にざかな酒店

とある演劇さーくるの記 乙女は救いがたし

というわけで、乙女がきましたよ。
思ったよりだいぶ乙女入っちゃったかもですが。恥ずかし。
では続きでどうぞ。
とある演劇サークルの記 乙女は救いがたし

あー、できた。本当、どうなるかと思った、台本…。
だって鏡花ちゃんが私より先に超ヘンテコ台本仕上げて来るなんて、思いっきり計算外だった。
っていうか、まだ彼女台本書く気があったなんて。
サークル内恋愛なんて錯覚でもあとあとやりにくくなるだけなのに。どこぞの「女子校の演劇部」だって「部内恋愛禁止」よ?本当にもう。
円城君がさっぱり鏡花ちゃん台本はやる気なさそうなのにホッとする。
そう、大体今回台本が遅くなってしまったのはそもそも彼のせいなのだ。
彼のせいで、今までの台本がダメだったのか、とか今度こそ気に入られる台本を、とかいらない意気込みが入ってしまった。救いがたい。ここは責任をとってもらってしっかりこの台本を生かしてもらわねば。私の台本をしっかりと監督演出してついでに出演も。
円城君にその辺気取られないように、彼はあえて主演ではない。
主演は渋谷君、主演二回目の彼である。渋谷君主演なので、ニート探偵は少し妖精的な要素を入れた。なんとなくちょっとファンタジー入れても良さそうな気がしたのだ。
ニート探偵はざっといってこんな話である。

ある小学生の女の子、さりちゃん(後 さり)はよくできた未亡人のお母さん(文月小夜香)と一緒に暮らしている。お母さんは未亡人ではあるが資産家の娘なので余裕があり、(職業は作家あたりが妥当だろうか)ゆっくりと家事ができるので、さりちゃんを台所に入れないしお手伝いもさせずになんでも自分でやってしまう。よくできたお母さんだと言われているが、さりちゃんはそこが不満なのである。だが何が不満なのだかよくわかっていない。
そんなある日、さりちゃんは家の台所でさりちゃんからみて少し大きいお兄さん(渋谷染彦)を見かける。これがそのニート探偵だ。知らないお兄さんが、台所に?
この人は一体何をしているの、と聞くと「うん、ちょっとつまみ食いさせてもらってる」という。
「?台所、入っちゃ行けないんだよ?」
「入っちゃ行けないことないよ。現に僕いるじゃん。いいんだよ、つまみ食いしても」
変なお兄さんだなあ。とさりちゃんは思う。大体この人どこから来たのか。
「僕は台所から動けないんだよ。お外のお花の蜜とか吸いたいなあ」
本当に変なお兄さんだなあ。まあでも…「お外のお花って食べられるの?」「お花自体が食べられるものもあるよ。」「お外のもの、食べていいの?」「食べていいもの教えるよ」などから会話は弾み、二人は仲良くなる。ニート探偵はさりちゃんの寂しさを家の冷蔵庫の中身を食べて知っていたのだ。そうやって少しずつ変わっていくさりちゃん。
その後、彼らが関わる一風変わった家庭の夫が円城君。その妻に藤村さん。その娘に鏡花ちゃん、である。最後の方、私も登場する。つまりこの話はさりちゃんの成長譚である。

その後の展開を色々と藤村さんに相談していた時、「あら、円城君の奥さん役あなたじゃなくていいの?」と意地悪でもなく言われてしまった。
「何いってるの」と軽く笑ったが見透かされていたかもしれない。
「気が変わったらいつでも変わるから、あなた両方の役のセリフ覚えてるといいわ。私は滅多におせっかいはしないんだけど」
あまりの恥ずかしさに私はうつむいた。そこまで見え見えで好きではないつもりなのに。
というか、小夜香さんの役が「未亡人」なのは、当然の成り立ちというかそうするしかない、という感じだったのだが。この間までこのサークル小夜香さん狙いの変な男子がやたらと多かったものだから…。円城君も最初はまあ動機はなんでもいいんじゃないか?といっていたのだが、彼らは基礎練習を当然のようにスルーしていたのでさすがに怒ってみんなで協力して追い出したのである。意外とその辺、鏡花ちゃんが「その気がない」のに奮闘してくれた。(びいえる疑惑とかお姉さんぶり攻撃とか色々)
小夜香さんの性格からして、苦労してるお母さんというのも難しいだろう。なのでここは資産家の娘にした。その方が外見的にも説得力がある。
「っていうか、「苦労してるお母さん」だと「子供を台所に参加させない」のはおかしいと思うわ。ある程度余裕がないと難しいと思う」と藤村さんもそこは納得してくれた。
「ここんとこの鏡花ちゃんとの異文化交流がちょっとあれね。少しだけいじめっぽい要素が入っちゃってるのが気になるんだけど…」などと相談したが、「その辺はいいんじゃない?」と軽く流され、しかし、そこの部分が最後までネックだったのだ。
そんなことしてるうちに鏡花ちゃんが台本を完成させて目の前が暗くなったりなんだったり。
一応やる気はない、と言いつつ「読み」だけはやったものね。円城君のばか。本気のバカじゃないの?あの人。思い出してもイライラくる。
そのうちなんか渋谷君も「台本の手伝いを頼まれたんですが」「別に俺、やることないですよね」ってやってくるし。
鈍い。
まあでもそのおかげでなんとか完成させるつもりになったけど!!
怒りパワーはなんでもできるわ。本当。
まあいい、とりあえずできたから。あとはみんなに気に入られれば。ああ、ドキドキする。

と、思っていたのに彼は台本を読んで「やっぱり、頑張ってくれたんだな」の一言で済ませようとしたので思わずチョップを食らわせたくなったのであった。とう。
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