にざかな酒店

赤い靴をあなたにあげる(双子の檻改題)

ってことで、いきなりですがSSB Kです。ですが特に色っぽいことはここでは起こらず、今までの彼らの動向をチェックしていないと意味わからん仕様になっておりますよ。短歌短文リメイクから1ヶ月程度続いたおまけを今までチェックしていますか、あなたは。
ってことですけべモードのくせして楽しむためにはハードルの高いおまけになっております。うん。
別にタイトルがこれしか思い浮かばなかっただけでそういう話じゃないからね?
双子となんちゃらって話じゃないよ、断じて。
では続きでどうぞ。
あ、改題前よりちょっと文章(と短歌)が増えております。そう、元々はこういう話でした。救えない。
赤い靴をあなたにあげる(双子の檻改題)
(はい、短歌短文リメイクが最近の動向までちゃんと把握してないと意味がわからないSSB Kですよー。SSBKなので名前が出てきません。ってことで。よろしく。)

ん、だめ。と彼女は小さく呟いて自分の体に伸ばされてきた手を振り払いながら軽く彼に微笑んだ。
「もうおいたはダメですよ」
「…そもそも、君があんな最中にあんな名前言うから」
なんでこうなったのか反省しつつ、彼は言う。
「だって、最近…あんまり忘れてるみたいでしたから…まだ彼女は傷でしかないんですか?」
「そう言う問題じゃなくて…まだあれから3ヶ月くらいしか経ってないだろ。ちょっと生々しいって言うか…その、ごめん。でもこれとそれとは話が別っていうか」
彼女の横顔をベッドサイドのランプが照らしているのを横目で眺めつつ、弁解した。
「別っていうか、別にしたいんですよね?」
そう言われてしまうとぐうの音もでない。
「でも、そんなにいけないことかな…。残されたものが忘れたように振る舞うって、その、やっぱりこの世は生きてるためのもんっていうか。君が幸せそうに振舞ってて、誰か悪いこという?」
「そういう問題じゃ…」
「そういう問題ですよ。どうせ残されたもんだけしかこの世にはいないんだからいいんじゃないか、幸せそうにしてたら」
「………」
彼女は再び横を向いた。心なしか目が潤んでいる。
「そもそも誰が悪いんだって言ったら究極の自己責任論で運が悪いから悪いんだ、ってしか言えないじゃないか」
彼女は再び黙りこくった。
「戦争地域にいようが犯罪に巻き込まれようが交通事故に遭おうがみんな自己責任で運が悪いから悪い、としか言われないんだから」
「でも、人の心はそんな簡単にーーー」
「いかないのはわかってるよ。でもそれとこれとは話が別だ。俺は少なくとも君が幸せそうにしてたら嬉しいし早く割り切って欲しいと思ってるよ」
彼女は声なく怒った。枕だのクッションだの色々飛んでくる。っていうか、この部屋クッション多すぎだろう。と突っ込みながらクッションを叩き落としていると。
「もうっ、嫌い!!」
完全に横向いていわれてしまった。彼女はブツブツという。
「あなたは…!なんでそんなに正直なんですか、デリカシーってものが、ちょっと…」
ああ、こういうのってデリカシーないんだなあ。と彼は嘆息した。
っていうか裸でプンプン怒ってるのもちょっと面白いっていうか、うん。
あ、こういうのがデリカシーがないっていうのか。ちょっと学習した。
後ろから髪を撫でようとすると今度は振り払われなかったようだ。
まあでもいきなり彼女の名前出されてパニックになるくらいだから、俺も大概ちょっと人間できてないっていうか、うん。やっぱりいきなりはダメだよな、いきなりは。
「君がいつまでも檻の中にいたいのは…わかってないよ、正直。俺は言っても四年くらいしか君らと付き合ってないし、生まれてからずっと一緒なんて存在いなかったし」
「………」
「君の気持ちは誰にもわからないと思う」
しばらくの沈黙の後、彼は言った。
「俺ができるのは傍観者としてそばにいることだけだから。君だって魅厘さんもいるし表面上落ち込めないっていう苦しさもあるだろうけど、でもやっぱり周りとしては君が笑ってくれると嬉しいわけで、そのー…なんだ、やっぱり泣いてるよりは笑ってる方がいいなっていう」
「みんなわかってない…」
「だから、分かり合えないのを無理にわかろうとするから無理なんだってば。どれだけ情報提供してても読めない人には読めない言語は読めません」
そう言えば少し気配がないなと思ってたら彼は水を取りに行っていたようだった。
「いる?口移し」
「………ばかっ…」
この人の方が、よっぽどわかんない。と彼女は思って、それで終わり。
気づくと空が白んできていた。

「笑顔という名の赤い靴を履いて私は踊る あなたにあげる」

笑えというなら笑う。踊れというなら踊る。ただ私は私だから。そうやって、私たちは今までやってきたのだから。
わかって欲しいじゃない、わかって欲しいじゃ。ただ踊れって言ってくれればそれでいい。笑えというならそれでいい。それだけの、ことなのだ。
踊り続ける足くらいあなたにあげたっていい。
だって私はーーー踊りたいのだから。
沈み続けるよりも、足掻き続けるそのほうが綺麗だ。だからあなたみたいな酷い人の方がいい。
笑ってと、踊ってと血を吐くまで言い続けて。
双方ともに幸せな誤解をさせて。
踊りましょう、生きましょう。私たちはそうして。
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