にざかな酒店

とある演劇サークルの記第5章 ありがとう刻停間酒店

というわけで、さっくりと本番行って打ち上げですー。
まあそれまでに色々問題勃発してるんやけど(別館の吸血鬼展開入れる、のおまけモード参照)
今回もなんとか彼らは本番にこぎつけました。そして打ち上げのー。
(ネタバレ)ジュースより安いチューハイてなんやねん。いや、本当にあるのよ。うちの自販機に入っているのよ。

あ、追記で短歌。
ここんとこお仕事少なすぎて暇なので結構早く帰ってきます。お、お仕事…。(涙)
「災害も帰宅困難も知らず、朽ちていけこの体幸せに」
ってことで、「体が朽ちていく」ことなんかよりもいつか「家に帰れなくなる」とか、「無駄に痛い目にだけ遭う」とか、そんなことの方がよっぽど怖いんじゃないのかというかなんというか、そういう短歌。元ネタ?の短歌は昨日の短歌の元ネタになってたアレです。はい。「年下も外国人も知らず朽ちていくのかこの体」っていう誰かの短歌ですよ、はいはい。しかし元ネタの短歌の人ってだいぶ平和な思考回路の人ですよね(笑)
それはほむらさんたちも本の対談で突っ込んでましたけど。
でも正直いって、私は言いたいこと言えてやりたいことがやれて体も痛くなくて目も悪くなくて適当に動けたら「ある日いきなりおばあちゃんになっちゃたり」しても全然構わんと思うけどなー。
自分の美しさがどうとかよりも何をやるかの方がよっぽど重要というか。そういう価値観。(あんまり美意識とは言いたくないけどこの場合美意識といっても良い)
ではつづきでどうぞ。
とある演劇サークルの記第5章 ありがとう刻停間酒店

よし、台本できた!は、いいけど。と我にかえった繭子はできた台本をたち帰って思う。
結局昼と夜のアリスはアリスが夜にさらわれた双子の妹(さりちゃん)を追って鏡から不思議世界に入っていくというスタイルで、その夜から昼の彼らがアリスと妹を奪還しようと昼と夜の争いを繰り広げるというストーリーになった。
でもこれ、よく考えたらアリス役、私なのよね…。
いいのかしら、これ…。台本書いたの私、とかうっかり言ったら指さされて笑われそうな気もするんだけど。特に女子なんか他の女子が調子に乗ったところ見せようもんならすぐ「自意識過剰(笑)」とかいうような子も多いし。う、う、うーん。ここで悩むところがすでに自意識のなんなのかなのか。
まあ、今回のは台本書きは私じゃなくて、とある大学演劇サークル一同、にしますかね。
昼と夜のアリスっていう原案はもともとシロさんが出したものだし、それでいいかー。
今回はだいぶミーティング重ねて本当にみんなで作ったものだし。よし、よし。
と繭子は自分を納得させた。
みんなの知ってるアリスを演じるプレッシャーはもちろんあるが、とりあえずこれでいいことにしよう。

そして彼らは稽古を重ね、割と本番手前でその事件は起きた。
小道具、衣装なんかもFの手によるものや流用のものでなんか色々充実してみんなホクホクだったのだが。
「割と結構流用でなんとかなるとはいえ、結構失敗も知ってるし、高くついちゃってるんだけど…」
と、Fの言葉に円城は結構余裕で返す。
「いや、俺ら今までほんまそれ系は金かけてなかったから裕福ですよ」
「まあそれならいいんだけど…えっと、金額にして、これくらい?」
「う…!」
それでも一気で見てしまうとちょっとためらう金額だった。
「え、えっと。まあ、なんとか。今回はなんとか。次回から金かからんいつもの舞台復活させればなんとかです」
ちょっとろれつが怪しくなっている円城だった。
「そ、れ、と…重要な問題が。まだ彼女に似合うアリス服のイメージがないのよね。さすがに主役が流用の衣装じゃ、問題があるでしょ」
本番までにはなんっとか間にあわせるつもりでいるけど、うっかりこっちも本業の市民劇団の小道具や衣装に取りかからなきゃいけない時期にもなってくるし…。
「何かアリス衣装の参考になりそうなもの、ない?…ん、なにそれ」
「ああ、これはどこそこ大学のアリスの舞台のポスターで…」
「へえ、アリスなのに赤黒衣装にチェックのシャツかあ…そうね!じゃあこっちのアリスは水色と黒の衣装にしましょう!イメージ固まったわ。頑張る」
と、Fはホクホクと帰っていった。
どこそこ大学のポスターがイメージソースなのは、私ちょっと納得いかないんだけど、と繭子が抑えていた言葉をブツブツと飲み込む。うん、まあ、確かにこの衣装可愛いんだけど。なんだか。
あー、また繭子さんから変なオーラ出てるよ。とか一部女子が敏感に空気を察知してため息をつく。
「まあまあ、また稽古に戻りましょ。さ、り、ちゃんv」
だから!あんたもうそれネタにしとるやろ!!私で遊ぶな!と美しい吸血鬼にさりちゃんはまた顔を赤く青くさせるのであった。

そんなこんなで本番のラスト。
鏡の向こうから帰ってこれなくなったアリス。
私の姿は鏡に映らず、鏡の向こうにはなにの世界もない。帰れない。
吸血鬼の美しい笑い声。暗転。
拍手。

「あー、終わった終わった」と一同が廊下を歩いていると、円城が勝手に招待状を送りつけたくだんのどこそこ大学の主演女優、露木青砂が、緑木俊という恋人とカップルで来ていたのが目に入った。
「え、ま、まじで来てくれたんですか!?」
かなり遠目にその姿を確認してもすでに色めき立つ円城に彼女はクスクス、と笑いながら近づいてくる。そのために招待状くれたんじゃないの?
「ええ、私結構暇だからvアリスの彼女、良かったじゃない。あなたのイカれ帽子屋はちょっと動きイマイチだったけど…ハンプティダンプティは良かったわ。あの吸血鬼に蹴られてコロンコロン転がるところ、思わず笑っちゃった」
よくよく言ってることを検証すると決して褒めているとはいえないのだが、円城は憧れのどこそこ大学に声をかけられたので、ジーンと感動を噛みしめている。
「また暇があったらあなたたちの舞台見にきたいかな。また誘ってね。ばい」
と言って彼女はあっさりと猫のように行ってしまった。
しばらく姿を見送った後、ああ、今日のメインイベント終わったなー、とさっくりとさあ帰ろ帰ろしている他の一同なんて目も入らず円城はそのままジーンとしていたのであった。
えんじょー。円城さんー?いくよー。
「円城くん!?かえるわよっ!」
繭子が無理やり連れて帰っていく。ああ、もうせっかく成功させたのにこんなはらわた煮えくりかえるオチなの!?とにもー。

で、今回の打ち上げは今回お金を使いすぎたので、今回の売り上げがあってもトントンくらいではなかろうか、ということで打ち上げはパスしようかという話になっていたのだが。
三日後の戸在大学に酒やツマミの入ったビニール持った刻停間酒店の兄さんが現れた。
「はい、配達ー」
「頼んでません、けど…?」
「いやいやいや。君らからお金は取らないよ。っていうか、今回F結構失敗したし、アリスの衣装がほんまギリギリやったからちょっと材料費は取らないって行ったけどちょっとあんまりだったから、って言って酒代預かってたんだ。三千円ほど。これで打ち上げしてくれってさ」
「え、いいんですか…!?」
「うちの彼女が迷惑かけました」
「いやいやいやいやっ、彼女がいないと今回絶対無理だったのに!すみません!!しかも市民劇団のやつ結構流用させてもらっちゃって!」
市民劇団のなのに流用してもいいんですか、と聞いたのに彼女は「あ、これ六年前のじゃなくて、もっとずっと前のカビ生えてるやつだから構わないわよ」と答えたのであった。ちゃんとトップである両親にも確認を取ってくれたらしい。
「本当、お世話になりました…!!」
「いやいや、いいよ、それとな、裏情報でうちの自販機って必殺の!お金ない人に優しい、ジュースより安いチューハイとか入ってるからな!お金なくて飲みたいときはうちおいでーでもお金あるときはもうちょっと高いの買ってもいいよー」
と、その値段を聞いて一同は感激した。
刻停間酒店の兄さん、天使や…!
ありがとう、刻停間酒店、ありがとう。そんな感じの一同にこっそりとうーさんは膨れた。
もうー、牧目商店はー?
そんなわけで、今回は終わるのでした。はい。
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