの展開はよく覚えていない。なんか、知らないうちに解決編だった。
え、いや、お前が探偵で、その、この事件を解決するの?と小弥山が皆月に言った。
そんなんダメだよ。事件なんて解決したって。被害者が殺されて涙する、それだけじゃいけないのか?どうしても、理論で誰が悪いとか。誰のせいだとか、そんなん言わなきゃダメなのか?
こみやん、それはないよ。事件は解決しないと、と諒子。
大丈夫です、小弥山さん。
あなたの理屈に合うような、そんな犯人じゃなくて。この解決編は何も解決しない。ただアホな犯人がアホな計画立ててアホやらかしただけです、で済むから。と皆月はいった。
なにせこの計画立てた犯人、自分がその時空に何人もいるパラドックスでいつも狂いまくっています。記憶もなくて、もう何回問い詰めても覚えていなくってーーー。今更解決編で問い詰めても無駄でしょう。
え、それって…誰が望む結末?
誰も望まなくても結末はやってくるんですーーー。
と彼はドアを開けた。萩教授の研究室の部屋。
彼らは声を合わせて言った。
全ては。
ーーー全ては、この日の完璧な再現のために。
それだけのために、彼はこのアホな事件をでっち上げたんです。
その部屋には。半身を殺して放心している犯人のはずの双子の片割れともうなんでこうなってしまったのか、と嘆く彼女の雇い主と。萩教授となぜか藤村がいた。
役者は揃っている。
空斗、なんで私はーーー。嫌なことが確実に起こるとわかってるのに、何でいつもいつもーー。
嘆くいとこに皆月は優しく肩に手を置いた。
町の偉いさんのはずなのに、これじゃあただの怯える少女だ。
あなたはただでさえ犯罪者の血と自分の血を交換とかさせられているから…そんなにいつも気を張ってられるわけがない。いくら能力があってもそんなにいつもフラフラじゃあ、誰も助けられるわけがない。誰もあなたを責めません。やっぱりこれは俺の不注意だ。
そんなことは。
あるんです。いくら家族といってもずっといるっていっても二十四時間も誰も見張っていられない。誰がいつ馬鹿なことするかもわからない。それを家族だから責任を取れ、なんてこの世界に問題がある。誰も心の中まではわからない。現に彼に何が起こってるのか、正しく言語化できる人なんてこの場にはいない。彼がどれだけのわけわからないを背負っているのかーーー。
もう彼を取り巻く全てがわけわからないすぎて。
人の心はどれだけ言語化されるのか。そも人の心は言語化しようとする精神がなければそもそも言語化なんてされない。どれだけ移ろって、どれだけ上澄みを取れるのか。だから、事件の解決編なんてそもそも無駄なんです。
彼の心は移ろいすぎて、言葉にすれば全部嘘になってしまい、記憶もない、そんな犯人。
問い詰めたところで誰も彼を制裁できない。
これはそう言う事件です。だからーーー。
小弥山さんの望む通り、理屈の通った解決編はありません。
で、でもそれじゃあ。何の解決にもなってないよ、アオレンジャー。
事件という事件が全て誰もが円満のいく解決なんて、ありえないんです。
いや、でもさあ…幾ら何でもそんなのって、ないよ。
諒子は食い下がる。納得のいく解決編?あるのか?この世界に。
犯人という犯人が全て言語化のできる人を説得できる犯罪が?
俺はーーーない、と思う。憑き物は落ちない。
頭のおかしい犯人が頭のおかしい犯罪を行った。それが、かなりの数の納得を呼ぶでしょう。頭のおかしいは全ての免罪符です。誰もがそうでしょうねえって納得できるから。だから、それで終わりなんです、この事件は。頭のおかしい犯罪者と頭のおかしい世界が合わさってこんなおかしい事件があった。これでこの事件は終わりでしょう。終わり、終わり。これで終わりです。
ちょ、ちょっと待ってよ、そんなーーー。
探偵役(?)のまさかの裏切りに、諒子は食い下がろうとする。
そうですね、ーーーただこれだけは一つ言えます。
そんな諒子になぜか皆月はすがる視線を向けた。というか、抱きしめる相手を一瞬間違えたような。その仕草。
俺は疲れました。
貴志美さん。絆創膏、ください。
「探偵が絆創膏をねだる解決編 世界は割れて消えず」
諒子はしばし戸惑った後、いつものように絆創膏を取り出してわかった、アオレンジャー。貼ってあげる。と言い出した。
怪我の形跡もない彼の手の甲に絆創膏を貼ろうとしてーーー。
なぜか直前になって彼女は。なんか違うね。と言い出した。
俺もなんか違うと思ってるけど、でも、何だろう…?
ここはもう一枚、ということでしょう。
戸惑っていたはずの諒子がなぜかすごく訳知り顔になっている。
硝子の目でその絆創膏を見ていた皆月は、何を思ったか諒子からもらった二枚の絆創膏を半身を失って放心している彼女にひざまづいて差し出したーーー。
放心していたはずの彼女の瞳にみるみる涙が溜まって溢れ出した。
私、私はーーー。
別に今度こそは奴は間違えなかったらしい。待ってるから、と彼は彼女を抱きしめた。
しばらくそうしていたのか、みんな誰も何も言えずにいる、と。
探偵はこういった。
ーーーちょっと元気が出てきたから、彼女がやった事件だけ、この事件の上澄みで起こっていた事件だけ解説します。
まあ、世にも腹立たしい殺人犯たちのビデオがありまして、一人の女性が被害にあいました。彼女たちはその女性の双子の子供達でした。一人は父親にそそのかされて犯罪に走り、もう一人は犯罪に走った彼女のために、彼女の罪が消えるように彼女を殺しました。それだけの、話です。
「世界には貼る絆創膏がないと思うんです 愛のために燃え」
じゃあ、その如何しようも無い壊れた人はどうすればいいんですかね、と諒子はいった。
壊れた人は絆創膏が無限にあっても足りないような可哀想な人ですよ、と皆月はいった。
絆創膏工場にでもなるしかないね、と諒子は笑った。
なんか解りあってる気はするのだが、他の人間たちはイマイチ話の掴めぬままである。
結局訳のわからないままなの?皆月くん。と文月小夜香は言った。
うん、君の殺人衝動と同じくらい、わけわかんない。
解答をあなたに求めた私が馬鹿だった。と彼女は嘆息した。
つまり、世の中はわけわからないままなのね。
結局わけわからないままやっていくしかないっていう。つまりそういうことです。
世界にはつける絆創膏はないっていう。
もう一度、彼は彼女を見つめ返した。
ーーーー君はあの日あった君とは違う君だね。
これは彼と彼女だけに伝わる言語だった。
結局解答なんて誰が持ってるのかわからないまま、解決編は終わる。
何も解決なんてされないまま。事件だけが処理されていく。
振り向くと諒子がいつの間にかそばにいた。
許したわけじゃないけど、あなたの絆創膏工場になってあげる。どうやら私は受け取ってくれる人がいないとダメみたいだから。でも、その代わりあなたはーーー。
と軽くウインク。
ネタの宝庫だから一生私のおもちゃというわけで、ね。
………そんな口説き文句、聞いたことない…と俺はうなだれた。
そりゃあだって、私も初めて言いましたからね。先は短いようで長いんだから、ちゃんと付き合ってよね?
結局君はどこまで事態をを理解してーーー。
それってね。結局私にも正しく言語化なんてできないんだよ、トリノ君。
チッチッチ、と彼女は指を立てながら、まるで探偵が助手を呼ぶみたいな発音で俺を呼んだ。
結局彼女が最強だっていうことだ。殺したくらいじゃ、とても上になんて立てない。つまりはそういうことでーーー。探偵のはずの彼だって彼女に絆創膏ください、としか言えなかった。まあ、つまり。つまりそういうことだよなーーー。俺は言いしれようのない納得に浸る。
最終的には、俺はあの炎の中ーーー。
俺の最初の殺人の責任を取って。
あの最初の殺人の被害者の、彼女の弟の名をとって未白(みしろ)と呼ばれるようになる。そう、未来は白い。白い鳥だ。あの事故の日に飛んでいた鳥。あれが俺なんだ。
それまで彼女に踊らされろって。そういうわけで。迂闊に殺人犯になんてなるもんじゃないっていう、そういうリスクを負ってずっと。俺が彼女がどこまでわかっているのか証明もされないまま俺たちは俺たちを証明し続ける。
被害者でい続けたはずの彼女が実は一番最強であったことだけ。
それだけを書き留めていたいのであった。犯人より。
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