何と言っても今回はアリスですからー。
アリスなのに吸血鬼出ますけどね。(だから自分の発案じゃないんだってば。)
後何気に木下さくら版のアリスからもネタのソースもらってます。ちゃんと書いておくの忘れたけど。
ま、ちょっと短歌
「真っ白な子供のままで生きて死んでいけたらいうことなくないか」
この短歌は年下も外国人も知らないで朽ちていくのかこの体っていう誰かの短歌がソースになっていて、自分がそういうの書くなら「貧乏も災害も大きい病気も知らないで~」みたいな感じじゃなかろうか、っていうのをこねくり回してたらできた短歌です。なにせ日本人は苦労してなんぼ見たいなところありますからね。
この大変な日本で貧乏も災害も知らないで、って言ったら相当なのほほんぶりではないか、と。まあそういう短歌です。
「それまでにできるのだろうか、この世界 賞味期限という名のゲーム」
ということで、世の中何でも期限きげんこれまでに、ってそれ自体が何かのゲームみたいな?と思ったので割とそのままの短歌。世界にも賞味期限があるのだよー。
さあ、こんなものでつづきでどうぞ。
とある演劇第5章 まだまだミーティングは続く
「吸血鬼が出てくるし、いっそのこと夜のアリスっていうのはどう?」
と小夜香が言った。まだまだミーティングの途中である。台本を固めるために基礎練もそこそこに彼らは語らっているのだった。なにせ作品として手垢のつきまくったアリスをやるのでみんな気合いの入れ方が違う、いつもは案外台本は繭子任せなのだが。それに今回はどこそこ大学の黒アリスと張り合ってるし。
「夜のアリスか、いいけど照明的にずっと暗い画面っていうのもあれじゃないか?」
と、シロはしばらく腕組みして考え、そして言った。
「円城さんや渋谷くんが出てきたら昼の明るくて楽しいアリス、小夜香さんが出てくると夜のちょっと妖しいアリスっていうのはどうだ」
おおお、とかわあ、とかみんなから歓声が上がる。
「それいい、すっごくいい!ありだわ」
台本書きの繭子からも評判のいいアドバイスだった。が、横から鏡花ちゃんが一言。
「百合の吸血鬼もあるならびいえるもー…円城くんと渋ちんができてるっていうのはー」
「却下!」
全員が声を揃え、即座にこの案はぼつになる。
「円城くんと渋谷くんねえ…渋谷くんは三月ウサギで確定よね、なんとなく」
藤村の言葉におおむねみんな異論はない。当の渋谷以外。
「っていうか、俺、うさみみとか…あのー…」
ボッソボソと嫌がっているのにみんなが「役者なんだから我慢しなさい、君は適役なんだから」と次々と声をかけて諭す。円城がにっこりと笑って言った。
「ま、女装じゃないだけいいじゃないか」
「似たようなもんだろ!?うさみみだぞ、うさみみっ」
「えー?俺だって多分この流れで言ったらハンプティダンプティとかじゃないか?なあまたきぐるみだよなっ?」
彼はむしろ嬉しそうだった。
「じゃああんたが女装もしくはうさみみしろよ!?」
「渋ちん、あのな…俺がやると確実にグロいからな、それは」
低い声でそこそこ優しく円城は諭した。納得がいってないが周囲からの圧力で仕方なく黙る渋谷。
「渋ちんのうさみみーやーん写真撮ろう。またこみやんにとってもらおうー」
鏡花ちゃんがものすごく喜んでいる。
「だからお前は渋ちんって言うなって…」
ブツブツ。ところで「こみやん」と言うのは前回の演劇の追い込みのあたりから顔を見せるようになった、藤村の同級生で彼女のファン(あくまでも彼氏とはいってもらえない)の小弥山映(こみやまあきら)のことである。渋谷並みの童顔で調子のいいカメラマン志望、と言うかセミプロくらいの感じ。で今は写真の現像のアルバイトとかして、たまに風景というよりも建物などの写真の個展なども開いていたりするようだ。人物はあんまり撮らないというが、藤村が私たちを撮ってもいいのよというので喜んで時々練習風景などの写真も撮りにきた。割と彼の写真は演劇サークル内部でも評判が良い。
「あ、でも円城くん?男キャラはもう一人、いかれ帽子屋もいるんだけど、それもしてもらえるかしら」
と、そこで女子一同の目がきらーん、となった。
「あのね、円城さん?知らないかもしれないけど、いかれ帽子屋ってアリスの中でも特に女の子に人気のある役だからね?綺麗にやってね」
小夜香が女子を代表して美しい声で言う。本来ならこれは繭子のセリフのように思うのだが、と心の中でさりちゃんは思う。
「あの吸血鬼の時みたいなダサい動きしちゃダメよ」
(前回参照)女子代表の言葉に女子が全員頷いた。口々にほんとよーあの時の吸血鬼本当にちょっとあかんかったわーとブツブツ言う。
「う…!」
プレッシャー。ぶー、ずるいー、と渋谷がブツブツ言う。
「なんで俺がウサギで円城さんがいかれ帽子屋なんだよー」
そんな中、うーさんがどうも喋らないな、と思ったら少し船を漕いでいるしているようだった。
さりちゃんがちょっとゆすり起こそうとするが、シロと繭子がまあまあ、と止める。
「彼女は別に寝てても支障ないわ。今は主に配役の話だし」
「うーさんはいつも眠い系のキャラだから置いとこ」
「あ、こらこら、体傾いてる」
「ん…あ、あれっ、ちょっと寝てた?やだ、ごめんなさい…」
と、言いつつ眠い。ちょっとそんな感じの彼女を見つつ、ほのぼのする一同。
「まあでもこれでだいぶイメージ固まってきたわね。オチとしては鏡から元の世界に戻ろうとしたところで小夜香さんに襲われて終わり、みたいなものでもいいけど」
「って言うか実は最初から吸血鬼だったって言うのはどうだ?最後にわかって終わり、みたいな」
「あ、ちょっとミステリ方向に振れるわね、それ。じゃあ配役もだいたいアリスっぽいのはみんな決まったし…後は…藤村さんは吸血鬼のトランプの女王?さりちゃんは被害者の女の子、アリスの妹とかにしましょうか。あと決まってないのは鏡花さん?」
「女王やりたいなー、私ー」
「ちょっと器じゃないわね、ほほほ」
「藤村さんばっかりがえらい役ー」
「まあアリスだったらたっぷりナレーションや誘導役入りそうだからその辺にしときましょうか、そうだ鏡花ちゃん、猫耳つける?」
「つける!!っていうかチェシャ猫のナレーションっていいかも」
おおお、と円城が声を上げる。
「鏡花にしてはいい案だした!たまにはいいことも言うんだな」
えへへ、とちょっと喜んだ鏡花ちゃんはすぐに真顔に戻って「たまには、が失礼」と眉間にしわを寄せた。
「じゃあこれで小道具や衣装も頼んじゃって、後は台本作って稽古するだけ!」
おおー、とミーティングの内容が固まって解散、となった時、やっぱりちょっとうーさんは船を漕いだままだった。
「あー、ダメだ、こりゃ。送っていかないとな」
と役得、とばかりにシロがいう。
「こらっ。私も送っていきます!」
とさりちゃんが便乗した。
あー、もういつも通りみたいな展開だな、これは。とみんなが肩をすくめながら家路につく。続く。
最新の画像もっと見る
最近の「ネタ、小説」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事